喘息とアレルギーの関係は?
気管支喘息は、気道や気管支とよばれる空気の通り道が何らかの原因で狭くなってしまうことで、激しい咳や痰の症状が現れ、呼吸が乱れ、場合によっては呼吸困難になってしまう恐ろしい病気です。
このように、喘息によってさまざまな症状が出現するのは、空気の通り道が狭くなってしまうことが原因です。
さらに、空気の通り道が狭くなってしまう根本的な原因のひとつには、アレルギー反応が存在します。
つまり、喘息とアレルギーには深い関係があり、その知識なくして喘息を治療することはできないのです。
そこで今回は、アレルギーと喘息の関係性を解説しながら、アレルギーが関連する喘息への対応方法を紹介します。
1.喘息の基本
喘息は、空気の通り道である気道や気管支に炎症が起こることで、激しい咳や痰、息苦しさ、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音)、胸の苦しさなどの症状が出現する病気です。
喘息患者さんの気道は慢性的炎症状態(長い間炎症が起きている状態)にあり、些細な刺激に対しても過剰に反応してしまうという特徴があります。
タバコの煙、ほこり、ペット、気温の変化、ストレスなど、生活環境に存在するさまざまな因子や要因によって気道の炎症が悪化し、急激に激しい喘息症状が出現することを喘息発作といいます。
重篤な喘息発作によって呼吸困難になってしまうケースも存在するため、喘息患者さんは、発作を未然に防止するように生活をする必要があります。
【参考情報】『喘息とは?/アレルギー』サノフィ
https://www.allergy-i.jp/zensoku/kihon/about/
2.喘息とアレルギーの関係性
そんな喘息の病態にはアレルギー(アレルギー反応)が大きく関与している事がわかっています。
2−1.アレルギーとは?
アレルギーという言葉はすでに一般的にも認知されていますが、喘息の病態を理解するためにも、まずはアレルギーについて少し説明します。
私たちの体には免疫とよばれる機能が備わっています。
免疫というのは、ウイルスや細菌、花粉やホコリなどの異物から自動的に身を守る働きのことです。
例えば、体の中にウイルスが侵入すると、免疫細胞の働きが活性化し、侵入したウイルスへの対策を行います。
このような免疫反応は自動的に行われ、常に私たちの体を監視し、外敵から守ってくれています。
しかし、この免疫機能に異常が発生したり、免疫機能が過剰に反応するようになると、本来私達の身を守るべき免疫細胞が私たち自身の体を攻撃(刺激)してしまうようになります。
この反応の総称が「アレルギー反応」です。
【参考情報】『アレルギーポータル』日本アレルギー学会・厚生労働省監修
https://allergyportal.jp/
2−2.喘息はアレルギー反応のひとつ
喘息にもさまざまなタイプのものが存在するため、明確なアレルギー物質を特定することができないタイプ(アレルギーが関連しない、もしくは不明)の喘息も存在します。
とはいえ、喘息発作の引き金となる原因の多くはアレルギー反応です。
花粉やタバコの煙などのアレルゲンに対して、免疫細胞が過剰に反応することで、気道の炎症が悪化して喘息発作が誘発されてしまうのです。
喘息発作の原因となるのは、花粉やホコリなど、一般的にアレルギーを連想しやすい物質のほか、ウイルス感染症、冷たい空気、大気汚染など、患者さんによってさまざまなものがアレルゲンとなり得ます。
【参考情報】『9 Asthma Triggers and What to do About Them』AAP(American Academy of Pediatrics)
https://www.healthychildren.org/English/health-issues/conditions/allergies-asthma/Pages/asthma-triggers-and-what-to-do-about-them.aspx
つまり、喘息発作を予防するためには、アレルゲンの特定が必要不可欠なのです。
喘息を治療するためには、気道の炎症を抑制するだけではなく、アレルギーへの対応が非常に重要となります。
【参考情報】『大人の喘息/サワイ健康推進課』サワイ製薬
https://kenko.sawai.co.jp/prevention/201712.html
◆「喘息・アレルギーを悪化させない、カビと掃除の注意点」>>
2−3.喘息治療に欠かせないアレルギー対策
このように、喘息の病態にはアレルギーが深く関係しており、喘息治療においてアレルギーへの対策は重要な課題です。
しかし、一言でアレルギーといっても、原因物質や注意すべきことは多岐にわたるため、喘息は診断と治療がとても難しい病気のひとつなのです。
だからこそ、喘息の診断と治療は呼吸器を専門としている呼吸器専門医の役割がとても重要になります。
気管支や気道の炎症を取り除いていく治療を行うだけではなく、専門的で適切な問診や検査を行うことで、個々の患者さんが持つアレルギー因子を特定し、日常生活への対応策を見出すことができます。
◆「呼吸器内科の専門医とは」>>
◆「呼吸器内科で行われる専門的な検査について」>>
3.おわりに
喘息治療は風邪の治療とは違い、咳を止めれば良いということではありません。
喘息発作を未然に防ぎ、喘息を完治へと導くために、正しい知識や生活習慣を患者さん自身とその周りの人に指導していくということが非常に大切です。
そのためにも、まずは呼吸器専門医や呼吸器疾患を専門に扱うクリニックで正しい診断と検査を受けることが重要になります。
喘息や喘息を疑う症状(激しい咳や呼吸の乱れなど)を感じている方は、ぜひ早めに呼吸器専門医へとご相談ください。