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喘息症状を改善させるには?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2021年10月02日

「喘息 治る」などのキーワードでネット検索を行うと、「喘息は体質に由来する病気のため治らない」というような内容を目にすることがあります。
 
喘息は風邪やインフルエンザなどの一般的な病気とは異なり、今の医学をもってしても完治するのは困難とされています。
 
花粉症などのアレルギー疾患をイメージすると分かりやすいでしょう。
体質的に花粉症を持っている人は、一見健康そうに見えても、毎年花粉のシーズンになると症状がひどくなります。
喘息も同様で、落ち着いている時もあれば、気候の変化や自分が苦手とする原因物質(アレルゲン)と接触することで、症状が出る時もあります。

しかし、適切な治療を継続することで、日常生活に支障が出ない状態をキープすることが可能です。

そこで今回は、喘息の症状を改善するためのポイントについてお伝えします。

1.喘息の症状にはどのようなものがあるか

はじめに、基本的な喘息の症状についておさらいしておきましょう。

●「ゼーゼー、ヒューヒュー」という喘鳴
●呼吸困難
●発作性の激しい咳、痰
●胸の痛み
●動悸、息切れ
●背中の張り、痛み

喘息はこれらの症状が常に起こるわけではなく、突発的に症状が現れることがあります。これを喘息発作と呼びます。

そのため、喘息を改善するということは、喘息発作が出ない状態をキープすることであると言えます。

発作を予防して症状の発現を未然に防ぎ、喘息でない人と同様の生活ができるようにすることを目指して治療していきます。

【参考情報】『喘息(ぜんそく)の原因』くすりと健康の情報局
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/33_zensoku/

◆「喘息の症状について」>>

2.喘息を改善するための治療

喘息とは、空気の通り道である気道と呼ばれる部分に炎症が起こっている病気です。
気道の炎症によって、通常であれば問題とならないような刺激(ダニやほこりなど)に対しても、体が過敏に反応してしまうようになり、前述したような激しい咳や喘鳴などの症状が発現します。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>
 
専門的には、喘息治療は症状の程度によって4つのステップに分かれています。
治療の開始時にさまざまな検査を行うのは、患者さん自身の喘息症状や病態がどのくらい進んでいるのかを判断して、どの治療ステップから開始すべきかを医師が判断するためです。

いずれの治療ステップにおいても、薬を使って気道の炎症を抑える治療を行っていきます。

【参考情報】『喘息治療のステップ/チェンジ喘息』アストラゼネカ
https://www.naruhodo-zensoku.com/treat/steps.html

◆「喘息治療のゴールと治療法」>>

3.喘息の症状を改善するポイント

3−1.専門医による適切な検査と治療を行う

まずは喘息を正しく診断することが重要です。
喘息は激しい咳を主体とする病態で、初期には風邪などとの鑑別(区別)が難しい場合もあります。
喘息の症状をただの風邪と思い込んで、市販の咳止め薬や去痰薬などを使用しているだけでは、喘息を改善させることはできません。

◆「市販の咳止め薬は効く?効かない?」>>

喘息を診断するためには、呼吸器専門医など、呼吸器疾患やアレルギー疾患に対して深い知識を持つ専門家の力が必要になります。それは、「喘息を正しく診断する」というのは医学的にとても難しいことだからです。
 
喘息という診断をした後も、治療方針の決定や継続的な経過観察などには専門的な知識や技術が必要になります。

明らかに風邪とは違う咳、2週間以上続く咳や痰、息苦しさなどがあるという人は、お早めに呼吸器専門医にご相談ください。

【参考情報】『喘息とは?』サノフィ
https://www.allergy-i.jp/zensoku/kihon/about/

◆「呼吸器内科の専門医とは」>>

3−2.自分の症状に対して知識を持つ

患者さん自身が喘息治療に積極的になるということが非常に重要です。
 
例えば、喘息治療では主に「吸入薬」とよばれるタイプの薬を使用します。
吸入薬は一般的な飲み薬とは違い、正しく吸入を行わなければ薬を患部に送り込む事ができませんので、説明をよく聞き、使い方を理解する必要があります。

◆「呼吸器内科で処方される薬について」>>
 
また、正しく喘息の治療を進めていくためには、患者さん自身で毎日の病態を把握して、記録することも大切になります。
高血圧の人が毎日血圧を測定するのと同じように、喘息患者さんも日々の呼吸の状態や薬の使用状況に意識を向けて生活することで、病気の状態を把握できます。また、その記録を医師が診察時に見ることで、今後の治療方針を決めるのに役立てることができます。

◆「喘息発作を起こさないための5つの習慣」>>

3−3.発作の原因物質を遠ざける

喘息の改善には、原因物質を物理的に遠ざけることも重要です。

例えば、タバコの煙との接触がないようにしたり、ハウスダストを吸い込まないように掃除をこまめにしたりなどといったことです。

◆「喘息・アレルギーを悪化させない、カビと掃除の注意点」>>

物理的な原因となるアレルギー物質を遠ざけることも、喘息改善のポイントとなります。

【参考情報】『7 Tips to keep your asthma under control』 the lung association
https://www.lung.ca/news/latest-news/7-tips-keep-your-asthma-under-control

4.おわりに

喘息の症状が改善されていけば、普段どおりの生活を送ることは十分可能です。
そのためには、喘息の基本的な知識や治療の継続の重要性など、患者さんご自身の理解が大切になります。

もし喘息の改善について悩んでいるという方は、お早めに呼吸器専門医へご相談ください。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

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