ストレスが喘息に及ぼす影響とは?
人間関係などによって引き起こされる精神的なストレスや、痛みや病気などによる肉体のストレスは、喘息の症状に悪影響を及ぼします。
ストレスを感じることで、体内のマスト細胞などから炎症物質が放出されると、症状が悪化したり、発作が誘発される危険性が高まります。
そこでこの記事では、ストレスと喘息の関係を紹介しながら、ストレスを取り除くおすすめの方法をお伝えします。
目次
1.ストレスとは、なにか
そもそもストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態全般のことをいいます。
ストレスの要因には、天候や騒音などの「環境的要因」、病気や睡眠不足などの「身体的要因」、不安や悩みなどの「心理的要因」、そして人間関係がうまくいかない、仕事が忙しいなどの「社会的要因」が存在します。
これらが複雑に絡み合い、心身に悪影響を及ぼします。
2.うれしいこと、楽しいこともストレスになる?
ストレスの原因と聞くと不快な出来事を連想しがちですが、実際には良いこと(楽しいことや嬉しいこと)もストレスの要因となり得ます。
例えば、子どもの頃、遠足や遊園地などに行く前日の夜は、ワクワクして眠れなかったという経験はありませんか? これも一種のストレスと位置付けることができます。
このように、良し悪しにかかわらず、外部からのすべての刺激(場合によっては自分の内的な刺激も影響する)がストレスの要因となるため、ストレスをまったくゼロにするということは不可能です。
そのため、いかにしてストレスを減らすか、いかにしてストレスに強くなるかを考えることが大切です。
【参考情報】『ストレスってなに?』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/first
3.ストレスと喘息の関係は?
ストレスは、喘息を増悪させる要因となることが分かっています。
気道の粘膜を刺激する喫煙や大気汚染、冷たい空気に急激に触れるなどの気温の変化はもちろんのこと、香水や化粧品の成分や香りなどもストレスとして喘息悪化の要因となります。
精神的なストレスも喘息の悪化に大きな影響を及ぼしており、仕事の内容や職場での人間関係、お子さんであれば学校生活など、さまざまな因子が複雑に絡み合って喘息を悪化させる場合があります。
【参考情報】『喘息悪化因子の対策』独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/measures/lifestyle.html#stress
4.ストレスが喘息を悪化させるメカニズムは?
ストレスが喘息を悪化させるメカニズムについては未だ解明されていませんが、ストレスを感じた際に全身にストレスホルモン(コルチゾール)が分泌されること、そして大量に分泌されたストレスホルモンが、体内で「サイトカイン」とよばれる炎症性の物質を放出する引き金となることで、全身にさまざまな影響を及ぼすことがわかっています。
そして、この作用の一環として、喘息増悪が起こると考えられています。
【参考情報】『喘息悪化因子の対策』独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/measures/lifestyle.html#stress
また、過度なストレスで自律神経やホルモンが乱れ、空気の通り道である気道が収縮することで、喘息発作が起こりやすくなると言われています。
ストレスは喘息だけに限らず、気管支炎などの呼吸器疾患や、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患にも影響を及ぼす恐れがあります。
5.成人喘息こそストレスに注意
成人の喘息(大人の喘息)こそ、ストレスに注意が必要です。
急に仕事が忙しくなったり、プライベートで大きな問題を抱えることになったりすると、それまで落ち着いていた喘息の症状が再び現れたり、悪化する恐れがあります。
避けられるストレスは避けた方が良いのは当然ですが、仕事などでどうしても避けられないものもあるでしょう。
だからこそ、自分のストレスサインに早く気付き、喘息に悪影響が出る前に心身を休めることが重要です。
【参考情報】『病気と医療の知って得する豆知識・大人の喘息』サワイ健康推進課
https://kenko.sawai.co.jp/prevention/201712.html
6.生活習慣病に注意!
肥満やメタボリックシンドロームなどによって生活習慣病のリスクが上がることはよく知られています。肥満やそれに伴う生活習慣病によって心身には大きなストレス負荷がかかることになります。
成人喘息患者の場合は、生活習慣病の悪化が喘息の悪化に直結することがあるため、特に注意が必要です。食生活と同様に、アルコールなどの飲酒習慣にも注意しましょう。
【参考情報】『The Link between Asthma and Weight』American Lung Association
https://www.lung.org/blog/the-link-between-asthma-weight
7.ストレス発散にオススメの方法は?
ストレスを発散する方法はいろいろありますが、自分に合わない方法では、逆にストレスが増します。
例えば、運動は非常によいストレス発散の方法といえます。
しかし、喘息患者さんの場合、自分の許容量を超える運動によって運動誘発性喘息を引き起こす恐れもありますし、体調によっては、寒い冬に外で運動をするのはおすすめできない場合もあります。
街に出てショッピングをすることで発散できる人もいれば、自然に触れてゆっくり過ごすことで発散できる人もいます。
自分に合った方法を選び、上手にストレスをコントロールしましょう。
8.おわりに
喘息に限らず、ストレスは健康の大敵です。
まずは自分のストレスを自覚すること、そしてストレスを溜めないこと、このふたつがストレス時代を生き抜くコツだと言えるでしょう。