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咳止め薬「アストミン」の特徴と効果、副作用

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年09月26日

アストミンは、咳を止める作用を持つ薬です。上気道炎(風邪)や肺炎、急性気管支炎などの病気で咳がつらい時に処方されます。

この記事では、アストミンの効果や使用方法、副作用などについて解説します。咳が出る病気でアストミンを使用する方は、ぜひ参考にしてください。

1.アストミンとはどのような薬か


アストミンは、「ジメモルファン」を有効成分とする非麻薬性中枢性鎮咳薬(咳止め薬)です。錠剤、散剤(粉薬)、シロップがあります。

風邪や気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症にかかると、気管支の炎症により息苦しさや咳などの症状が現れます。アストミンは脳内にある咳中枢を落ち着かせることで、咳を抑える効果があります。

咳中枢を抑える鎮咳成分には、麻薬性と非麻薬性の2種類がありますが、アストミンは非麻薬性です。

【参考情報】『Cough And Cold Combinations (Oral Route)』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/cough-and-cold-combinations-oral-route/description/drg-20061164

アストミンを含む非麻薬性中枢性鎮咳薬は、痰が絡む咳には使用できないため、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のような痰が出やすい病気の第一選択薬ではありません。そのため、痰の少ない風邪などの病気で処方されます。

◆「痰がからみ、咳が止まらない時に考えられる呼吸器の病気」>>

2.アストミンの使い方


アストミンの基本的な服用方法を紹介します。年齢や症状により量が増減されることがあるので、くわしくは医師や薬剤師に確認してください。


<錠剤>

成人(15才以上)に使用します。以下の量を1日3回、水かぬるま湯と一緒に飲みます。

・1回1〜2錠(ジメモルファンリン酸塩として10~20mg)


<散剤>
成人と小児に使用します。それぞれ以下の量を1日3回、水かぬるま湯と一緒に飲みます。

・成人(15才以上):1回0.1~0.2g(ジメモルファンリン酸塩として10~20mg)

・小児(8~14才):1回0.1g(ジメモルファンリン酸塩として10mg)


<シロップ>
通常、下記の量を、1日3回に分けてそのまま服用します。

 ・2才未満 3.0~4.5mL

 ・2~3才 5.0~8.0mL

 ・4~6才 8.0~11.0mL

 ・7~14才 12.0~14.0mL



アストミンは食事に影響を受けない薬なので、飲み忘れてしまった場合は、気づいた時に服用して構いません。

ただし、次回の服用時間が近い場合は飲まずに、次の服用時間に「1回分」を服用してください。飲み忘れても、一度に2回分を飲むことはしないでください。

3.アストミンの副作用


アストミンの主な副作用は以下となります。

 ・眠気

 ・めまい

 ・食欲不振

 ・吐き気

アストミンは、副作用が比較的少ない薬です。しかし、副作用の発現には個人差があるため、日常生活に支障が出るような副作用が出た場合は、医師や薬剤師に相談してください。

また、全身に発疹や痒みが出た場合は、薬剤過敏症の疑いがあります。その場合は服用を中断して、医療機関を受診しましょう。

4.使用上の注意点


アストミンのシロップ剤は、常温で保管しても問題ありませんが、直射日光が当たる場所や高温多湿の場所には保管しないようにしてください。できれば、冷蔵庫のような暗くて温度が低い場所に、食材や飲み物などと分けて保管するとよいでしょう。

【参考情報】『お薬の保管方法』慶應義塾大学病院
https://www.hosp.keio.ac.jp/annai/raiin/kusuri/kusuri_15.html

アストミンは、痰の少ない空咳に使用されることの多い薬です。もし痰の絡む咳が出ている場合は、他の咳止め薬を使用するか、去痰薬(痰切り薬)を併用する必要があるため、痰が気になる方は必ず医療機関に伝えましょう。

◆去痰薬「ムコダイン」の特徴と効果、副作用>>

妊娠または妊娠している可能性のある女性や授乳中の方は、服用の可否について主治医と相談が必要です。必ず受診の際に相談してください。

5.アストミンの薬価


アストミンの薬価(2024年9月調べ)は、以下のとおりです。

 ・アストミン錠10mg 6.8円/錠

 ・アストミン散10% 28.2円/g

 ・アストミンシロップ0.25% 3.9円/ml

アストミンには、代わりとなる以下のジェネリック医薬品が発売されています。

 ・ジメモルファン酸塩錠10mg「TCK」 

 ・ジメモルファンリン酸塩シロップ小児用0.25%「TCK」 

 ・ジメモルファンリン酸塩ドライシロップ小児用2.5%「タカタ」

6.おわりに

アストミンは、食事の影響を受けず、副作用も比較的少ない薬なので、咳止め薬の中では使いやすい薬です。

しかし、アストミンを服用すると、強い眠気が出ると感じる方もいるかもしれません。眠気が出現する頻度は高くはありませんが、小児でも稀に認められる副作用です。

アストミンと同じ効果を持つ非麻薬性中枢性鎮咳薬には、アスベリンなど別の薬もあります。

◆咳止め薬「アスベリン」の特徴と効果、副作用>>

もし、アストミンが自分に合わないと感じた場合は、医師に相談してみてください。

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