花粉症治療に用いる抗アレルギー薬「クラリチン」の特徴と効果、副作用
クラリチンは、花粉症などによるアレルギー性鼻炎や、じんましんなどの皮膚疾患に使用する抗アレルギー薬です。
この薬は1日1回の服用で効果を発揮し、水なしで飲めるタイプもあります。そのため、忙しい日常を送る方でも飲み忘れが少なく、幅広い方にとって服用しやすいのが特徴です。
この記事ではクラリチンの特徴や服用方法、注意点を解説します。クラリチンには市販薬もありますが、市販薬と処方薬の使い方には少し違いがあるので、しっかり確認しておきましょう。
1.クラリチンとはどのような薬か
クラリチンは、有効成分としてロラタジンを含む抗ヒスタミン薬です。アレルギー反応を起こすヒスタミンの受容体をブロックして、体内のアレルギー反応を抑えます。花粉症によるアレルギー性鼻炎やじんましん、皮膚疾患のかゆみに効能効果を持ちます。
【参考情報】『Loratadine』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a697038.html
この薬の特徴は、他の抗ヒスタミン薬と比べて眠気の副作用が少ない点と、1日1回の服用で効果が得られる点です。そのため、仕事や勉強に集中したい方や、車の運転をする方でも安心して服用できます。
クラリチンには、錠剤、レディタブ錠、ドライシロップがあります。レディタブ錠は口の中ですばやく溶け、水なしで飲むことができるタイプです。また、ドライシロップは7歳未満の子どもにも使用できます。
2.クラリチンの使い方
クラリチンは、1日1回、食後に服用します。花粉症の改善を目的とする場合は、花粉の飛散ピークが始まる前から服用を開始すると、より効果を実感しやすくなります。
【錠剤・レディタブ錠】
<7歳以上の子ども・成人>
1回10mg(1錠)を1日1回、食後に水またはぬるま湯で服用します
レディタブ錠は、水なしでそのまま口に含んで飲んでも構いません。
【ドライシロップ】
<3歳〜6歳の子ども>
1回0.5gを1日1回、食後に水またはぬるま湯で服用します
<7歳以上の子ども・成人>
1回1gを1日1回、食後に水またはぬるま湯で服用します
お子さんが服用を嫌がる場合は、リンゴジュースやオレンジジュースと一緒に飲んだり、アイスクリームに混ぜて服用しても構いません。
クラリチンを、朝・昼・夕、どの食後に服用するのかは、患者さんの症状や生活を考慮して医師が判断します。必ず指示されたタイミングを守って服用してください。
3.クラリチンの副作用
クラリチンを服用すると、以下の副作用が起こる場合があります。
・眠気
・だるさ
・めまい
・頭痛
・発疹
・口の渇き
クラリチンは、他の抗ヒスタミン薬に比べて眠気が出にくい薬ですが、全く眠くならないわけではありません。
また、めったにありませんが、以下のような重篤な副作用を起こす場合もあります。
・アナフィラキシー
・肝機能障害
・てんかん
てんかんを持病としている方は、クラリチンの服用によって発作が起こりやすくなる可能性があります。もし服用中に体調が悪化した場合は、速やかに医師に相談してください。
【参考情報】『てんかん』こころの情報サイト|国立精神・神経医療研究センター
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=7tp2bnu63ESgWu5I
4.使用上の注意点
クラリチンは、妊娠中の服用は避けたほうが良いとされています。授乳中の服用は可能ですが、薬の成分が母乳に移行するため、心配な場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
【参考情報】『授乳中に安全に使用できると考えられる薬 – 薬効順 -』国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist_yakkou.html#section10
また、肝臓や腎臓の機能が低下している方や、てんかんの持病がある方は、副作用が出やすくなる可能性があります。
さらに、抗生物質のエリスロマイシン(先発品:エリロシン)や胃薬のシメチジン(先発品:タガメット、カイロック)を併用すると、副作用のリスクが高まることがあるので注意が必要です。
クラリチンの市販薬には錠剤とOD錠がありますが、使用できるのはアレルギー性鼻炎の方のみです。処方薬のように、じんましんなどの皮膚症状には使用できません。
市販薬のパッケージに記載されていない症状で服用した場合、副作用が出ても補償を受けられる救済制度の対象にはなりません。市販薬を服用する際は、必ず効能効果を確認しましょう。
【参考情報】『薬の副作用かな?と思ったら すぐに医師にご相談を!』政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201911/1.html
5.クラリチンの薬価
クラリチンの1錠あたり、または1gあたりの価格(2025年1月調べ)は次のとおりです。
・クラリチン錠10mg 37.5円/錠
・クラリチンレディタブ錠10mg 37.5円/錠
・クラリチンドライシロップ1% 75.2円/g
レディタブは、口の中に入れると唾液で溶ける口腔内崩壊錠なので、水がなくても服用することができます。ミント味で清涼感があります。
クラリチンにはジェネリックや市販薬もあります。ジェネリック医薬品であるロラタジンの薬価(2025年1月調べ)は以下のとおりです。
・ロラタジン錠10mg 16.3円/錠
・ロラタジンOD錠10mg 16.3円/錠
・ロラタジンODフィルム10mg 16.3円/錠
・ロラタジンドライシロップ1% 33.1円/g
ジェネリック医薬品のロラタジンには、錠剤とドライシロップのほかに、口の中に入れると唾液で溶けるOD錠やODフィルムがあります。これらはクラリチンのレディタブと同じように、水なしで服用できます。
6.おわりに
クラリチンは1日1回の服用で済み、抗アレルギー薬の中では眠気の副作用が少なく、さらに注意事項も少ないため、とても使いやすい薬です。しかし、薬の相性には個人差もあるため、合わない人もいるかもしれません。
その場合は、アレグラ(成分名:フェキソフェナジン)や、デザレックス(成分名:デスロラタジン)などの薬に変更できるかもしれないので、医師に相談してみましょう。
スギ花粉が原因の花粉症は、効果が7~8年続くアレルゲン免疫療法での治療も可能です。
治療開始から効果が現れるまでに時間はかかりますが、長期的に花粉症の症状を軽減することが期待できます。