止まらない咳、喉の痛み…ほんとうに風邪?
風邪やインフルエンザにかかると、鼻水が出る、お腹の調子が悪くなる、高熱が出るなど、さまざまな症状が出ますが、そんな中でも「喉の痛みや咳」は多くの人に現れる症状です。
そのため、多少の喉の痛みや咳では病院に行かない、という人も多いのではないでしょうか。
しかし、喉の痛みや咳が出現するのは風邪だけではありません。
そこで今回は、喉の痛みと咳という症状に焦点を当てて、考えられる病態や治療方法などを紹介します。
目次
1.喉が痛い原因は?
喉が痛いという症状の背景には、喉の炎症が存在します。
感染症などの原因をきっかけとして炎症を起こすことで神経が刺激されます。すると、喉や喉周辺に痛みを感じるようになります。
炎症がひどい場合には、喉が熱を持ったように感じるほど、痛みや腫れが出現します。
喉が炎症を起こす原因としては、風邪やインフルエンザのようなウイルス感染症のほか、喉の粘膜が腫れた咽頭炎・扁桃腺が腫れた扁桃炎・扁桃のまわりに膿がたまった扁桃周囲膿瘍・喉の奥の喉頭が腫れた喉頭炎などが挙げられます。
喉の痛みの程度はまちまちですが、扁桃炎や扁桃周囲膿瘍はものを飲みこむときの強い痛みが特徴です。
【参考情報】『口腔・咽頭の病気』日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=22#hentouen
2.咳が出る原因は?
咳症状の背景には、喉の痛み以上にたくさんの病気が存在します。
風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症のほか、肺炎や気管支炎、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がんなどでも咳が主症状のひとつとなります。
それだけではなく、花粉症などのアレルギー反応でもひどい咳がでる場合があります。
咳が出現しやすいタイミングや咳が発現している期間など、咳の特徴を把握することが病気の特定に繋がります。
3.喉の痛みはないが咳だけが長く続く場合は注意
喉の痛みはなく発熱もない、倦怠感もほとんどなく食欲もあるが、咳だけが異常に長く続いている…このような症状には注意が必要です。
このような症状が発現している場合、感染症は感染症でも、マイコプラズマやクラミジア、百日咳菌などによる気管支炎を発症している可能性も考えられます。
それだけではなく、結核をはじめとする抗酸菌感染症も否定できません。また、感染症以外では、喘息、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、薬の副作用、間質性肺炎、肺がんなど、さまざまな病気が考えられます。
風邪による咳であれば、数日から、長くても2週間以内に症状は改善します。他の症状はないのに咳だけが長期的に続いているというような場合には、特に注意が必要です。
4.喉の痛みと咳が同時に出現することもある?
風邪をはじめとする感染症や花粉症などによって、咳と喉の痛みが同時に起きる状態も一般的です。
喉だけに炎症が起こっているわけではなく、気管支にも炎症が起こることで咳も出現します。
また、咳が症状の中心となる気管支炎などの病気の場合でも、頻回な咳によって喉や咽頭の粘膜がダメージを受け、炎症を生じて痛みが出るケースもあります。
【参考情報】『のどの痛みの対策』第一三共ヘルスケア
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/49_nodonoitami/index2.html
5.のどの痛みや咳は何科を受診すべき?
先にも紹介したように、喉の痛みや咳はさまざまな病気に併発して出現する症状です。また、内科に受診すべきか、耳鼻咽喉科に受診すべきかを迷う方が多い症状でもあります。
喉の痛みや咳が一般的な風邪やインフルエンザ、花粉症によって発現しているような場合であれば、内科であれ耳鼻咽喉科であれ、診断と治療ができるので、あまり深く考えずに、近くのかかりつけのクリニックに相談しましょう。
また、喉の痛みや腫れが酷くてものが飲み込めないという場合は、耳鼻咽喉科を受診するのが良いでしょう。
しかし、「息苦しさを感じるほどの咳」や「夜間に眠れないほどの咳」を感じた場合には、すぐに呼吸器内科を受診してください。
いずれにせよ、各診療科での専門的な治療が必要な場合は、医師や医療機関が連携して診察しますので、悩みすぎて治療が遅れないように早めに医師に相談してください。
6.喉の痛みや咳の治療方法は?
基本的には、喉の痛みや咳に対しては対症療法が行われます。喉が痛いときには痛み止めと抗炎症薬、咳には咳止めというように、各症状に対応した治療を行うのが対症療法です。
うがい薬なども、喉の炎症に対して一定の効果を発現します。また、のどの痛みに対しては、のど飴やトローチなどを利用するのも良いでしょう。喉を潤わせることで、咳を出にくくする効果が期待できます。
その他にも、痰が出ていれば去痰薬(痰を出しやすくする薬)を追加し、発熱があれば解熱剤を処方します。
しかし、喉の痛みの原因が特殊な細菌による感染症であった場合や、咳の原因が感染症ではなかった場合(喘息やCOPDなど)には、各病気に対しての専門的な治療を行う必要があります。
咳止めや痛み止めなどは、処方薬と一般薬(市販薬)とで大きな差はありませんが、抗菌薬(抗生物質)や喘息治療に用いる吸入薬などは医師の診断と処方が必要になります。
【参考情報】『のどの痛みの予防』第一三共ヘルスケア
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/49_nodonoitami/index3.html
7.おわりに
いずれにしても、喉の痛みがなくなってからも咳だけが長期間続く背後には、呼吸器系の病気にかかっている可能性があります。
そのため、市販されている風邪薬や咳止め薬を長期間飲み続けているという人は、早めに呼吸器内科で検査を受けていただくことをおすすめいたします。