旅行中のいびきが心配なときの対策
旅行中に激しいいびきをかくと、一緒に宿泊している人に迷惑がかかり、楽しいはずの時間が台無しになってしまうことがあります。
さらに、いびきが原因で「この人とは旅行に行きたくない」と思われてしまい、人間関係に悪影響を及ぼす恐れもあります。
この記事では、旅行前や旅行中にできるいびき対策を紹介します。普段からよくいびきをかく人も、家族や友人、パートナーのいびきが気になる人も、ぜひ読んでください。
目次
1.いびきとは
いびきは、鼻から喉の奥にある上気道が狭くなると発生します。狭くなった部分を空気が通るときに勢いがつくため、その勢いで上気道の粘膜が振動して音が鳴るのです。
いびきの原因には、風邪による鼻づまりや疲労、ストレス、飲酒などがあります。これらが原因のいびきは一時的なもので、原因となる病気や疲れなどが改善すれば出なくなります。
しかし、毎日のようにいびきが続く場合は注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群や副鼻腔炎などの慢性的な病気が隠れている可能性があります。
【参考情報】『Snoring』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/snoring/symptoms-causes/syc-20377694
2.旅行中のいびきの影響
いびきをよくかく人は、旅行の際に同室の人に迷惑をかけないかと心配になるかもしれません。
この章では、旅行中のいびきが与える影響について説明します。
2-1.他人の安眠を妨げる
いびきをかいている本人は、気づかずに眠っているかもしれませんが、同じ部屋で寝ている人は、音が気になって眠れなくなることがあります。
旅行中はいつもと違う環境で過ごすため、なかなか寝付けなかったり、眠りが浅くなる人が多いものです。そこにいびきの音が加わると、さらに睡眠が妨げられます。
ホテルや旅館の部屋だけではなく、移動中のいびきにも注意が必要です。特に、長時間のフライトや深夜バスでの移動中にいびきの音が響き渡ると、乗客の睡眠や休息を妨げ、迷惑をかけてしまうでしょう。
2-2.睡眠の質の低下による疲労
いびきは同行者の睡眠を妨げるだけでなく、自分自身の睡眠の質も悪化させます。
いびきをかいている人の気道は狭くなっているので、体内に十分に酸素を取り込めず、睡眠中に呼吸が浅くなっています。そのため、ちゃんと寝ていたつもりでも、実は熟睡できていません。
その結果、疲れがとれずに残ってしまうので、翌日以降の活動に影響が出る恐れがあります。
2-3.人間関係への影響
自分は楽しい旅行だったとしても、いびきによって睡眠を妨げられた相手は、イライラした気持ちになったかもしれません。
その結果、もう一緒に旅行に行きたくないと思われてしまい、次の旅行に誘っても断られてしまう可能性があります。
また、本当は断りたいのに関係が悪化するのを恐れて、「いびきがうるさかった」「一緒に旅行に行きたくない」と言えない人もいるでしょう。
このように、人間関係がギクシャクしてしまうことが考えられます
3.旅行前にできるいびき対策
「いびきをよくかく」と自覚している人や、うるさいと指摘されたことがある人は、旅行までに少しでも改善できるよう、以下の方法を試してみましょう。
3-1.生活習慣の見直し
肥満や飲酒、喫煙が、いびきの原因となることがあります。これらに心当たりのある人は、生活習慣の改善に取り組んでみましょう。
肥満体型の人は、減量して適正体重に戻すことで、脂肪による気道の圧迫が和らぎ、いびきが改善されることがあります。
◆「いびきの原因は肥満?改善法と危険なサインを知っておこう」>>
アルコールには筋弛緩作用があるため、お酒を飲むと上気道の筋肉がゆるんで狭くなり、いびきが出やすくなります。お酒を飲むときは、飲酒量を控えたり、寝る4時間前までに飲み終えることで、いびきの予防につながります。
タバコに含まれる化学物質は、上気道の粘膜に炎症を引き起こすため、気道が腫れて狭くなります。喫煙者は禁煙することでこの腫れが治まり、いびきが改善される可能性があります。
3-2.いびき防止グッズを用意する
旅行中、いびきで同伴者に迷惑をかけないためには、いびき防止グッズを活用するのも一つの方法です。
