スギ花粉症治療薬「シダキュア」の特徴と効果、副作用
シダキュアは、スギ花粉のエキスを配合した薬です。花粉症治療によく用いられる抗アレルギー薬とは異なり、アレルギーの原因物質を直接体に取り入れて体を慣れさせることで、アレルギー反応を改善する効果があります。
シダキュアは、スギ花粉症の根本的な治療薬とされていますが、定期的な通院が必要で、服用時には多くの注意事項もあります。
この記事では、シダキュアの特徴や効果、使い方、副作用についてくわしく解説します。すでにシダキュアを使用している方や、これから使用を検討している方は、参考にしてください。
１.シダキュアとはどのような薬か
シダキュアは、標準化スギ花粉エキスを主成分とした錠剤です。スギ花粉症の減感作療法という治療に用います。
減感作療法は、アレルゲン免疫療法とも呼ばれ、アレルギーの原因となる物質を投与して体を慣れさせ、アレルギー症状を抑える治療法です。
【参考情報】『アレルゲン免疫療法の手引き』日本アレルギー学会
https://www.jsaweb.jp/uploads/files/allergen_202101.pdf
花粉症治療によく使われるアレグラやアレロックなどの抗アレルギー薬は、一時的に症状を抑えるだけですが、シダキュアは根本的な治療に近い効果が期待でき、治療終了後も数年間効果が持続するとされています。
ただし、シダキュアはすべてのスギ花粉症の方に効果が出るわけではありません。また、治療が成功する場合でも、通常3〜5年と長期にわたる通院が必要です。
２．シダキュアの使い方
シダキュアは、5歳以上のスギ花粉症の方が使用できます。ただし、スギ花粉が飛散している時期には服用を開始できないため、服用を始める時期については、事前に医師に相談しましょう。
＜シダキュアの服用方法＞
・服用開始〜7日間
「シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAU」を、1日1回、1錠服用します。錠剤を舌下（舌の裏側）に1分間保持し、その後飲み込みます。
・8日目以降
錠剤の種類が「シダキュアスギ花粉舌下錠5,000JAU」に変わります。これまでと同じように、1日1回、1錠を舌下（舌の裏側）に1分間保持し、その後飲み込みます。
シダキュアは舌下に置くとすぐに溶けますが、1分間は飲み込まずに我慢してください。さらに、服用後は5分間、うがいや飲食を控えてください。
シダキュアを服用する際は、少なくとも月に1回の通院が必要です。通院が難しい場合は、シダキュアの服用ができない可能性があるため、事前に医師に相談しましょう。
３．シダキュアの副作用
シダキュアの副作用には、以下のようなものがあります。
・口の中やくちびるの腫れ、かゆみ
・のどの刺激感、不快感
・耳のかゆみ
さらに、重篤な副作用としてアナフィラキシーショックがあります。この場合、以下の症状が30分以内に現れることが多いです。
・血圧低下
・呼吸困難
・全身のじんましん
・顔のむくみ
【参考情報】『Anaphylaxis』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/anaphylaxis/symptoms-causes/syc-20351468
そのため、初めて服用する際には、服用後30分間に副作用が起きないかどうか確かめるため、医師の観察が必要です。シダキュアを初めて服用する時は、時間に余裕を持って病院を受診しましょう。
アナフィラキシーショックは、簡単に言うとアレルギー症状が重篤化した状態です。シダキュアは、アレルゲンであるスギ花粉のエキスが含まれているため、以下の注意事項を守らないとアナフィラキシーショックを引き起こす可能性が高くなります。
副作用を防ぐため、シダキュア服用前後2時間は、以下の行動を避けてください。
・激しい運動
・アルコール摂取
・入浴など体を温める動作
以上のような行動で体が温まると、シダキュアの吸収が促進され、副作用が起こりやすくなります。
４．使用上の注意点
シダキュアは、毎日服用する必要がある薬です。服用を忘れると効果が得られない可能性があるため、毎日決まった時間に服用することを心がけましょう。
妊娠中や授乳中は、基本的にはシダキュアを服用しないことが推奨されます。妊娠を希望している女性は、別のアレルギー治療薬が適しているでしょう。
5歳未満の子どもや高齢の方は、効果が十分に出ない、もしくは副作用が強く出る可能性があるため服用できないことがあります。
その他、薬や病気によって免疫機能が落ちている方や他の病気を治療中の方、口の中に傷がある方もシダキュアが服用できない場合があります。特に、重症喘息の方はシダキュアを使用できないため、必ず医師に相談してください。
シダキュアは湿気に弱いため、服用する直前に乾いた手で取り出しましょう。また、他の錠剤よりも柔らかいため、取り出すときは指で押し潰さないように気をつけてください。
シダキュアはすべての医療機関で処方できるわけではなく、アレルゲン免疫療法（減感作療法）に関する講習を受けた医師のみが処方することができます。
シダキュアを処方できる医療機関は、シダキュア販売元の鳥居薬品のサイトで確認できます。
【参考情報】『スギ花粉症に対する舌下免疫療法相談施設検索』トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ｜鳥居薬品
https://www.torii-alg.jp/mapsearch/cryptomeria.html
５．シダキュアの薬価
シダキュアの1錠あたりの薬価（2024年12月調べ）は次のとおりです。
・シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAU 58.5円／錠
・シダキュアスギ花粉舌下錠5,000JAU 146.1円／錠
2024年現在、シダキュアの代わりとなるジェネリック医薬品はありません。また、スギ花粉エキスを配合した市販薬も存在しません。
６．おわりに
シダキュアはスギ花粉症の根本的な治療薬と言われています。今まで他の治療薬でスギ花粉症の症状が改善しなかった方は、試してみるのもよいでしょう。
ただし、シダキュアはスギ花粉症の治療薬であり、ヒノキやブタクサなどスギ以外の花粉でアレルギーの症状が出る人には使えません。
花粉症のような症状があるけれど、スギ花粉が原因かどうかわからない場合は、まずは病院でアレルギーの検査を受けることをおすすめします。
