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糖尿病の検査について

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年10月14日
糖尿病検査トップ

糖尿病は自覚症状がないまま進行する病気です。そのため、健康診断で「血糖値が高い」と指摘され、「まさか自分が?」と驚く人は少なくありません。

また、献血の際の血液検査で「糖尿病の疑いがある」と指摘されたり、妊娠時の検査で高血糖だとわかることがあります。

中には「のどが異常に渇く」「最近何だか疲れやすい」という症状で気づく人もいますが、血液検査の結果、はじめて血糖値が高いことが判明し、糖尿病だとわかる人がほとんどです。

糖尿病が怖いのは合併症です。治療せずにそのまま放っておいたり、進行してしまったりすると、神経や腎臓、目などへ障害を起こすことがわかっています。

中でも、「糖尿病性神経障害」「糖尿病性腎症」「糖尿病性網膜症」が三大合併症と言われています。ほかにも心臓病や脳卒中といった、死の危険性のある動脈硬化を引き起こすことが知られており、注意が必要な病気です。

この記事では、糖尿病かどうかを詳しく調べるために重要な検査について紹介します。健康診断で「血糖値が高い」「糖尿病予備軍」と言われた人や、食後に強い眠気やだるさに襲われる「血糖値スパイク」の疑いがある人は、ぜひ目を通してください。

1.糖尿病の検査にはどんなものがある?

糖尿病の検査にはさまざまなものがありますが、代表的な検査は「血液検査」と「尿検査」です。特に血液検査が重要となります。

1−1.血液検査(血糖値とHbA1c)

糖尿病検血液検査
糖尿病の血液検査で確認される検査項目としては、血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)があります。

血糖値は一番重要な指標なのですが、1日の中で大きく変動するという特徴があり、検査のタイミングで血糖値に“ムラ”ができてしまいます。

◆「糖尿病予備軍は「血糖値スパイク」を要チェック!」>>

特に、直前の食事の影響が強く反映されるため、1回の血液検査で判明する血糖値では病気を正しく把握するのが難しい場合があります。

そんな時に有効なのがHbA1cを継続的に検査することです。


HbA1cは過去1~2ヶ月前の血糖値を反映するため、検査前数日の食事や運動などの影響を受けません。

HbA1cは合併症の進行にも深い関わりがあり、値が7.0%未満であれば合併症予防コントロールできていると言えます。

そのため、HbA1cは、日々の生活習慣や血糖コントロールがうまくいっているかどうかを知る重要な指標になります。

【参考情報】『HbA1c as a Diagnostic Test for Diabetes Mellitus – Reviewing the Evidence』PMC|US National Library of Medicine National Institutes of Health
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3799221/

1−2.その他の血液検査

続けて、その他の血液検査を2つ紹介します。

1−2−1.インスリンの値を測定


その他重要な血液検査として、インスリンの量を測定する検査があります。

インスリンは血糖値を下げる働きをするホルモンであり、何らかの原因により、インスリンが少ない、もしくは、インスリンが働きにくい状態が糖尿病です。

そのため、一概に糖尿病といっても、(1)インスリンが少ないタイプ、(2)インスリン量はあるのに血糖値が下がらないタイプ、という2つのタイプが存在し、それぞれに応じて治療内容が変わります。

【参考情報】『インスリン』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-011.html#:~:text=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%B3%EF%BC%88%E3%81%84%E3%82%93%E3%81%99%E3%82%8A%E3%82%93%EF%BC%89&text=%E8%86%B5%E8%87%93%E3%81%8B%E3%82%89%E5%88%86%E6%B3%8C%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B,%E7%B4%B0%E8%83%9E%E3%81%8B%E3%82%89%E5%88%86%E6%B3%8C%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

1−2−2.自己血糖測定


自己血糖測定とは、簡易血糖測定器(血糖測定キット)を用いて、自分で血糖値を測定する検査です。細い針のようなものを使い、指先に小さな傷をつけ、極々微量の血液を採取します。

この方法を用いることで、自宅でも血糖を測定することが可能になります。インスリン治療を行っている人や、妊娠している人など、より厳格な血糖コントロールが必要な人に行われる検査です。

【参考情報】『糖尿病と関連する検査/糖尿病情報センター』国立国際医療研究センター
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/100/040/04.html

◆「医師が教える!血糖値を下げる5つの方法」>>

1−3.尿検査

糖尿病尿検査

血液検査と並んで糖尿病で重要となる検査に、尿検査があります。

糖尿病はその名の通り、尿中に糖分が出ることがあるため、尿検査で早期に病気を発見できることがあります。
 
糖分が尿に出るというのは、腎臓の機能に異常があることが考えられるため、腎臓機能を測定するという意味でも、尿検査は非常に大きな意味をもちます。

【参考情報】『尿糖とは?』糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/urine/2010/05/0201.php#:~:text=%E5%B0%BF%E7%B3%96%E3%81%A8%E3%81%AF%E8%A1%80%E6%B6%B2,%E3%81%8F%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

2.おわりに

糖尿病の検査には、今回紹介した血糖値やHbA1cの他にもさまざまなものがあります。

それぞれの検査に一長一短がありますので、個々の検査を組み合わせながら病気のコントロールを行っていきます。

HbA1cは数か月前の血糖値を反映するため、検診の直前に生活を正しても効果はありません。

普段から食事に気をつけるなどして、規則正しい生活を行うように意識しましょう。

◆「糖尿病の基本情報」について>>

◆「管理栄養士が教える、糖尿病の方でも血糖値に影響が出にくい間食“8つ”のルール」>>

◆「糖尿病になりやすい人の特徴」について>>

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