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外来

呼吸器内科で処方される薬について

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年10月15日
吸入薬

呼吸器内科で扱う薬はとても幅広く、一般的な生活習慣病(高血圧症や糖尿病など)に関する治療薬から、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)で使用する吸入薬など、さまざまな薬があります。

特に、吸入薬とよばれるタイプの薬は「適切に吸入することではじめて効果が出る」という薬であり、喘息やCOPDの治療において非常に重要な役割を果たしています。

そのため、患者さん自身が吸入薬を使用する目的を理解し、吸入薬を正しく使用する方法を身に付けなければいけません。

決められた時間に飲む(服用する)だけで効果がある内服薬とは異なり、吸入薬は「毎日・正しく使用する」ことが求められる薬なのです。

この記事では、代表的な呼吸器疾患である喘息やCOPDの治療に使用される薬に関して、薬が処方される目的やその使用方法、副作用とその対策などを分かりやすく解説していきます。

1.呼吸器疾患による処方薬

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呼吸器疾患に処方される薬にはさまざまなものがありますが、特に特徴的な処方薬が「吸入薬」です。吸入薬とは「口から薬を吸入する」ことで効果を発揮する薬であり、吸入器を使って薬を吸い込みます。

この吸入器の使い方には少々コツがいるため、手や目が不自由な人や小さなお子さん、ご高齢の方などには、慣れないうちは使用が難しい方がいらっしゃることも事実です。

しかし、吸入薬は喘息やCOPD治療を進めるうえで重要な治療薬であるため、病態改善のためには、できるまで練習をしてきちんと使いこなせるようになる必要があります。

吸入薬は肺や気管支に直接薬を届けることができる優れた薬であるうえ、副作用が少ないというメリットもあります。

◆「喘息と診断されたら知っておきたい7つのポイント」>>

1−1.吸入薬の種類と使い方

喘息やCOPDなどの呼吸器系疾患の治療に使用される吸入薬には、次のようなタイプがあります。

・ミストタイプ(霧状)の吸入薬

・微量の粉末を吸入するタイプの吸入薬

・発作時に使う速効性の吸入薬

・気管支を広げて空気の通りをよくする吸入薬

・気管支の炎症を和らげる効果のある吸入薬

上記以外にも非常に多くの効果や形をした吸入薬が存在します。加えて、これらの吸入薬を複数組み合わせることも珍しくありません。

そのため、患者さんは呼吸器専門医やかかりつけ薬剤師からきちんと吸入指導を受けて、しっかりと薬の使用方法を身につける必要があります。

【参考情報】『成人ぜん息の基礎知識』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/medicine.html

◆「吸入薬」についてくわしく>>

1−2.吸入薬以外の処方薬

呼吸器内科で処方される薬は吸入薬だけではありません。内服薬(飲み薬)や外用薬(塗り薬や貼り薬など)、場合によっては注射や点滴などによる治療が必要になることもあります。

例えば、喘息という病気にはアレルギー反応が関与していることが分かっているため、内服の抗アレルギー薬(アレルギー反応を抑える薬)を処方して、喘息を改善に導くサポートをすることもあります。

このように、呼吸器内科では、飲み薬や吸入薬、場合によっては注射薬などを組み合わせて、病気の治療をしていきます。

【参考情報】『Asthma medications: Know your options』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/asthma/in-depth/asthma-medications/art-20045557

◆「喘息・アレルギー治療薬「ゾレア」の特徴と効果、副作用」>>

2.薬の副作用と対処法

時間
薬には必ず「副作用」が存在します。副作用がない薬というのは存在しません。

例えば、一部の抗アレルギー薬には眠くなりやすい成分が含まれており、薬を飲むと眠くなったり、ボーっとしてしまったりすることがあります。

吸入薬は非常に副作用が少ない薬ではありますが、「声枯れ」や「口腔カンジダ(喉にカビの一種が繁殖する)」などの副作用が出現することがあります。

2−1.吸入薬の副作用予防には「うがい」が効果的

喘息やCOPDなどに使用される「吸入ステロイド」という吸入薬の副作用を予防するには、「うがい」が効果的であることが知られています。

吸入後は口の中と喉を充分よくすすいで、口の中に残った薬を洗い流してあげることで、副作用の声枯れを未然に防ぐことができます。

2−2.眠くなる薬は服用時間に注意を

一部の風邪薬やアレルギーの薬のように、眠くなったりボーっとしたりする副作用がある薬を使用する時は、服用の時間に注意しましょう。

例えば、車の運転などの危険な作業を行う前に内服することは避けた方がよいでしょう。

薬を飲むとどうしても眠くなって困るという方は、一度主治医と相談してみましょう。薬によっては、1日1回で十分な効果を発現するものもあります。

また、寝る前に内服したり、夕食後だけの内服にしたり、服用回数を減らすという方法も効果的です。服用時間を工夫することで、副作用を抑制しながら治療を継続することは非常に効果的な方法です。

【参考資料】
・病気と薬2020(南江堂)
・今日の治療薬2020(南江堂)

3.薬物治療を正しく理解する


薬を使う治療で重要なことは、「薬を使う目的や効果、副作用や使用方法を正しく理解する」ことです。

・なぜこの薬を使うのか?
・この薬にはどのような効果があるのか?
・副作用は?
・その対策は?
・正しい使い方は?

これは呼吸器疾患に限ったことではありません。わからないことや不安に思うことは医師や薬剤師に尋ね、患者さん自身が主体的に治療を行うことが大切です。

◆「喘息治療のゴールと治療法」について>>

4.おわりに

薬物治療の説明は、一度で理解するのが難しい場合もあるかと思います。しかし、呼吸器疾患を含め、多くの内科系疾患の主軸となる治療が「薬物治療」です。

ちなみに当院では、呼吸器疾患と診断され、吸入薬を処方する患者さんには、最初にオリエンテーションの時間を設けており、病態の説明や吸入薬の使い方、今後の治療の進め方などについてお話させていただいています。

また、定期通院の際にも、きちんと薬が使えているかなどを確認していますので、少しでもわからないことがあれば、診察時に遠慮なくご質問ください。

薬物治療の目的や効果、副作用や用法用量を正しく理解して、安全で効果的な薬物治療を実践しましょう。

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