食物アレルギーと糖分に注意!喘息の人がフルーツ摂取で気をつけたいこと
喘息の患者さんは、バランスの良い食事を心がけたり、アレルギーを起こしやすい食材を避けたりと、食生活に気を付けていることが多いのではないでしょうか。
この記事では、喘息の人がフルーツを摂取する場合の注意点をお伝えします。毎日の食事や栄養補給に、ぜひ役立ててください。
1.フルーツ摂取量の目安
一般的にフルーツの摂取量の目安は、「1日当たりおおよそ200~300g」とされています。
生のフルーツの場合、種や皮などの食べられない部分を除くと、以下の量が目安になります。
・りんご 1個
・なし 1個
・柿 1個
・グレープフルーツ1個
・ブドウ 1房
・バナナ 2本
・温州みかん 2個
喘息の方は、日常的に糖質を多く摂っていると症状の悪化につながります。したがって、フルーツの摂取量の目安は、1回につき糖質10gまでをおすすめしています。
糖質10gまでの果物は、以下の量が目安になります。
・りんご 1/3個まで
・なし 1/3個まで
・柿 1/3個まで
・バナナ 1/3個まで
・みかん 1個まで
・キウイ 1個まで
フルーツは糖分(果糖)を多く含みます。摂りすぎは肥満や生活習慣病への悪影響もあるため、適量を心がけましょう。
また、フルーツに含まれているビタミンや葉酸、カリウムなどは水溶性の栄養素なので水に溶けやすく、加工や加熱により失われる可能性があります。
剥くのが面倒などの理由で、加工されたフルーツを食べたくなることもあるでしょう。しかし、フルーツの栄養を余さず摂りたいなら、生で食べる方が良いです。
【参考情報】『FACT BOOK 果物と健康 六訂版』農林水産省「国産果実競争力強化事業」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/engei/attach/pdf/iyfv-53.pdf
2.フルーツを摂取する時の注意点
フルーツは栄養豊富な食物であり、適切な量を摂取することは推奨されています。
しかし、フルーツの種類や製品によっては注意したい点もあります。
2−1.果物アレルギー
果物アレルギーとは、食物アレルギーの一種です。特定のフルーツを食べると、口の中が腫れたり、かゆくなったりします。
果物アレルギーは、特定の花粉にアレルギー反応を起こす人が、似たようなアレルゲンを持つフルーツに反応することが多いのが特徴です。
・シラカバ花粉:リンゴ、モモ、キウイ など
・ブタクサ花粉:メロン、スイカ、バナナ など
中でもキウイは、特にアレルギーを引き起こしやすいフルーツだと言われています。キウイには「アクチニジン」というタンパク質が含まれており、これに反応すると、アレルギーの症状が現れることがあります。
【参考情報】『キウイフルーツアレルギーについて』神奈川県 食物アレルギー実態調査より
https://www.pref.kanagawa.jp/sys/eiken/011_chemicals/files/110302_allrgy_panels_06.pdf
喘息の患者さんは、何らかのアレルギーを持っていることが多く、食物アレルギーを合併していることも珍しくありません。
アレルギーを引き起こすフルーツを食べると、気道の炎症が悪化して、咳や息苦しさが現れる可能性があります。
【参考情報】『食物アレルギーから気道アレルギーへ』日本小児アレルギー学会誌 第14巻第1号 78~81, 2000
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspaci1987/14/1/14_1_78/_pdf
その他、ゴム手袋などに含まれる成分・ラテックスでアレルギー起こす人が、バナナ・キウイ・マンゴー・パパイヤなどのフルーツに反応し、症状が現れることがあります。
もしフルーツを食べて体調が悪くなったら、すぐに食べるのをやめて、病院を受診してください。
2−2.ドライフルーツの亜硫酸塩
ドライフルーツには、変色を防いでおいしそうに見せるため、亜硫酸塩(酸化防止剤)が添加されていることがあります。
亜硫酸塩は、ワインやソーセージなどにもよく使用されていますが、喘息やアレルギー症状の原因となる可能性があります。
【参考情報】『Sulfite Sensitivity』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/articles/11323-sulfite-sensitivity
ドライフルーツは持ち運びにも便利で、かつ、皮を剥く手間もないことから、好んで食べる人も多いでしょう。
しかし、喘息の人は亜硫酸塩を避けた方が安心なので、商品を購入する際は食品表示をチェックして、無添加のものを選びましょう。
2−3.糖分も多く摂取してしまう
フルーツには、糖分(果糖)もたくさん含まれています。特に最近は、消費者の好みに合わせて、糖度が高い品種が増えています。
糖分を摂り過ぎてしまうと、余分な量は肝臓で中性脂肪として蓄えられます。そして、中性脂肪が体の中に溜まっていくと、肥満や生活習慣病につながる恐れがあります。
【参考情報】『果糖摂取が血中の中性脂肪値に及ぼす影響について』南九州大学研究報告 第51巻:1-8(2021)
https://www.nankyudai.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2022/04/ea1768f5079131a40b50f715f86d67ad8eecaa76.pdf
さらに、缶詰のフルーツやドライフルーツ、フルーツジュースには、砂糖などで甘味を加えられていることも多いので注意が必要です。
フルーツに含まれるビタミンやミネラル、食物繊維は、野菜でも摂取することができます。
バランスよく栄養を摂取しようと思い、積極的にフルーツを食べている方は、フルーツの代わりに野菜を増やすことで糖分を減らし、より健康的な食生活に改善することができます。
忙しくて調理の時間が取れない方や、小食のためたくさん野菜を摂るのが難しい方などは、サプリでビタミンやミネラルを補給すると、糖分の摂り過ぎを防ぐことができます。
◆「ビタミンCのおもな特徴とアレルギー疾患を改善するはたらき」>>
3.おわりに
喘息の患者さんがフルーツを摂る場合、アレルギーと糖分に気を付ける必要があります。
アレルギーの症状が出ない人が、適切な量を食べるのは構いません。しかし、糖分を控えたいなら、フルーツに含まれる栄養素は野菜やサプリで摂取した方がいいでしょう。
また、同じ種類のフルーツばかり食べていると、食物アレルギーが発症しやすくなります。フルーツを食べるなら、「いろいろな種類を」「少しだけ」「旬を楽しみながら」食卓に取り入れてください。