そのいびき、睡眠時無呼吸症候群のせいかもしれません
40代以降、「最近いびきがひどくなった」「自分のいびきがうるさくて起きることがある」など、いびきに悩む人が多くなります。
いびきによって寝付きが悪くなり、不眠傾向になってしまったり、身近な人への影響を考慮して、生活環境を変えざるを得ない方もいます。
このように、健康や生活を脅かすほどのいびきがずっと続いているなら、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群といびきの関係を解説します。
1.睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気か
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまったり、呼吸が浅くなったりして、体が低酸素状態になってしまう病気です。
この病気になると、睡眠の質や量の低下、頭痛、日中の倦怠感、抑うつ症状などが現れ、日中ボーッとしてしまうことがあります。すると、作業効率が低下するなどして仕事に影響が出たり、居眠り運転による交通事故を起こすことがあります。
また、睡眠時に体が極端な低酸素状態となることが続くと、脳梗塞や心筋梗塞など命にかかわる重大な合併症を引き起こす恐れもあります。
【参考情報】『Risk of motor vehicle accidents is higher in people with sleep apnea』American Academy of Sleep Medicine
https://aasm.org/risk-of-motor-vehicle-accidents-is-higher-in-people-with-sleep-apnea/
2.睡眠時無呼吸症候群の原因
原因として多いのは肥満です。肥満のため気道に脂肪がつくと、空気の通り道が狭くなり、睡眠時の呼吸がしにくくなることで無呼吸状態が発生します。
また、骨格が細い人やあごが小さめの人はもともと気道が狭いため、やせていてもを発症しやすい傾向があります。
まれに、脳や神経、心臓の病気が原因で起こることがありますが、この場合はいびきや昼間の眠気は少ないと言われています。
【参考情報】『SAS(睡眠時無呼吸症候群)外来』 東京医科大学病院
https://team.tokyo-med.ac.jp/kouku/info/sas.html
3.なぜ、いびきは出るのか
いびきは、どんな時に、どんな原因で出るのでしょうか。
睡眠中は全身の筋肉が緩むため、舌や喉の周りの筋肉も緩みます。さらに、寝ると重力で舌が喉の方に落ち込み、ますます気道が狭くなります。すると、狭くなった気道に入った空気が振動して音が発生します。その音がいびきです。
風邪やインフルエンザで、鼻詰まりや喉の腫れが発生していると、一時的にいびきをかきやすくなることがあります。しかし、原因となる病気が治ればいびきは改善されます。
また、疲れやアルコール、花粉症の薬などに含まれる「眠たくなる作用」を持つ成分の影響で、一時的にいびきが発生することもあります。
このような場合、いびきによって体に大きな影響が出ることはないので、心配する必要はありません。
【参考情報】『どんな人が「いびき」をかきやすい?』無呼吸ラボ(株式会社フィリップス・ジャパン)
https://mukokyu-lab.jp/snore/factor.html
4.睡眠時無呼吸症候群を疑ういびきとは?
体調の変化や生活リズムの崩れによるいびきは一時的なものですが、睡眠時無呼吸症候群に伴ういびきは治療が必要です。
睡眠時無呼吸症候群になると、寝ている間に何度も低酸素・無呼吸状態になります。しかし、そのせいで体調が悪くなっても、ただの寝不足や疲れとしか感じられず、病気の発見が遅れがちです。だからこそ、いびきが重要なサインとなります。
自分のいびきの音で目が覚めてしまったり、家族に指摘されることが多いようなら、病院で早めに検査を受けましょう。
5.睡眠時無呼吸症候群の検査とは
医師が問診で患者さんの健康状態や悩みを確認し、睡眠時無呼吸症候群の可能性があると判断した場合、簡易検査を行って就寝中の呼吸状態を確認します。
簡易検査の結果、さらに検査が必要と判断された場合は精密検査を行います。精密検査では、脳波・眼球運動・顎の動き・心電図など、より多くのデータを取るので、睡眠時無呼吸症候群の原因が気道の閉塞なのか、脳・神経・心臓の病気なのかが推測できます。
6.おわりに
いびきが出ていても「よくあること」として、あまり気にしない人も多いでしょう。しかし、その背後には、睡眠時無呼吸症候群という恐ろしい病気が潜んでいることがあります。
激しいいびきを繰り返していたり、就寝中に呼吸が止まっているのを家族から指摘されたという人は、早めに呼吸器専門医へご相談ください。