「世界喘息デー」を知っていますか?
喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が生じ狭くなることで呼吸がしづらくなる病気です。
喘息の人数は世界中で2億6000万人を超えると言われています。
5月の第1火曜日は、世界喘息デーです。
世界喘息デーは、喘息という病気について広く知ってもらうための日で、各国でイベントやセミナーなどが開催されます。
目次
1.世界喘息デーとは
世界喘息デー(World Asthma Day)は、喘息の予防や治療に関する情報を発信し、この病気についての正しい知識を広めることを目的とした日です。
この日は毎年テーマが設けられ、そのテーマに沿って、世界中でさまざまな情報が提供されます。
以下、最近のテーマです。
・2020年 Enough Asthma Deaths(喘息死はもうたくさんだ)
・2021年 Uncovering Asthma Misconceptions(喘息の誤解を解き明かす)
・2022年 Closing Gaps in Asthma Care(喘息治療のギャップをなくす)
・2023年 Asthma care for All(すべての人に喘息の治療を)
・2024年 Asthma Education Empowers(喘息教育が力を与える)
テーマは毎年異なりますが、喘息の予防や早期発見、喘息患者の生活改善や健康をサポートするための情報を発信するなど、問題を解決するために役立つさまざまな取り組みが行われます。
【参考情報】『WORLD ASTHMA DAY 2023』Global Initiative for Asthma
https://ginasthma.org/world-asthma-day-2023/
2.Global Initiative for Asthmaとは
世界喘息デーは、Global Initiative for Asthma(GINA:ジーナ)という団体によって制定されました。
GINAは、喘息の専門家からなる非営利団体で、治療の標準化を目指して、喘息の管理と予防に関する世界的なガイドラインを作成しています。
また、患者やその家族、医療従事者に役立つアクションを起こしたり、治療に関する最新の知見を収集しています。
例えば、大気汚染など病気の要因となりうる問題への対策に取り組んだり、発展途上国の患者が、低価格で治療薬を入手できるよう、企業や自治体に協力を呼び掛けています。
【参考情報】『ABOUT US』Global Initiative for Asthma
https://ginasthma.org/about-us/
3.呼吸器疾患に関する啓発デー
世界喘息デー以外にも、病気に関する正しい知識の普及と理解を求める啓発デーはいくつかあります。
その中で、呼吸器疾患に関する日を紹介します。
3-1.世界アスペルギルスデー(World Aspergillosis Day)
アスペルギルス症という肺の病気に関する情報提供や患者への支援を目的とし、毎年2月1日に開催されます。
アスペルギルス症は、アスペルギルス属の真菌(カビ)を吸い込むことで感染する病気です。健康な人がかかることはめったにありませんが、肺の持病がある人や、免疫抑制剤を使用している人は、かかることがあります。
【参考情報】『World Aspergillosis Day 2023』National Aspergillosis Centre
https://aspergillosis.org/world-aspergillosis-day/
3-2.世界結核デー(World Tuberculosis Day)
ドイツの細菌学者であるロベルト・コッホが、結核菌を発見したことを発表した日である3月24日にちなんで制定されました。結核に対する関心を高め、撲滅のために取り組む日として、世界保健機関(WHO)が主催しています。
結核は、昔の病気というイメージがあるかもしれませんが、今でも日本では毎年約2000人、世界では約150万人の方が亡くなっている病気です。
【参考情報】『結核の常識2022』結核予防会
https://jata.or.jp/dl/pdf/common_sense/2022.pdf
3-3.世界禁煙デー(World No Tobacco Day)
タバコの健康への影響を知らせ、喫煙率の低下を目指す日です。毎年5月31日に、世界保健機関(WHO)が実施しています。
タバコは、喘息や肺がん、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患を引き起こすリスクとなります。喫煙者はこの日をきっかけに、禁煙にチャンレンジするのもいいでしょう。
また、厚生労働省は、この日に合わせて、毎年5月31日~6月6日を禁煙週間と定めています。
【参考情報】『喫煙と呼吸器疾患』 e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-03-003.html#:~:text=%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E3%82%92%E5%90%B8%E3%81%86%E3%81%A8%E3%80%81%E5%9F%BA%E7%A4%8E,%E4%BD%8E%E4%B8%8B%E3%81%AB%E3%82%82%E3%81%A4%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
3-4.世界 COPD デー(World COPD Day)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気への意識を高める日として、毎年11月の第3水曜日にキャンペーンが行われます。
COPDは、「肺の生活習慣病」とも言われている病気で、患者さんのほとんどは喫煙者、または、過去に喫煙の習慣があった人です。
【参考情報】『COPD(慢性閉塞性肺疾患)』健康イベント&コンテンツ|厚生労働省
https://www.smartlife.mhlw.go.jp/event/disease/copd/
◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>
3-5.肺がん撲滅デー
アメリカでは、11月の第3週が「タバコ警告習慣」とされていることから、国際肺癌学会が、同じ時期である11月17日を肺がん撲滅デーに制定しました。
11月は、国際的な肺がん啓発強化月間(Lung Cancer Awareness Month)でもあり、 肺がんに関するセミナーやイベントが開催されます。
【参考情報】『A Proclamation on National Lung Cancer Awareness Month, 2022』The White House
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/presidential-actions/2022/10/31/a-proclamation-on-national-lung-cancer-awareness-month-2022/
◆「40歳以上と喫煙者は知っておきたい!肺がんの基礎知識」>>
4.もしかして喘息?と思ったら
喘息の主な症状は「咳」です。
風邪やインフルエンザなど、ほかの病気でも咳は出ますが、そのような場合は、病気が治れば咳は出なくなります。
しかし、喘息の咳は病院で治療をしなければ治まりません。また、市販薬で咳を抑えることもできません。
咳が2週間以上続いていて、以下の項目に当てはまる場合は、喘息の疑いがあるので病院を受診してください。
・夜間から早朝にかけて咳き込むことが多い
・季節の変わり目など、寒暖差が激しい時に咳がひどくなる
・冷たい空気や強い香り、煙を吸うと、咳が止まらなくなる
・咳とともに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という呼吸音がする
・犬や猫などのペットに近づくと、咳が出る
・風邪を引いた後、咳だけがしつこく続いている
治療では、気道の炎症をコントロールする吸入ステロイド薬を中心に、発作が起こった時に止める薬、アレルギー反応を抑制する薬などを用いて、症状を改善していきます。
◆「ヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸音・喘鳴(ぜんめい)とは?」>>
5.おわりに
WHOの報告によれば、世界では245万人以上の方が喘息で亡くなっています。
【参考情報】『Asthma』WHO
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/asthma
しかし日本では、吸入ステロイド薬の普及とともに、喘息死の数は減少傾向にあります。
たとえ喘息と診断されても、ハウスダストやタバコ、肥満など病気のリスクを減らし、治療を続けていけば、健康な人と変わらない生活を送ることができます。
正しい知識を身につけ実践し、最新の情報もキャッチして、体調を管理していきましょう。