喘息発作がおこったときにパニックにならないためには?
喘息患者さんにとって、最も怖いのが喘息発作でしょう。
喘息の症状には、咳や痰、息苦しさや「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)などがありますが、これらの症状が激しく出現することで、呼吸困難感を伴う深刻な状態に陥るのが喘息発作です。
この喘息発作によって、息苦しくて動けなくなってしまったり、場合によっては呼吸が停止してしまったりといった深刻な状態になることもあります。
また、喘息発作は呼吸困難を主症状とするため、パニック発作のような状態に陥ることがあります。そのため、「この呼吸困難感は喘息発作なのか、パニック発作なのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
もしも喘息発作が起きた時にはどうすべきか、患者さん本人だけではなく、家族やサポートする人(学校の教師や友人など)も取るべき行動を明確にしておく必要があります。
そこでこの記事では、喘息発作時にパニックにならないように、喘息発作の対処方法についてお伝えします。
目次
1.喘息発作時の対応方法とは?
喘息発作の対処方法は、発作の強度によって変わります。
息苦しさや会話ができるかできないか、歩くことができるかどうかなどによって発作の強度を判断し、小発作、中発作、大発作に分類します。
メプチンなどの発作治療薬(リリーバー)の使用や救急外来への受診のタイミングなどが非常に重要となるため、万が一発作が起きた時にはどうすればよいのかということを、発作のレベル別に事前に確認しておきましょう。
【参考情報】『ぜんそく発作の対処法』オムロン
https://store.healthcare.omron.co.jp/nebulizer-net/asthma/vol1-3.html
1−1.小発作への対応
小発作は、会話ができ、横になって休めるような息苦しさで、普通からゆっくりとした歩行が可能な状態です。
このような症状を感じた時は、リリーバーである短時間作用性β2 刺激薬を吸入します。症状の改善が不十分な場合には、20分後に再度吸入します。
それでも症状が改善しない場合は、もう一度吸入することができますが、呼吸苦がある場合には救急外来への受診を検討しましょう。
1−2.中発作への対応
中発作は、会話がやや困難で、息苦しくて横になることもままならないような状態です。
かろうじて歩くことはできても、立っているのも辛いといった状態です。
このような場合はすぐにリリーバーを使用して救急外来に受診します。
1−3.大発作への対応
喘息の大発作は苦しくて動けない状態です。
会話も歩行も困難で、周りのサポートが必須の状態です。
命の危険もあるため、すぐに救急車を呼びましょう。
【参考情報】『発作が起こったら…』独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/attack.html
2.喘息発作が起こりやすい状況を確認しておくこと
喘息発作は、夜間や早朝におこりやすいのが大きな特徴であり、季節の変わり目などの気温差の激しい季節は要注意です。
また、風邪を引いたときや体調が悪いときなどのほか、精神的に落ち込んでいるときなどにも発作が起こりやすいことがわかっています。
「自分はどのような時に発作が起こりやすいのか?」ということをしっかり把握しておきましょう。
【参考情報】『How To Manage Winter Asthma』Cleveland Clinic
https://health.clevelandclinic.org/how-to-manage-winter-asthma/
3.周囲の協力を得ることが大切
中発作や大発作が起こると、思うように話したり動いたりできないこともあります。自分一人では吸入薬を扱うことが難しい場合もあるため、発作時の対応を周囲と共有しておくことが重要となります。
特に小児の場合、学校などで過ごす時間が長いため、教師を始めとする大人のサポートが必要不可欠です。入園・入学前などには必ず事前に協力をお願いしておくことが大切です。
◆「喘息の子どもが保育園・幼稚園に入る前に知っておきたいこと」>>
4.喘息発作でパニックを起こさないためには?
【参考画像】「メプチンエアー10μg」大塚製薬
https://www.otsuka-elibrary.jp/support/102/3027/002/index.html
喘息発作によってパニックを起こさないようにするためには、上記のような事前の準備とリリーバーの携帯が非常に重要となります。
【参考資料】『薬が見える vol.3』MEDIC MEDIA
https://www.byomie.com/products/kusumie3/
人間は息苦しさを感じることで、パニックの状態になります。すると、脳内に大量のストレスホルモンが分泌され、普段どおりの冷静な判断ができなくなることも考えられます。
例えば、普段なら簡単に扱えるはずの吸入薬が使えなくなってしまったり、救急車を呼ぶ番号が分からなくなってしまったり、過呼吸に陥ったりなど、冷静な思考回路が働かなくなってしまうかもしれません。
だからこそ、周りの人達のサポートが必要なのです。
5.おわりに
発作を起こさないことが喘息治療の目標ですが、万が一発作が起きた際にも、素早く冷静に対応できるようにしっかりと準備をしておけば、余計な心配でストレスがかかるのを防ぐというメリットもあります。
身近に協力者がいないと場合は、かかりつけの医療機関に相談してみるなどして、いざという時に備えましょう。
【参考情報】『みんなのメンタルヘルス』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_panic.html