カルシウムが不足すると、どうなる?
日本人の栄養摂取量は、平均的にどの栄養素も所要量をほぼ満たしています。
しかし、その中でも国民健康・栄養調査開始以来一度も所要量を満たしていない栄養素があります。それが、カルシウムです。
日本人のカルシウム摂取量は平均約500㎎であり、推奨されている量の60~70%程度しか摂れていません。
この記事では、カルシウムのはたらきや必要性についてお伝えします。効率的な摂取法についても紹介しますので、ぜひ読んでください。
目次
1.カルシウムとはどのような栄養素か
カルシウムは人体の中で最も多く含まれるミネラルであり、成人の体重のうち約1kg分を占めています。
カルシウムには、歯や骨を形成するはたらきがあることはよく知られていますが、それ以外の役割もあります。
1−1.歯や骨を形成する
体内のカルシウムのほとんどは、骨や歯のエナメル質に「リン酸カルシウム」として含まれています。
骨内のカルシウム量は、成長期の間に増加して20~30代でピークを迎え、その後は減少していきます。
そのため、成長期にしっかりとカルシウムをとり、骨量を高めていくことが大切です。
1−2.筋肉や神経のはたらきに関与する
カルシウムは血液や筋肉、神経内にカルシウムイオンとして存在し、血液凝固を促して出血を予防したり、筋肉の収縮や神経の興奮抑制に関与してはたらきます。
【参考資料】『カルシウム』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
2.カルシウム不足で起こる症状
カルシウムが不足すると、さまざまな症状や病気を引き起こします。
2−1.骨粗しょう症
カルシウムが不足すると、骨がスカスカになり、骨粗しょう症になる恐れがあります。
骨粗しょう症になると、骨がもろくなり骨折しやすくなります。患者は高齢者に多く、寝たきりの原因にもなります。
将来、骨量が減らないように、骨の成長が活発な成長期や若いときにカルシウムを積極的に摂っておくことが大切です。
2−2.動脈硬化や高血圧
カルシウムが不足すると、骨に貯蔵されているカルシウムが不足分を補うために血液中に流れ出します。
すると、体内のカルシウムバランスが崩れ、ホルモン分泌や筋肉の動きに影響が出てしまいます。
また、カルシウムが細胞に溜まって血管が硬くなり、動脈硬化や高血圧の原因にもなります。
3.カルシウムの摂り方
大人のカルシウムの推奨量は、1日600~800mgです。
成長期の子どもは骨の成長が活発なので、推奨量は大人より多く700~1000mgとなります。
3−1.カルシウムが豊富な食品
カルシウムが多く摂れる食品は、次のようなものです。
・牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品
・ししゃもなど骨ごと食べられる小魚
・豆腐や納豆などの大豆製品
・小松菜や切り干し大根などの野菜類
【参考資料】『みんなの食育』農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics1_05.html
牛乳やヨーグルトなどの乳製品はカルシウムが豊富なのですが、中に含まれる「カゼイン」というたんぱく質がアレルギーの原因となることがあります。
牛乳・乳製品が体に合わない人は、野菜や小魚、豆類からカルシウムを摂りましょう。アレルギーのない人も、いろいろな食品からカルシウムを補給しましょう。
3−2.カルシウムの吸収をよくする「ビタミンD」
ビタミンDは腸管でのカルシウムの吸収を促進します。
ビタミンDを多く含む食品には、しらす、紅鮭、きくらげ、きのこ類などがあります。
また、日光に当たることでビタミンDを体内で生成できるので、1日15分程度日の光を浴びるといいでしょう。
3−3.カルシウム吸収を妨げる「リン」
リンにはカルシウムを排泄するはたらきがあり、カルシウムの吸収を妨げてしまいます。
特に、スナック菓子や加工食品には食品添加物である「リン酸」が多く含まれているので、食べ過ぎないようにしましょう。
【参考情報】『High Consumption of Soft Drinks Is Associated with an Increased Risk of Fracture: A 7-Year Follow-Up Study』National Center for Biotechnology Information
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7071508/
4.おわりに
カルシウムが不足すると、骨粗しょう症をはじめとする様々な病気の原因となります。
・乳製品、小魚、大豆製品などカルシウムが多い食品を積極的にとる
・紅鮭やきのこ類などビタミンDの多い食品も積極的にとる
・スナック菓子や加工食品はリンが多いので控える
上記のポイントを意識して、丈夫な骨や体を保ちましょう。
【参考情報】『平成30年度国民健康・栄養調査報告』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001066884.pdf