ブログカテゴリ
外来

花粉症治療に用いる抗アレルギー薬「ザイザル」の特徴と効果、副作用

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2025年01月31日

ザイザルは、アレルギー症状を抑えるために使用する抗ヒスタミン薬です。

服用すると眠気は出ますが、1日1〜2回と服用回数が少なく済むうえ、つらい鼻や肌の症状に効果があるため、特に花粉の季節に利用されることが多い薬です。

この記事では、ザイザルの服用方法や注意事項をくわしく解説します。花粉症の症状に悩んでいる人は、ぜひ最後までお読みください。

1.ザイザルとはどのような薬か


ザイザルは、レボセチリジンを有効成分とする抗ヒスタミン薬です。レボセチリジンは、アレルギーの原因となるヒスタミンが受容体に結合するのを防ぎます。

【参考情報】『Levocetirizine』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a607056.html

主に、花粉症などのアレルギー性鼻炎やじんましん、湿疹、皮膚のかゆみの改善に使用される薬です。

大人は1日1回、15歳未満は1日2回の服用で効果が期待できるため、服用回数が少なく、飲み忘れが起こりにくい点がメリットです。

ザイザルには、錠剤とシロップの2種類があります。錠剤には割線(中央に入った溝のような線)があるため、半分に割って服用することもできます。

2.ザイザルの使い方


ザイザルの服用回数は、大人と子どもで異なります。また、症状や体質によって服用量が調整されることもあるため、必ず医師の指示に従い、正しく服用してください。


【大人(15歳以上)】

<錠剤>
レボセチリジン塩酸塩として、1日1回5mg(ザイザル錠5mgを1錠)を就寝前に服用します。必要に応じて、最大で1日10mg(ザイザル錠5mgを2錠)まで服用可能です。

<シロップ0.05%>
1回10mLを1日1回、就寝前に服用します。必要に応じて、最大で1日20mLまで服用可能です。

【子ども(15歳未満)】

<錠剤>
7歳以上15歳未満の子どもが服用できます。レボセチリジン塩酸塩として1回2.5mg(ザイザル錠5mgを半分に割ったもの)を1日2回、朝食後と就寝前に服用させます。

<シロップ>
6ヵ月以上15歳未満の子どもが服用できます。

・6ヵ月以上1歳未満:1回2.5mLを1日1回服用

・1歳以上7歳未満:1回2.5mLを1日2回、朝食後と就寝前に服用

・7歳以上15歳未満:1回5mLを1日2回、朝食後と就寝前に服用

3.ザイザルの副作用


ザイザルを服用すると、以下のような副作用が出る場合があります。

 ・眠気

 ・だるさ

 ・めまい

 ・口の渇き

 ・胃腸の不快感

 ・ALT、AST、総ビリルビン値の上昇

ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)とAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは、肝臓に多く含まれる酵素です。ビリルビンは、古くなった赤血球が破壊されるときに生成される黄色い色素です。

これらの数値が上昇しているときは、肝臓に異常が生じている可能性があります。

【参考情報】『ALT Blood Test』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/lab-tests/alt-blood-test/

【参考情報】『AST Test』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/lab-tests/ast-test/

【参考情報】『Bilirubin test』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/tests-procedures/bilirubin/about/pac-20393041

抗ヒスタミン薬には、第1世代、第2世代、第3世代の3つの世代があり、世代が進むにつれ、眠気などの副作用が軽減されています。

ザイザルは第2世代の薬なので、第1世代の薬よりは眠気が少ないのですが、眠気が出ないとは限りません。そのため、服用期間中は車や機械類の運転は避けてください。ザイザルの添付文書にも「運転禁止」の記載があります。

また、めったにありませんが、以下の重篤な副作用を起こすこともあります。

 ・ショック、アナフィラキシー

 ・けいれん

特に、今までてんかん発作やけいれんを起こしたことのある人は、けいれんの副作用には注意しておく必要があるでしょう。

【参考情報】『てんかん』こころの情報サイト|国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=7tp2bnu63ESgWu5I

4.使用上の注意点


妊娠中や授乳中の方は、ザイザルの服用を中止することがあります。また、高齢者の場合、通常の服用量より少ない量を処方されることがあります。

ザイザルは腎機能が低下している方にも、通常より少ない量を処方します。量を調整することで、副作用のリスクが軽減されます。

過去にザイザルやジルテック(成分名:セチリジン)、アタラックス(ヒドロキシジン)でアレルギー症状が出た方や、腎機能が極端に低下している方は、ザイザルを服用できません。

ザイザルと一緒に服用してはいけない薬はありませんが、併用することで副作用が出やすくなる薬はあります。服薬中の薬がある人は、医師や薬剤師に伝えておきましょう。

【参考情報】『薬の副作用かな?と思ったら すぐに医師にご相談を!』政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201911/1.html

また、アルコールを飲むと、眠気、めまい、ふらつきなどの副作用が強く現れることがあるので注意が必要です。

花粉症のような季節性アレルギーでザイザルを服用する場合、シーズン前に服用を開始することでより効果が実感できます。

◆「花粉症の治療」についてくわしく>>

5.ザイザルの薬価


ザイザルの1錠あたりもしくは1mLあたりの価格(2025年1月調べ)は次のとおりです。

 ・ザイザル錠5mg 48.9円/錠

 ・ザイザルシロップ0.05% 8.8円/mL

ザイザルにはジェネリック医薬品があり、ジェネリック医薬品ではOD錠(水なしで飲める錠剤)やドライシロップもあります。

ザイザルと同じ成分の市販薬はありません。しかし、似たような効果を持つ第2世代抗ヒスタミン成分の市販薬は複数発売されています。

◆「花粉症の薬~薬局やドラッグストアで買える薬」>>

6.おわりに

ザイザルが合わなかったり、眠気が強くて仕事や生活に支障が出る場合は、アレグラ(フェキソフェナジン)やクラリチン(ロラタジン)、ビラノア(ビラスチン)など他の薬に変更できる可能性があります。

◆「アレグラ」についてくわしく>>

◆「クラリチン」についてくわしく>>

◆「ビラノア」についてくわしく>>

また、スギ花粉が原因の花粉症は、効果が7~8年続くアレルゲン免疫療法での治療も可能です。

◆「スギ花粉症治療薬「シダキュア」の特徴と効果、副作用」>>

薬の効果や相性には個人差があります。薬を変えることで、効果が実感できたり副作用が軽くなる場合もあるので、服薬で気になることがあれば、医師や薬剤師に相談してください。

◆「花粉症」についてもっとくわしく>>

電話番号のご案内
電話番号のご案内
横浜市南区六ツ川1-81 FHCビル2階