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咳が止まらなくて息苦しい…原因と対策は?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年09月24日
息苦しい

咳はありふれた症状ですが、その程度によって重篤度はまったく異なります。

・咳で息苦しさを感じることがある
・2週間咳が続いている
・熱がないのに咳が止まらない
・咳で夜眠れないことが多い

このような咳は、風邪ではない可能性があり、その背景に大きな病気が潜んでいるかもしれません。
 
この記事では、咳が止まらなくて息苦しいという症状に対して、考えられる原因や対処方法を紹介します。

1.咳で息苦しさを感じる病気とは?

息苦しい2
咳が出る病気は、風邪、インフルエンザ、花粉症、喘息、気管支炎、肺炎、COPD、肺がんなど多岐にわたります。
 
その中でも、「息苦しい」と感じる咳が出る可能性のある病気のうち、代表的なものを3つ紹介します。

1−1.肺炎

肺炎
肺炎は、細菌やウイルスに感染することにより、肺の中を通る気管支のさらに奥にある、肺胞という部位が炎症を起こす病気です。

咳や発熱など風邪とよく似た症状が現れますが、その重症度が異なり、病気が進行すると呼吸困難になることがあります。
 
・風邪のような咳、痰、微熱、倦怠感が1週間以上続いている
・眠れないほどの咳が1週間以上続いている

このような症状があるなら、肺炎にかかっている可能性も考えられます。

肺炎は、原因となる細菌やウイルスを突き止め、その原因に応じた薬で治療します。

市販の咳止め薬や解熱剤では根本的な治療はできませんが、早めに病院を受診して適切な診断を受ければ、ほとんどの肺炎は処方薬で治療できます。

【参考情報】『肺炎になるとどうなるの?』MSD
https://www.haien-yobou.jp/what_disease.xhtml

◆「肺炎の知識と予防」について>>

1−2.喘息

ぜんそく
喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起こる病気です。
 
炎症を起こしている気道は敏感になっているため、ホコリやアレルギー物質などの刺激によって、激しい咳が引き起こされ、息も吸えないくらい苦しくなることがあります。

喘息は子どもがかかる病気だと思われがちですが、年齢は関係なく、大人になってからも発症する病気です。

喘息の治療には、病院で処方される吸入薬が必要です。市販の咳止め薬では、良くなるどころか悪化する危険があります。

激しい発作が起きると命にかかわることがあるので、疑わしい場合は早めに呼吸器内科を受診して検査を受けてください。

【参考情報】『Asthma』WHO
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/asthma

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

1−3.COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPD
COPDとは、タバコの煙を主とする有害物質を長期間吸い込むことで肺がダメージを受け、炎症が生じる病気です。喫煙者と日常的に接している人にもリスクがあります。

COPDにかかると、階段の上り下りなどで体を動かしたときに息切れを感じたり、しつこい咳や痰が続くようになります。

この病気はゆっくり進行するため、例えば20歳からタバコを吸い始めた人に症状が現れるのが、40歳以降となります。

中年以降に症状が現れることから、息切れがあっても「年のせいだから」と思い込んでしまい、病気だとは気づかない人も多いのですが、放っておくと呼吸困難で寝たきりになったり、在宅酸素療法が必要になることもあります。

【参考情報】『COPDの症状』GOLD日本委員会
http://www.gold-jac.jp/about_copd/

◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>

2.おわりに

相談

咳が軽いうちは、市販の咳止め薬で対処する人も多いでしょう。しかし、咳止め薬では病気を根本的に治療することはできません。

つらい咳を、薬で一時的に抑えて体をラクにしたい気持ちはわかりますが、1週間以上咳止め薬を服用してもよくならない場合は「たかが咳」と侮らずに、早めに呼吸器内科を受診して専門医に相談してください。

息苦しさを感じる咳の背景にはさまざまな病気が隠れています。上記で紹介した3つ以外にも、肺結核や肺がんなどの可能性もあります。

◆「咳が止まらない時に心配な病気の症状・検査・治療」>>

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