喘息治療に用いる気管支拡張薬「ユニフィル」の特徴と効果、副作用
ユニフィルは気管支拡張薬で、主に喘息の治療に用いる錠剤(ユニフィルLA錠)です。
この記事では、ユニフィルの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ読んでください。
1.ユニフィルとはどのような薬か
ユニフィルは、テオフィリンという成分を主とした内服薬(飲み薬)です。炎症によって狭くなった気管支を拡げ、呼吸をラクにします。
テオフィリンは、気管支を拡げる作用をもつ体内物質・cAMP(サイクリックAMP)の働きを妨げる酵素を阻害することで、cAMPの力を強めます。
【参考情報】『UNIPHYL- theophylline anhydrous tablet』DailyMed|National Institutes of Health
https://dailymed.nlm.nih.gov/dailymed/drugInfo.cfm?setid=c4c80b87-fc6e-436d-84de-7a0cd9d895eb#:~:text=Theophylline%20is%20indicated%20for%20the,e.g.%2C%20emphysema%20and%20chronic%20bronchitis.
2.ユニフィルの使い方
ユニフィルLA錠は、1日1回夕食後に、水かぬるま湯と一緒に飲みます。
通常、成人は1回に400mg服用しますが、ユニフィルの薬物動態(体内での薬の働き)は個人差が大きいため、年齢や症状により、服用量は違ってきます。
特に高齢者が使用する際には、200mgなどの低用量から投与を開始することが推奨されています。
ユニフィルを使用する際には、テオフィリンの血中濃度を測定しながら、患者さん一人ひとりに合わせた用量設計や投与計画をしていきます
ですから、必ず医師の指示に従って服用し、自己判断で量や回数を調節しないようにしましょう。
3.ユニフィルの副作用
ユニフィルの副作用には、以下のようなものがあります。
・吐き気
・動悸
・めまい
・手足の震え
・不眠
・食欲不振
・神経過敏
ユニフィルの成分であるテオフィリンは、カフェインと似たような作用をするので、コーヒーやチョコレート、栄養ドリンクなどカフェインが含まれた飲食物を多く摂ると、上記のような副作用が現れることがあります。
特に注意すべき副作用としては、痙攣、意識障害、急性脳症、横紋筋融解症、消化管出血などがあります。
以下のような症状が現れたら、すぐに主治医に報告してください。
・顔や手足の筋肉がぴくつく
・自分の意思とは関係なく体が動く
・急に体がだるくなる
・ふらつきがあり冷や汗が出る
・力が入らない
・体がかゆくなる
・体重が減る
子どもが発熱時に服用すると、副作用が出やすくなります。風邪などで熱が出た時は、医師と相談しながら、一時的に量を減らすことがあります。
【参考情報】『医薬品・医療機器等安全性情報』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/01/h0126-1.html
4.使用上の注意点
ユニフィルLA錠は、「噛まずに」飲んでください。
ユニフィルLA錠は、体の中で徐々に薬剤が放出され、薬の効果が長く続くように設計されている「徐放性製剤」というタイプの薬です。
そのため、噛み潰してしまうと、薬の効果が急激に現れてしまうことがあります。
【参考情報】『徐放性製剤の粉砕投与』日本医療機能評価機構
https://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_158.pdf
錠剤が大きくて飲みにくいと感じる方は、小さいものに変えたり、二つに割って飲むこともできるので、医師や薬剤師にご相談ください。
飲み忘れた際は、すぐに気づいた場合は1回分を飲んでください。遅くに気づいた場合は、忘れた分を抜き、次回から指示通りに飲んでください。
妊娠中やその可能性のある方、授乳中の方は医師に相談してください。
【参考情報】『Pregnancy and Asthma』American College of Allergy Asthma and Immunology
https://acaai.org/asthma/asthma-101/who-gets-asthma/pregnancy-and-asthma/
また、タバコを吸ったり、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)というハーブを摂ると、薬の効果が弱まることがあるので避けてください。
【参考情報】『St. John’s wort』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements-st-johns-wort/art-20362212
5.ユニフィルLA錠の薬価
ユニフィルLA錠の薬価(2024年8月調べ)は、以下となります。
・ユニフィルLA錠100mg 8.4円/錠
・ユニフィルLA錠200mg 7.7円/錠
・ユニフィルLA錠400mg 9.7円/錠
ユニフィルLA錠の代わりとなるジェネリック医薬品は「テオフィリン徐放錠」です。
6.おわりに
ユニフィルと同じように、テオフィリンを主成分とした薬には、以下のものがあります。
ユニフィルは血中濃度の個人差が大きい薬剤なので、処方にはより専門的な知識や経験が必要となります。
体調がよくなったからといって、自己判断で薬を止めたり量を減らすと、病状が悪化することがあります。必ず専門医の指示に従い、しっかりと服用を続けてください。