マウスピースや、いびきの原因となる口呼吸を防止するテープなどを使用することで、いびきを軽減して快適な睡眠を得ることができれば、旅行中も安心です。
3-3.口周りの筋肉を鍛える
加齢により口周りや舌の筋肉が緩むと、自然と口が開きやすくなります。このような理由で、睡眠中に口が開いてしまうと、口呼吸になります。
睡眠中に口呼吸になると、舌が喉に落ち込んで気道をふさぐので、気道が狭くなっていびきが出やすくなります。
口呼吸を防ぐには、口周りや舌の筋肉を鍛えることが効果的です。筋力がつくことで口が自然に閉じ、いびきの改善が期待できます。また、舌も正しい位置に収まり、喉への落ち込みを防ぐことができます。
◆「口呼吸がいびきにつながる理由と予防のためにできること」>>
3-4.相手の協力を求める
自分がいびきをかく可能性があることを同行者に事前に伝え、理解と協力を求めるのもよいでしょう。
例えば、いびきの音を軽減するために耳栓を用意し、使ってもらえないかどうか相談することもできます。ただし、慣れていないものを使うとストレスを感じる人もいるので、お互いが快適に過ごせるよう、同行者と十分に話し合うことが大切です。
いびきがどうしても心配な場合は、別室に宿泊することも検討してみましょう。
4.旅行中のいびき対策
旅を思い切り楽しむためにも、また、疲れを十分に癒すためにも、旅行中のいびきはできるだけ防ぎたいものです。
以下、旅行中のいびき対策について説明します。
4-1.グッズや機器を使用する
いびきの原因がわかっている場合は、それに合ったいびき防止グッズを使いましょう。例えば、睡眠中に口が開いてしまう人は、口を閉じるテープやマスクを使用しましょう。
鼻づまりが原因でいびきが出る人は、部屋の加湿を行いましょう。部屋に加湿器があれば使用し、ない場合はバスタブにお湯を張ると湿度を上げることができます。
アレルギー性鼻炎のある人は、部屋に空気清浄機があれば使用しましょう。花粉やホコリなど、アレルギーを引き起こす物質を減らすことができます。
睡眠時無呼吸症候群と診断されている人は、普段治療で使っているCPAP(シーパップ)やマウスピースを忘れずに持参し、旅行中も使用しましょう。
4-2.横向きで寝る
仰向けに寝ると舌が気道に落ち込んで、いびきが出やすくなるので、できるだけ横向きで寝るようにしましょう。
横向きの姿勢を保つために、枕やクッションを使うのもおすすめです。
4-3.お酒は控えめにする
旅行中はお酒を飲む機会が増えるかもしれませんが、アルコールは気道の筋肉を緩めるため、いびきの原因になります。
いびきを防ぐためには、お酒を飲み過ぎないようにすることと、寝酒を控えることが大切です。
5.対策しても効果が感じられない場合
いびきをよくかく人や、音が激しい人は、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなることを繰り返す、睡眠時無呼吸症候群という病気が原因でいびきが出ている可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群には、気道が狭くなることで生じる閉塞性と、心臓や脳などの病気によって生じる中枢性の2種類がありますが、患者のほとんどが閉塞性です。
閉塞性の主な症状に、毎晩のように繰り返されるいびきがあります。いびきの音が激しいため「うるさい」「眠れない」と人に指摘されたり、いびきの途中で一瞬息が止り、一緒に寝ている人に心配されることもあります。
さらに、睡眠時無呼吸症候群を放っておくと、心臓や血管に負担がかかるため、高血圧や心筋梗塞などの合併症が引き起こされる恐れがあります。
しかし、治療で睡眠中の呼吸をサポートすれば、いびきが改善して熟睡感が得られ、合併症も防ぐことができます。
◆「呼吸器内科で睡眠時無呼吸症候群の検査と治療ができます」>>
6.おわりに
旅行中は、いつもと違う環境で過ごすこともあり、いつもはいびきをかかない人でも出てしまうかもしれません。
しかし、普段からいびきが多いと自覚している人は、自分も相手も快適に眠るため、いびきを防止する対策を講じましょう。
対策しても効果が感じられず、慢性的にいびきが続いているなら、睡眠時無呼吸症候群が原因かもしれません。
思い当たる人は、検査ができる病院を探して相談してみましょう。