花粉症治療に用いる抗アレルギー薬「ルパフィン」の特徴と効果、副作用
花粉症によるつらい鼻水や鼻づまりを和らげるために、抗アレルギー薬の「ルパフィン」が処方されることがあります。
ルパフィンは抗ヒスタミン薬の中でも高い効果を持ち、1日1回の服用で済むのが大きなメリットです。しかし、眠気の副作用が出やすいため、注意が必要な場合もあります。
この記事では、ルパフィンの特徴や副作用についてくわしく解説します。これから服用する人も、すでに使っている人も、ぜひ読んでください。
1.ルパフィンとはどのような薬か
ルパフィンは、ルパタジンという有効成分が配合された抗アレルギー薬の錠剤です。花粉症などによるアレルギー性鼻炎や、じんましん、皮膚のかゆみを和らげる効果があります。
【参考情報】『Rupatadine』Memorial Sloan Kettering Cancer Center
https://www.mskcc.org/cancer-care/patient-education/medications/pediatric/rupatadine
花粉症やじんましんなどのアレルギー症状は、体内のヒスタミンという物質が、特定の受容体と結びつくことで引き起こされます。
ルパフィンは、ヒスタミンと受容体が結合するのを防ぐことでヒスタミンの作用を抑え、症状の発生を抑えます。さらに、炎症を引き起こす体内物質の働きを弱める作用もあります。
抗ヒスタミン薬にはさまざまな種類がありますが、ルパフィンは比較的高い効果があると報告されています。また、服用後約1時間で血中濃度がピークに達し、効果が長時間持続するのも特徴です。
【参考情報】『Efficacy of different oral H1 antihistamine treatments on allergic rhinitis: a systematic review and network meta-analysis of randomized controlled trials』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37271114/
2.ルパフィンの使い方
ルパフィンは、12歳以上の人が服用できます。服用方法と服用量は、子どもも大人も同じです。
<服用方法>
1日1回1錠、水かぬるま湯で服用します。
症状に応じて、1回2錠まで増量できますが、服用量を増やすかどうかは医師が症状をみて判断するので、自己判断で増量しないように注意しましょう。また、服用のタイミングも医師の指示に従ってください。
花粉症のような季節性のアレルギー性鼻炎の場合には、花粉の飛散ピークより少し前から服用すると、効果を感じやすくなります。
3.ルパフィンの副作用
ルパフィンを服用すると、以下の副作用が起きることがあります。
・眠気
・だるさ
・口の渇き
・便秘
特に眠気の副作用は、ルパフィンを服用した9.3%の人に起きるとされています。そのため、車や機械類の運転、危険な場所での作業がある方は服用できません。
運転の必要がある方や、仕事や勉強に集中したい方などは、眠気の出にくい別の薬に変更できるかどうか、医師に相談すると良いでしょう。
また、めったにありませんが、以下の重篤な副作用が起きることもあります。
・ショック、アナフィラキシー
・けいれん
・てんかん
ショックやアナフィラキシーが起こると、顔面が青ざめたり、呼吸が苦しくなったりすることがあります。このような症状が現れたら、服用を中止してすぐに病院を受診、あるいは救急車を呼んでください。
【参考情報】『Anaphylaxis』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/anaphylaxis/symptoms-causes/syc-20351468
4.使用上の注意点
ルパフィンは、12歳未満の子どもや妊娠・授乳中の方には基本的に使用されません。また、65歳以上の高齢者や腎臓・肝臓の機能が低下している方は、副作用のリスクがあるため、服用量を調整しながら慎重に使用します。
また、過去にてんかんと診断されたことがある人は、発作が起こりやすくなる可能性があるため、服用前に医師に相談しましょう。
【参考情報】『てんかん』こころの情報サイト|国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=7tp2bnu63ESgWu5I
ルパフィンと併用してはいけない薬はありませんが、一部の薬やグレープフルーツジュースと一緒に服用すると、副作用が強く出ることがあります。
【参考情報】『グレープフルーツジュースを避けるべきくすりがあるそうですが、どんなくすりですか。』医薬品医療機器総合機構
https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0017.html
また、アルコールと併用すると眠気などの副作用が出やすくなるため、服用期間中は飲酒を控えることをおすすめします。
5.ルパフィンの薬価
ルパフィンの1錠あたりの価格(2025年3月調べ)は以下のとおりです。
・ルパフィン錠10mg 46.4円/錠
ルパフィンにジェネリック医薬品はありません。また、同じ成分の市販薬もありません。
6.おわりに
ルパフィンが合わないときは、アレグラ(フェキソフェナジン)やクラリチン(成分名:ロラタジン)など、さまざまな抗ヒスタミン薬が代わりに服用できます。
眠気の副作用が強く出る場合は、眠気の少ない薬に変更できるかどうか、早めに医師に相談すると良いでしょう。
スギ花粉が原因の花粉症には、「アレルゲン免疫療法」での治療も可能です。この治療法は効果が現れるまでに時間がかかりますが、花粉症の症状を長期的に軽減できる可能性があります。