花粉症の検査方法と種類
鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどの症状でつらい花粉症はアレルギーの一種ですが、アレルギーを引き起こす原因となる物質は、花粉以外にもたくさんあります。
また、花粉症の原因となる植物も、スギやヒノキだけではありません。
日本における花粉の飛散は、主にスギとヒノキが春を中心に多いですが、秋にはブタクサやヨモギ、また地域によってはイネ科の花粉が1年を通して飛散しています。
そして、花粉症と同じような症状でも、1年中症状がある場合は、花粉ではなく、ダニやハウスダストなどが原因でアレルギー反応を引き起こしている可能性があります。
適切な治療を受け、不快な症状を和らげるには、まずは原因となる物質を突き止めることが肝心です。
この記事では、花粉症をはじめ、アレルギーの原因となる物質を特定する検査の方法を紹介します。
目次
1. 花粉症の検査方法
花粉症であるかどうか、また、どのような種類の花粉で症状が起きるのかを判断するための検査方法は、大きく分けると(1)血液検査、(2)鼻・目の検査、(3)皮膚テストの3種類があります。
1-1.血中総IgE値測定
花粉をはじめ、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が体内に入ると、原因となる物質を取り除こうとする仕組みが働き、IgE抗体が作られます。
血中総IgE値測定は、指先から少量の血液を採取して体内にあるIgEすべての量を調べ、アレルギーの有無や程度を調べる検査です。一般的に、IgEの量が多いほど、アレルギーが強いとされます。
【参考情報】『IgE抗体~アレルギーを知ろう』日本アレルギー学会
https://www.jsa-pr.jp/html/knowledge.html#IgE
1-2.特異的IgE検査(RAST)
花粉症の人は、花粉に対するIgE抗体がたくさん作られています。その中でも、スギ花粉で発症しやすい人はスギ花粉のIgE抗体、ヒノキ花粉で発症しやすい人はヒノキ花粉のIgE抗体がたくさん作られているなど、IgE抗体の種類や量には個人差があります。
特異的IgE検査は、IgE抗体の種類を調べ、アレルギーを引き起こす物質が何かを特定する検査です。原因となる物質がわかるだけではなく、その物質で起こるアレルギーの強さも6段階で評価されます。血中総IgE値測定と同じく、指先から少量の血液を採取して検査します。
検査には、採血から結果が分かるまで数日かかるもの、検査から約20分後に結果を聞くことができるものがあります。検査でわかる項目や料金もそれぞれ違うので、医師と相談して自分に合った検査を受けてください。
1-3.鼻汁好酸菌検査
鼻をかんでもらい、その鼻汁を顕微鏡で調べる検査です。鼻汁の中に、白血球の一種である好酸球という物質が増えていると、アレルギーの疑いがあります。
ハウスダストやダニなどが原因で引き起こされるアレルギーでは、1年を通して好酸球が多いのに対し、花粉症では、原因となる花粉が飛散している時期にだけ好酸球が増えます。
目がかゆいなど目の症状がある方も、同じように目の結膜の分泌液を調べる事で、アレルギーによる症状なのかどうかを調べることができます。
1-4.鼻粘膜誘発検査
鼻の粘膜に、原因と考えられる花粉エキスがしみ込んだ紙を貼り付け、どんな症状が出るかを調べる検査です。かゆみやくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が出たら、花粉症だと判断します。
1-5.プリックテスト
皮膚テスト用の針(プリック針)を刺して、少量のアレルゲンを皮膚に入れます。約15分後、その箇所が虫刺されのように赤くなったり腫れたりしていたら、アレルギー症状を起こす可能性があると判断します。
【参考情報】『What is a skin prick test? Allergic Rhinitis (Hay Fever)』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/8622-allergic-rhinitis-hay-fever#:~:text=This%20blood%20test%20is%20called,allergens%20are%20causing%20your%20symptoms.
似たような検査方法として、皮膚に小さな擦り傷をつけ、少量のアレルゲンをつけて反応を見る、スクラッチテストがあります。
2. 検査で花粉症だとわかったら
まずは、できるだけ花粉に触れないようにしましょう。外出を控える、マスクやメガネを着用する、空気清浄器を利用するなど、なるべく花粉が体に入らないよう、適切な対策を施しましょう。
疲労やストレス、睡眠不足も、症状を悪化させる要因となります。栄養バランスの良い食事や適度な休息を心掛け、できるだけ規則正しい生活を送りましょう。
病院での治療としては、症状を抑えることが目的の治療(対症療法)と、症状の原因そのものをなくしていくための治療(根治療法)があります。症状を和らげるには、花粉が飛び始める前から薬を服用するのが有効です。
検査の結果、花粉以外の物質が原因でアレルギー症状を起こしていると判断されるかもしれません。また、アレルギーとは別の原因で症状が出ていると診断される場合もあります。そのような時は、適切な対処法や治療法を医師に確認してください。
3. おわりに
花粉症の検査は、内科や耳鼻咽喉科、小児科など、さまざまな診療科で実施しています。
当院でも、花粉症をはじめとするアレルギーの検査を行っています。特定の季節になると症状が出る方はもちろん、花粉症のような症状が長く続いている方など、気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
【参考文献】『あなたの知らない 花粉症の治し方』大久保公裕/暮しの手帖社