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咳が止まらない?アレルギーが原因となる咳について

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年09月24日
咳アレルギー

風邪やウイルス感染症などでも頻繁に発生する、一般的な症状のひとつである「咳」。

咳は誰もが日常的に出るものであるため、その背後に大きな病気が隠れているかもしれないとは思わない人が多いのが現状です。
 
たしかに、ただの風邪が原因で出る咳であれば、特別な治療をせずに一週間ほどで自然に治ってしまうことがほとんどですが、中にはアレルギー反応によって出る咳もあり、その背景には大きな病気が潜んでいる可能性があります。
 
そこで今回は、「アレルギーが原因となる咳」についてお伝えします。

1.咳が出るのはアレルギーのせいかも?

咳家族
咳というのは、非常に幅広い病気に共通する症状ですが、多くは風邪や肺炎、インフルエンザなどの呼吸器感染症によって出現します。

◆「呼吸器感染症の主な種類」>>

一方で、アレルギー性疾患が原因となって咳が出るケースも多くあります。

例えば、花粉症、咳喘息、アトピー性咳嗽(がいそう)などのアレルギー性疾患は、咳症状を誘発することがあります。

◆「咳喘息とはどのような病気か?原因・症状・治療について」>>

これらアレルギー性咳嗽の主たる原因としては、気道の炎症が考えられます。炎症によって過敏になっている気道に、アレルギー物質が刺激を加えることで、なかなか止まらない激しい咳を引き起こします。

咳の他にも、「喉のイガイガ」や「咽頭の違和感」、「喉の奥のかゆみ」など、アレルギーに代表的な症状が出現します。

このようなアレルギー反応が原因となって出る咳症状は重篤化することもあるため、風邪による咳以上に、早期の検査や治療が重要になります。

【参考情報】『病気がみえる(呼吸器)』Medic Media
https://www.byomie.com/

◆「咳が止まらない時は何科の病院に行けばよいか」>>
◆「喉がムズムズ・イガイガしたり咳が止まらないのはなぜ?」>>

2.アレルギーとは何か?

アレルギー

医学用語として使用される「アレルギー」というのは、特定の物質(アレルギー物質)に対する免疫機序(自己免疫)を介した副反応のことをいいます。

【参考資料】『アレルギー疾患の手引』アレルギー学会
https://www.jsaweb.jp/huge/allergic_manual2022.pdf

アレルギー反応の原因となる物質には、ホコリやダニ、花粉やペットの毛、タバコの煙や食物など、さまざまなものが存在します。人によって「何にアレルギー反応を示すのか?」が異なるため、まずは原因物質が何なのかを調べることが重要になります。

何らかのアレルギー物質に暴露する(吸い込む、接触するなど)と、体の中で異常な免疫反応が起こり、皮膚のかゆみや鼻水、咳などさまざまな症状が現れます。

場合によっては、アナフィラキシーとよばれるショック状態を起こすこともあります。アナフィラキシーによって、呼吸困難や意識障害など、非常に重篤な状態を呈することもあるため、アレルギーは決して侮ってはいけない病気です。

そんなアレルギー反応の基本的な症状のひとつが、「咳」なのです。

◆「アレルギーの原因・種類・検査・治療の基本情報」について>>

3.喘息はアレルギーが原因

喘息
喘息は、ハウスダストやペットの毛、ダニなどのアレルギー物質がきっかけとなって起こる場合があります。アレルギー反応によって、気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が起こり、重篤な喘息発作が誘発される恐れがあります。

【参考情報】『Allergic Asthma』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/21461-allergic-asthma

食物や花粉などの一般的なアレルギー物質はもちろんのこと、排気ガスなどの大気汚染、食品や住宅建材などに含まれる化学物質など、さまざまな物質が喘息発作の引き金となります。

そんな喘息発作の主症状は「咳」です。喘息患者は、発作的に咳や痰が出て息苦しさを感じることがあります。喘息発作というのは、ひどい場合には呼吸困難を伴い、死に至ることもある恐ろしい症状です。

喘息の治療には、専門的な検査と治療が必要になりますので、異常な咳症状や息苦しさを感じた場合には、早めに呼吸器内科を受診してください。

◆「喘息の症状・検査・治療」について>>

◆「呼吸器内科を受診すべき症状」について>>

【参考情報】『呼吸器Q&A』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/

4.アレルギーの治療

アレルギーテスト
アレルギーが原因で起こる咳症状を改善するには、根本的な原因となっているアレルギー物質の検査はもとより、アレルギー反応への対策、そして食生活の見直しなどが必要となります。

◆「アレルギー体質の人が知っておきたい、食事と腸の関係」>>

また、咳の原因が「喘息」である場合には、吸入薬などを使用しながら専門的な治療を行う必要があります。

【参考資料】『病気がみえるvol.4 呼吸器』Medic Media
https://www.byomie.com/products/vol4/

◆「咳が止まらない時に使う「吸入薬」とは?」>>

5.おわりに

熱はないのに咳だけが続く、胸が痛むような咳が出る、2週間以上咳が止まらないなど、しつこい咳症状に悩んでいるという方は、専門医による早期の検査と治療がカギとなります。

むやみに市販薬を使用したりせず、早めに呼吸器内科を受診することをおすすめします。

◆「呼吸器内科を横浜市でお探しなら」>>

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