咳止め・痰切り薬「レスプレン」の特徴と効果、副作用
レスプレンは、咳を止める・痰を切りやすくするという2つの働きを持つ錠剤です。風邪や喘息など、咳や痰が伴う呼吸器疾患に幅広く対応できる薬です。
この記事では、レスプレンの特徴や効果、副作用などを解説します。レスプレンを服用している人や、これから服用する人は、ぜひ参考にしてください。
1.レスプレンとはどのような薬か
レスプレンは、エプラジノン塩酸塩を有効成分とする鎮咳(咳止め)・気道粘液溶解剤です。
5mg、20mg、30mgの3種類の錠剤があり、肺結核や肺炎、気管支拡張症、喘息、気管支炎、感冒(風邪)などの呼吸器疾患の患者さんに処方されます。
咳止め薬としては、脳神経の咳中枢に働きかけ、咳を抑える作用があります。
咳止め薬は、麻薬性と非麻薬性の2種類がありますが、レスプレンは非麻薬性に分類されます。
非麻薬性鎮咳薬は、麻薬性鎮咳薬に比べると咳を鎮める作用は弱いものの、依存性や耐性などの副作用が少ないことが特徴です。
去痰(痰切り)作用については、痰を構成する酸性ムコ多糖類繊維やDNA高含有繊維など、粘り気に関与する成分に働きかけてその粘り気を低下させます。この働きにより、痰が出やすくなって、呼吸がラクになります。
また、気道分泌液を増やすことで痰を薄め、さらに痰を切りやすくする効果もあります。
【参考情報】『Expectorant』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/drugs/22078-expectorant
2.レスプレンの使い方
レスプレンは、通常1日3回、水かぬるま湯と一緒に服用します。
以下、基本の服用量です。
<成人>以下の量を、1日3回服用します。
・レスプレン錠30mg:1回につき1錠
・レスプレン錠20mg:1回につき3〜4錠
・レスプレン錠5mg: 1回につき12〜18錠
<3歳以上6歳未満>以下の量を、1日3回服用します。
・レスプレン錠5mg:1回につき4〜6錠(20〜30mg)
<6歳以上10歳未満>以下の量を、1日3回服用します。
・レスプレン錠5mg:1回につき6〜9錠
服用量は、年齢や症状によって増減することもあるので、医師の指示に従って飲んでください。
3.レスプレンの副作用
レスプレンの副作用として、次の症状が現れることがあります。
・食欲不振
・悪心(おしん:吐き気、胸がムカムカする感じ)
・嘔吐
・下痢
レスプレンは比較的副作用が少ない薬です。ただし、副作用の発現には個人差があるので、レスプレンを服用した後に何か異変を感じたら、医師や薬剤師に相談しましょう。
4.使用上の注意点
レスプレンを服用するにあたって、注意する必要があるポイントを紹介します。
<妊婦、授乳婦>
レスプレンの胎児や母乳への影響に関する臨床試験は行われていませんが、妊婦や授乳中の女性も、咳や痰の症状がひどい時に服用することができます。どうしても赤ちゃんへの影響が気になる人は、医師に相談してください。
<小児>
レスプレンは3歳から服用できますが、錠剤しか販売されていないので、錠剤を飲み込むのが難しいお子さんもいると思います。
その場合は、小さなお子さんでも飲みやすいシロップやドライシロップで、レスプレンの代わりになる薬が使えないかどうか、医師や薬剤師に相談してみましょう。
【参考情報】『ドライシロップ』日本薬学会
https://www.pharm.or.jp/words/word00777.html
<高齢者>
高齢者は、健康な若い人に比べて肝臓や腎臓の機能が低下していることがよくあります。その結果、薬が体内に長く留まり、副作用のリスクが高くなります。
肝機能や腎機能が低下している可能性がある高齢者は、レスプレンの服用量を減らすことを検討してください。
薬局で渡される薬は、プラスチックとアルミで挟んだシート(PTP包装)に入っていることが多いのですが、飲み忘れを防ぐために薬を1錠ずつ切り離して管理していると、誤って包装ごと服用してしまう事故が起こることがあります。
PTP包装のまま飲み込むと、食道の粘膜を傷つける危険があるので、必ず錠剤を1錠ずつ包装から取り出して服用してください。
手がうまく動かせない人や、多くの薬が処方されていて管理が難しい場合は、処方された薬を服用時間ごとにまとめる「一包化」をおすすめします。薬を一包化したい場合は、医師か薬剤師に相談してください。
【参考情報】『一包化』徳島県薬剤師会
https://www.tokuyaku.or.jp/kaiei/hokenchozai/ingaisyoho/ippouka.html
5.レスプレンの薬価
レスプレンの1錠あたりの薬価(2024年10月調べ)は、以下のとおりです。
・レスプレン錠5mg/5.9円
・レスプレン錠20mg/10.3円
・レスプレン錠30mg/9.1円
レスプレンの代わりとなるジェネリック医薬品はありません。
6.おわりに
レスプレンは、3歳以上の子どもでも使用でき、副作用も少ない薬です。
しかし、「飲みにくい」「体質に合わない」などの理由がある場合は、レスプレンと同じ非麻薬性鎮咳薬に分類されているメジコンやアスベリン、アストミン、フラベリックなど、漢方薬を含めた別の薬が使えないかどうか、医師や薬剤師に相談してみましょう。
レスプレンを指示通りに服用しても症状が改善しない場合は、薬が合っていなかったり、重大な疾患が隠れている可能性もあるので、気になることがあれば医療機関へ相談してください。