咳止め薬「フスタゾール」の特徴と効果、副作用
フスタゾールは、喘息や気管支炎、感冒(風邪)、気管支拡張症などの治療に用いられる薬剤です。脳の咳中枢の興奮を鎮めて、咳の症状を抑えます。
この記事では、フスタゾールがどのような薬なのか、効果や使用方法、副作用などについて解説します。これからフスタゾールを使用する方や、すでに使用している方は、ぜひ参考にしてください。
1.フスタゾールとはどのような薬か
フスタゾールは、「クロペラスチン」を有効成分とする非麻薬性中枢性鎮咳薬です。
喘息や気管支炎になると、気道や気管支の炎症により、咳や息苦しさなどの症状が現れます。フスタゾールは脳にある咳中枢に作用して興奮を鎮め、咳の症状を和らげます。
咳中枢に作用する中枢性鎮咳薬(咳止め薬)には、麻薬性と非麻薬性のものがあります。
【麻薬性】
・リン酸コデイン
・フスコデ など
【非麻薬性】
・アスベリン
・メジコン など
一般的に、麻薬性の方が咳止め効果が強いとされていますが、依存性が高いなど注意点も多い薬です。
一方、非麻薬性は、麻薬性に比べると咳止め効果は穏やかですが、副作用が少ない傾向にあります。
フスタゾールを含む非麻薬性中枢性鎮咳薬は、痰が絡む咳には使用できないため、痰の少ない乾いた咳に使われることが多いです。
また、フスタゾールには、アレルギー反応を鎮める抗ヒスタミン作用や、気管支のけいれんや収縮を抑えて呼吸をラクにする効果もあります。
【参考情報】『Pharmacological and clinical overview of cloperastine in treatment of cough』National Institutes of Health
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3061847/
2.フスタゾールの使い方
フスタゾールには、錠剤と散剤(粉薬)があります。錠剤には小児用もあります。
通常、どのタイプも1日3回に分けて、水かぬるま湯で服用します。
<錠剤>
・成人:1回1~2錠(10〜20mg)を1日3回
<錠剤(小児用)>
・2歳未満:1回1錠(2.5mg)を1日3回
・2歳以上4歳未満:1回1~2錠(2.5〜5mg)を1日3回
・4歳以上7歳未満:1回2~4錠(5〜10mg)を1日3回
<散剤(粉薬)>
・成人:1回0.1〜0.2g(10〜20mg)を1日3回
・2歳未満:1回0.025g(2.5mg)を1日3回
・2歳以上4歳未満:1回0.025〜0.05g(2.5〜5mg)を1日3回
・4歳以上7歳未満:1回0.05〜0.1g(5〜10mg)を1日3回
フスタゾールは食事に影響を受けない薬なので、飲み忘れてしまったら、気づいた時に服用して構いません。ただし、次の服用時間が近い場合は服用せず、次の服用時間に「1回分」を服用してください。
飲み忘れたからといって、1度に2回分を服用すると、副作用が強く出る恐れがあります。
【参考情報】『お薬を飲み忘れてしまったら』全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/ishikawa/cat080/20180806-3/20181004003/
3.フスタゾールの副作用
フスタゾールの主な副作用は以下となります。
・眠気
・吐き気
・食欲不振
・口の渇き
フスタゾールは比較的副作用が少ない薬ですが、服用後、日常生活に支障が出るような症状が現れたら、医療機関に相談してください。
もし、体全体にわたる発疹やかゆみが出た場合は、薬剤性過敏症の疑いがあります。その場合は服用を中断して、すぐに医療機関を受診しましょう。
【参考情報】『薬剤性過敏症症候群』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1a10.pdf
4.使用上の注意点
フスタゾールを服用した後に、副作用として「眠気」が出る可能性があります。服用後に強い眠気やめまい、ふらつきが出た場合は、車の運転や危険を伴う機械の操作をできるだけ控えてください。
フスタゾールは、痰の少ない乾いた咳に使用されることの多い薬です。もし、痰の絡む咳が出ている場合は、他の咳止め薬を使用するか、去痰薬を併用する必要があるため、痰が絡んでいる人は、医師や薬剤師にそのことを伝えておきましょう。
妊娠または妊娠している可能性のある女性や授乳中の方は、服用の可否について主治医と相談が必要です。必ず受診の際に相談してください。
5.フスタゾールの薬価
フスタゾールの薬価(2024年8月調べ)は、以下となります。
・フスタゾール錠10mg 5.9円/錠
・フスタゾール錠小児用2.5mg 7.4円/錠
・フスタゾール散10% 25.1円/g
フスタゾールの代わりとなるジェネリック医薬品は発売されていません。
6.おわりに
フスタゾールは、食事の影響を受けず、副作用も少ないため、使いやすい咳止め薬です。また、飲み合わせの悪い薬も特に報告されていないので、解熱剤などと一緒に服用することもできます。
もし、フスタゾールが自分に合わないと感じた場合は、メジコンやアスベリンなど、フスタゾールと同じ効果持つ非麻薬性中枢性鎮咳薬もあるので、医師や薬剤師に相談してください。
副作用には個人差があるので、自分に合う薬を服用することが大切です。