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睡眠時無呼吸症候群の精密検査について

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年10月13日

病院で「睡眠時無呼吸症候群の疑いがある」と判断されたら、診断に必要な検査を行うことがあります。

検査には、自宅でできる「簡易検査」と、医療機関で行う「精密検査」があります。この記事では、精密検査の方法と、結果の見方について説明します。

検査の前に手順を確認しておきたい人や、検査を不安に感じている人は、ぜひ読んでください。

1.睡眠時無呼吸症候群とは


睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に気道が狭くなり、無呼吸や低呼吸を繰り返す病気です。

放っておくと、睡眠不足による居眠り運転や、心筋梗塞など命にかかわる合併症を引き起こす恐れがあります。

◆「昼間の眠気」睡眠時無呼吸症候群の初期症状かも?>>

【参考情報】『Sleep apnea』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/sleep-apnea/symptoms-causes/syc-20377631

◆「睡眠時無呼吸症候群」についてもっと詳しく>>

2.簡易検査


病院の問診で、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると判断されたら、まずは簡易検査を行います。

簡易検査では「アプノモニター」という小型の機械を使用します。患者さんは、アプノモニターを自宅に持ち帰り、夜寝る前にご自身でセットします。

◆「簡易検査」について詳しく>>

簡易検査の結果は、睡眠1時間当たりの無呼吸と低呼吸の合計回数である「AHI(無呼吸低呼吸指数)」という指標をもとに見ていきます。

AHIが5未満なら、睡眠時無呼吸症候群ではないと判断されます。40以上なら明らかに重症なので、すぐに治療を開始します。

◆「AHI」について詳しく>>

3.精密検査


簡易検査の結果、さらに詳しい検査が必要だと判断された場合は、ポリソムノグラフィー(PSG)という精密検査を行います。

精密検査は、医療機関や検査施設に一泊して行うことが多いのですが、当院では入院せずに自宅で検査を受けることも可能です。

ポリソムノグラフィーでは、体にたくさんのセンサーをつけて一晩眠ることで、以下のような項目をチェックします。

 ・脳波

 ・眼球運動

 ・筋電図

 ・心電図

 ・血液中の酸素の量

 ・鼻や口の中の空気の流れ

 ・胸部や腹部の動き

 ・いびきの音

例えば、脳や眼球が活発に動いているなら、眠っている間も脳が休まらず、疲れがとれていないことがわかります。

胸部や腹部の動きを見れば、睡眠時無呼吸症候群のタイプが、気道が狭くなったことで起こる「閉塞性」なのか、脳や神経、心臓の病気が原因で起こる「中枢性」なのかが推測できます。

◆「睡眠中に気道が狭くなる原因」についてもっと詳しく>>

◆「心不全」との関係>>

また、周期性四肢運動障害やナルコレプシーなど、ほかの睡眠障害があれば、そちらの診断にも役立ちます。

【参考情報】『睡眠障害』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-027.html

4.精密検査の流れ

以下、基本的な精密検査の流れを見ていきましょう。

①入院
夕方過ぎ、仕事帰りなどに病院へ行き、そのまま入院の手続きをします。

②診察
センサー装着前に、体の状態をチェックします。

③センサーを装着
30分から1時間くらいかけて、頭やあご、腹など全身にセンサーをつけます。
 
④就寝
眠ると、自動で記録が開始されます。寝ている間に検査が終わります。

眠れない場合は、睡眠薬が処方されることがあります。

◆「睡眠時無呼吸症候群でも使える睡眠薬」とは>>

⑤起床
センサーを外します。

⑥退院
退院後、そのまま職場に直行する方も多いです。

⑥検査結果を確認
1週間ほどしたら、病院を受診して、検査結果を確認します。

精密検査の費用は保険適用(3割負担)で3~4万円程度です。トラックやタクシーの運転手など、運転業務に就いている方は、会社が費用を負担してくれる場合もあります。

◆「睡眠時無呼吸症候群と運転業務の関係性」についてもっと詳しく>>

5.検査後の治療について


AHIが20以上なら、睡眠中の呼吸をサポートする医療機器・CPAP(シーパップ)による治療が保険適応となります。

◆「CPAP」について詳しく>>

CPAPのほか、マウスピースやASVなど、結果に応じて適切な治療を検討・開始します。

◆「マウスピース」について詳しく>>

◆「ASV」について詳しく>>

睡眠時無呼吸症候群と診断されたら、月1回程度通院し、治療の効果が出ているかどうかを確認します。

まじめに治療に取り組めば、ぐっすり眠ってスッキリ起きられるようになり、AHIの数値も下がってきます。

◆「呼吸器内科での治療」について詳しく>>

6.おわりに

精密検査は、眠っている間に終わり、痛みや苦痛はありません。会社勤めの方も、仕事帰りに入院して一泊し、翌朝退院して出勤できるので、仕事への影響は少なくて済みます。

精密検査で重症だと判断されても、治療で改善することは可能です。睡眠の質を上げ、病気による事故や合併症を防いで、健康な生活を取り戻しましょう。

◆当院の睡眠時無呼吸症候群治療について>>

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