ブログカテゴリ
外来

もしも喘息発作が起こったら~緊急時の対処法~

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年08月10日
SOS

喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が生じることで、気道が狭くなり空気が通りにくくなる病気です。

喘息の症状は、咳や痰、息苦しさ、喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸器音)、喘息発作などがあげられます。

喘息発作は、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)、たばこ、運動、風邪、気温・気圧の変化など、さまざまな刺激が原因となり起きてしまいます。

もしも突然、自宅や外出先などで喘息の発作が起こったら、症状の大きさに応じて対処しましょう。

1.喘息発作・3つの段階

喘息の発作は症状の大きさによって、「小発作」「中発作」「大発作」に分けられます。

1.小発作:咳や軽い喘鳴があって苦しいけれど、横になることはできる
2.中発作:咳や喘鳴がひどくなり、苦しくて横になれない
3.大発作:苦しくて動けない、会話がよくできない、意識がはっきりしない

◆「喘息の症状について」>>

2.喘息発作の対処法


まずは気管支拡張薬を使用しながら、発作の大小を見極めます。
「これくらい大丈夫」と我慢せずに、迷わず薬を使うことが大事です。

2−1.小発作の対処法

小発作が起きたら、すぐに気管支拡張薬を使用して、発作がおさまるのを待ちます。

悪化するようなら、20分後にもう一度気管支拡張薬を使用します。それでも良くならない時は、また20分後に3回目の吸入をします。

服薬後、ピークフロー値が基準値の70%以上に回復して、その状態が3~4時間続けば、ひとまず安心でしょう。

発作がおさまっても喉や胸に違和感がある時は、仕事や家事を中断し、休養してください。

薬を用いても2時間以内に発作がおさまらない場合や、悪化していく場合は、迷わず病院を受診してください。

2−2.中発作の対処法

中発作の場合も、まずは安静にして、薬を使いながら様子をみます。

気管支拡張薬を吸入して30分以内に発作が良くなってくるようなら、そのまま吸入を続けます。

20分おきに3回吸入しても症状が改善しなかったり、悪化していく場合は、迷わず病院を受診してください。

2−3.大発作の対処法

大発作が起きたら、すぐに救急車を呼ぶなどして、一刻も早く病院で治療を受けてください。

救急車を呼ぶ場合でも、20分おきに気管支拡張薬を吸入することを忘れないでください。

発作の時の薬として、医師から経口ステロイド薬を処方されている人は、そちらも規定の量を服用してください。

病院はかかりつけ医が一番安心ですが、夜間や休診日の場合は救急外来を利用しましょう。

【参考文献】『スーパー図解 ぜんそく 最新治療と健やかな毎日の知識』(監修:佐野靖之/法研)

◆「喘息で息苦しい時の応急処置」>>

3.ピークフロー値を把握しておきましょう

ピークフロー値とは、「フーッ」と目一杯に吐き出した息の速度(最大呼気流量)のことです。ピークフローメーターという専用器具を使って測定します。
ピークフローメーター2
この数値を毎日測定・記録しておくと、喘息のコントロールに大切な「自分の気道の状態」を客観的に把握することができます。

【参考情報】『Peak Flow Meter』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/articles/4298-peak-flow-meter

ピークフロー値の測定は毎日、朝と晩の決まった時間に、決まった姿勢で3回ずつ測定し、一番高い値を喘息日記に記録しましょう。

毎日の記録を見て、年齢・性別・身長から割り出した標準値より低い数値が続いているときは、気道が狭くなっているので、たとえ自覚症状はなくても発作が起きる可能性が高くなっています。

【参考情報】『ピークフロー測定とぜん息日記』
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/condition/peakflow.html

ピークフロー値が標準値より低い状態が続いている時は、病院を受診し、かかりつけ医に喘息日記を見せて相談してください。

◆「喘息や咳喘息にベストな病院選び」>>

4.おわりに

喘息の人にとって最も重要なことは、発作を起こさないようにすることです。

日々の生活の中から、発作の原因となる要素を取り除き、治療に取り組みましょう。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

それでも発作が起こった場合に備え、夜間や休日に対応してくれる病院をいくつか調べておき、住所や電話番号を控えておくと安心です。

また、発作時に必要な薬は常に持ち歩くようにしましょう。薬は実際に使わなくとも、持っているだけで安心できる「お守り」代わりになります。

◆「呼吸器内科を横浜市でお探しなら」>>

電話番号のご案内
電話番号のご案内
横浜市南区六ツ川1-81 FHCビル2階