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1歳から3歳くらいの子どもが呼吸器内科を受診するめやす

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年11月25日

乳幼児は大人より気管支が細いため、軽い風邪をひいただけでも痰が詰まって、苦しそうな咳が出ることがあります。

多くの場合、風邪がよくなるとともに咳も減っていくのですが、咳が長引いているときは、風邪以外の呼吸器感染症か、アレルギーによる喘息になっている可能性があります。

この記事では、1歳から3歳くらいの子どもの咳について解説します。お子さんの咳が心配な方や、風邪と診断されたお子さんの咳が長引いている場合、参考にしてください。

1.赤ちゃんや子どもの咳で病院を受診する目安

赤ちゃんは生まれてから半年くらいの間は、母親からもらった抗体により感染症から守られています。しかしその時期を過ぎると、風邪をはじめとした呼吸器感染症にかかりやすくなります。

生後6カ月くらいからは、以下のような呼吸器感染症にかかることがあります。

 ・風邪
 ・インフルエンザ
 ・気管支炎
 ・肺炎
 ・RSウイルス感染症
 ・クループ症候群

◆「風邪」について詳しく>>

◆「インフルエンザ」について詳しく>>

◆「肺炎」について詳しく>>

◆「子どもに多い「RSウイルス感染症」」とは?>>

◆「クループ症候群」とは?>>

咳があっても元気で食欲があるなら、自宅で様子を見ていても構いませんが、次のような場合は病院を受診してください。

 ・呼吸が苦しそう(肩で息をしている、胸のあたりがへこむ)
 ・ぐったりしている
 ・顔やくちびるが青ざめている
 ・水分を与えても吐いてしまう
 ・咳がひどくて眠れない
 ・2週間以上咳が続いている

◆「咳が止まらない時に心配な病気の症状・検査・治療の基本情報」>>

2.何科を受診すればいいのか


乳幼児の病気は小児科で診ることができますが、症状によっては別の診療科で診ることもできます。

一般内科や耳鼻科でも乳幼児を診察しているところもありますが、対応年齢は病院によってさまざまなので、ホームページなどで調べておくとよいでしょう。

呼吸器内科である当院では、0歳児から対応可能です。風邪、インフルエンザなどの感染症や喘息など、咳に関する病気を呼吸器専門医が診察しています。

◆「呼吸器内科を横浜市でお探しなら」>>

3.呼吸器内科の受診を考えるとき

風邪と診断された後、熱や鼻水は出なくなったが咳だけが続いているときや、特定の季節や時間に咳が激しく出るときは、喘息の疑いがあります。

小さい子どもは、風邪や気管支炎でも「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘息のような呼吸をすることが多いため、呼吸器の診察に慣れていないと判断が難しいこともあります。

小児科で「喘息ではない」と言われたものの、咳が続いて心配なときは、念のため呼吸器内科で相談してみるといいでしょう。

◆「呼吸器内科を受診すべき症状とは?」>>

3−1.呼吸器内科とは

呼吸器内科とは、気管支・のど・肺など、呼吸に関する臓器や部位の病気を扱う診療科です。

風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症のほか、喘息、気管支炎、肺炎などの病気を扱っています。

【参考情報】『専門医検索』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/search/specialist/index.php

◆「呼吸器内科とはどんなところ?」>>

3−2.喘息とは

喘息とは、空気の通り道である気道が慢性的な炎症を起こして狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。

気道が炎症を起こしていると、「ホコリを吸った」「冷たい空気を吸った」などの刺激に反応して、激しい咳が出たり息苦しくなったりします。

喘息には、アレルギーが原因のものと、過労やストレスなどが原因になるものがありますが、乳幼児の喘息は、ほぼアレルギーが原因です。

治療をせずに放っておくと、さらに気道が敏感になって、ちょっとした刺激にも反応するようになります。すると、炎症が悪化してますます気道が狭くなり、症状がひどくなります。

◆「小児喘息」について詳しく>>

3−3.検査と治療

喘息の疑いがあれば、胸部レントゲン検査や血液アレルギー検査、吐いた息に含まれる一酸化窒素の量を調べる検査などを行います。

しかし、小さいお子さんには難しい検査もあるので、年齢や状況に応じて対応し、総合的に診断します。

そこで大事なのが、保護者からの情報です。「昼は元気だが夜になると咳が出る」「花火の煙を吸ったときに激しく咳込んだ」など、どのような時・場合に症状が現れたのかを具体的に説明してもらえると、診断の役に立ちます。

親や祖父母など近親者に、アレルギー体質の方がいるかどうかも大事なポイントです。「きょうだいがアトピー性皮膚炎の治療をしている」「祖父が子どものころ喘息だった」など、アレルギーによる病気にかかったことのある近親者がいれば、診察の際にお知らせください。

【参考情報】『Treating asthma in children under 5』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/childhood-asthma/in-depth/asthma-in-children/art-20044376

喘息と診断されたら、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬を吸入する薬物療法を行います。

◆「吸入薬」とは?」>>

4.年齢別・家庭でのポイント

喘息の治療は長期に渡り、しかも毎日の服薬が必要なので、慣れるまで親も子も大変かと思います。

しかし、服薬を続けて症状をコントロールできるようになれば、成長とともにほとんど健康な人と変わらない生活を送ることができるようになります。

治療に前向きに取り組んでいけるよう、子どもの年齢に応じて言葉や対応を選び、不安を軽くしていきましょう。

4−1.1歳前後

1歳半くらいになると簡単な指示がわかるようになってくるので、服薬の際には声がけし、できたらほめてあげてください。

4−2.2歳前後

毎日の服薬を嫌がることも増えてくるかもしれません。なるべく叱らなくて済むよう、お子さんの好きな動画を見ながら行うなど、楽しいことと一緒にするのもおすすめです。

◆「吸入器・ネブライザー」の使い方と工夫>>

4−3.3歳前後

走ったり、ダイナミックな遊びをすることが増えてきます。適度な運動は、体力をつけるために必要ですが、運動により喘息発作が誘発される心配もあります。どの程度の運動なら大丈夫なのか、運動中に咳が出たらどのように対処したらいいのか、医師に相談しておきましょう。

◆「喘息とスポーツ」について>>

5.おわりに

子どもの咳の原因はいろいろありますが、呼吸器内科を受診する際の目安となるポイントは「2週間以上咳が続いている」「特定の時間や季節になると咳が出る」です。

もし、小児科にかかってもなかなか咳がおさまらないときは、呼吸器内科または呼吸器専門医のいる病院で相談してみましょう。

咳の原因がわかれば、原因に応じた治療や投薬ができるので、専門医を上手に活用してください。

◆当院の小児喘息の治療について>>

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