喘息の症状・検査・治療の基本情報
「しつこい咳が続いている」「一度咳きこむとなかなか止まらない」「呼吸をするたびに息が苦しい」などの症状がある人は、喘息の疑いがあります。
なるべく早めに呼吸器内科を受診することをおすすめしますが、その前に喘息という病気の基本を確かめておきましょう。
1.喘息とはどのような病気なのか
喘息とは、空気の通り道である気道が慢性的に炎症を起こして狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。
気道が炎症を起こすと、ちょっとした刺激にも敏感に反応して、激しい咳が出たり、息が苦しくなります。
狭くなった気道を放っておくと、ますます刺激に敏感に反応するようになり、炎症が悪化します。すると、さらに気道の壁が厚く硬くなり、狭くなっていきます。
この流れを「気道のリモデリング」といい、難治化の原因となります。
【参考情報】『Airway Remodeling in Asthma』Frontiers
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmed.2020.00191/full
喘息は、現代の医学では完治が難しい病気ですが、早めに治療を受けて体調を管理すれば、普通の人と変わらない生活を送ることができます。
しかし、治療によって症状がおさまってきても、残念ながら気道の炎症そのものが根本的に治ることはありません。
そのため、自己判断で治療をやめてしまうと、再び症状が現れるようになり、最悪の場合、発作による呼吸困難で死に至ることもあります。
【参考情報】『気管支ぜんそく』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-01.html
2.喘息の症状
主な症状は、咳、痰、呼吸困難です。
呼吸の際に「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という特徴のある音がしますが、これは「喘鳴(ぜんめい)」という名の症状です。
症状が強い時は、咳がひどくて眠れなくなったり、呼吸が苦しくて動けなくなることがあります。
また、運動や飲酒が刺激となって咳が止まらなくこともありますし、タバコの煙や強い香りを吸い込んで、発作が起こることもあります。
季節の変わり目や気圧の変化に影響を受けて症状が悪化することも多く、梅雨の時期や秋の初めに発作が起こったり、台風の接近に伴って体調を崩す人もいます。
夜間に発作が起こることも多いのですが、そのような時は、寝ているよりも体を起こした方が呼吸がラクになります。
【参考情報】『喘息』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-022.html
3.喘息の原因
喘息の原因には、アレルギーと、アレルギー以外のものがあります。
アレルギーが原因の患者さんが6割、アレルギー以外の原因の患者さんが4割といわれています。
3−1.アレルギー性
ダニやホコリ、ペットの毛など、特定の物質によるアレルギーがきっかけとなり発症します。子どもの喘息はアレルギー性のことが多いです。
原因となる物質を吸い込むと、それらを排除しようとする免疫の仕組みがはたらいて、気道の粘膜が腫れたり、痰が増えたりします。
3−2.非アレルギー性
過労やストレス、風邪やインフルエンザのような感染症が引き金となって発症します。
成人は非アレルギー性の方が多く、タバコやアルコールも発作の誘因となります。
4.喘息の検査
まずは問診をして、喘息の疑いがある時は、スパイロメトリーや呼気NO検査など、呼吸器の機能を調べるための検査をします。
アレルギーが原因かどうかを調べるためには、血液検査も行います。また、他の呼吸器疾患と区別するため、胸部レントゲン検査など画像検査も行います。
5.喘息の治療
喘息の治療には、気道の炎症をコントロールして発作を防ぐ薬(コントローラー)と、発作が起きた時に鎮めるための薬(リリーバー)が使われます。前者の薬は、症状がなくなっても毎日続けて服用する必要があります。
服薬を続けるとともに、息を勢いよく吐きだした時の速度であるピークフロー値を毎日測って記録したり、発作の原因となるアレルゲンやストレスを避けるための工夫も行っていきます。
【参考情報】『はじめてぜん息と診断された方へ』独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/case/first.html
6.発作の予防法
発作を予防するには、食事・睡眠・運動といった基本的な生活習慣を見直すとともに、原因を知り、それを避ける工夫をしましょう。
アレルギーが原因なら、ダニやホコリ、カビを減らすため、なるべくこまめに掃除をしましょう。特に、布団や枕など寝具を清潔に保つと効果的です。
肥満も喘息を引き起こし、悪化させる一因となります。肥満の指標であるBMIが25以上の方は、減量に取り組みましょう。
風邪やインフルエンザのような呼吸器の感染症にかかると、喘息の症状が悪化しやすくなります。手洗いやマスク着用のほか、インフルエンザの予防接種を受け、感染症から身を守りましょう。
7.おわりに
2週間以上咳が続いているときは、呼吸器内科を受診して原因を調べておくと安心です。
もし喘息と診断されたら、治療を開始して続けるとともに、発作のない生活を送ることができるよう、生活環境を整えていきましょう。