喘息を悪化させる5つの要因とは?
喘息は急な発作によって呼吸機能が著しく制限されてしまう病気であるため、発作を抑えることがとても大事です。
そのためには、どのような時に発作が起こりやすいのか、自分の喘息を悪化させる要因は何か、ということを患者さん本人(サポートする人を含めて)が把握しておく必要があります。
そこでこの記事では、喘息を悪化させる5つの要因をお伝えします。
目次
1.喘息が悪化する要因とは
喘息患者さんの気道は、慢性的な炎症によって、少しの刺激でも反応してしまうような過敏な状態になっています。
アレルギーを引き起こす物質をはじめ、ストレスや体調の変化なども、喘息を悪化させる要因となります。
身の周りの喘息悪化につながる要因を確認し、対策をとるようにしましょう。
【参考情報】『日常生活におけるぜん息悪化の要因』独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge
1−1.アレルゲン
喘息悪化の最大の要因ともいえるのがアレルゲンです。アレルゲンとは「アレルギー反応を引き起こす物質」のことであり、ダニやほこり、ペットの毛や花粉などの他、食事や添加物などもアレルゲンとなりえます。
スギ花粉や甲殻類など、一般的にアレルギーが起こりやすい物質はよく知られていますが、反応するアレルゲンはひとりひとり異なるため、どのような物質にアレルギーを持っているのかということをあらかじめ調べておくことはとても重要です。
【参考情報】『喘息発作を引き起こす刺激』アストラゼネカ
https://www.naruhodo-zensoku.com/zensoku/causes.html
自分がどのような物質にアレルギーがあるかは、血液検査で調べることができます。
花粉の時期やホコリが舞うような場所ではマスクをつけたり、ダニやホコリを吸い込まないように家の中を清潔に保つようにして、アレルゲンを吸い込まないようにしましょう。
1−2.喫煙・タバコの煙
喫煙は呼吸機能を低下させるだけではなく、気道に炎症を引き起こします。
日々の喫煙習慣が呼吸機能に与える影響は大きく、当然のように喘息悪化の原因となります。
加えて、喫煙は一部の薬の効果を低下させることもわかっています。
喘息治療薬も例外ではなく、テオフィリンとよばれる薬は喫煙によって効果が減弱するため、テオフィリンによる治療を受けている人は必ず禁煙するべきです。
また、自分が吸わなくても、他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙も、自分が喫煙するのと同様に喘息を悪化させる要因となります。
できるだけ喫煙所の周辺には近寄らないように気を付けてください。また、家族に喫煙者がいる場合は、禁煙することをお願いしましょう。
【参考情報】『タバコと薬の飲み合わせ』北海道薬剤師会
http://www.doyaku.or.jp/guidance/data/35.pdf
1−3.呼吸器感染症
風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどの呼吸器感染症は喘息を悪化させる大きな要因です。
特に、インフルエンザが流行する晩秋〜初春には注意が必要です。
定期的な手洗いや、人ごみに行くときはマスクをするなど、感染症対策をしましょう。
1−4.ストレス
「仕事が忙しくなったと」「生活に大きな変化があった」ことがきっかけで、喘息が発症したり、症状が悪化することがあります。
ストレスを完全に取り除くことは難しいですが、できるだけストレスを減らした生活ができるように心がけましょう。
気分転換をすることがストレスの軽減につながります。気持ちがスカッとするような自分なりのストレス解消法を見つけて、心と身体のリフレッシュをしましょう。
【参考情報】『Asthma and stress』Asthma UK
https://www.asthma.org.uk/advice/triggers/stress/
1−5.メタボリックシンドローム・肥満
メタボリックシンドロームや肥満は、喘息の悪化因子であることがわかっています。
理由として、内臓脂肪に含まれる脂肪細胞が炎症を悪化させる物質を出すことや、気管支周辺の脂肪細胞のすき間に炎症を引き起こす細胞が多く集まることなどがあげられます。
特に女性は、BMIが高いほど、喘息が重症化することがわかっています。
肥満を解消すると肺機能もよくなるので、当てはまる人は、食事や運動などの生活習慣を見直してみましょう。
おおまかな目安として、BMI25未満を目指すと良いでしょう。BMIは25以上で肥満と判定されます。
【参考情報】日常生活におけるぜん息悪化の要因:独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge
1−6.気圧の変化や季節の変わり目
冬場の冷たい冷気や、気圧の変化、季節の変わり目なども喘息悪化の要因となることがあります。
喘息の悪化を未然に防ぐために、天気予報をこまめにチェックしておくと良いでしょう。
自分にとっての増悪要因を明確にして、それらの要因から身を守る方法を見つけることが大切です。
◆「季節の変化に注意して喘息発作を予防!」>>
◆「喘息と、天気や気候の関係を解説します!」>>
1−7.大気汚染
PM2.5などの汚れた空気にも注意が必要です。
PM2.5は、長期間さらされると呼吸器疾患や心疾患などのリスクが高まると言われており、大気中に浮遊する髪の毛の約30分の1以下の非常に小さな粒子です。
お住まいの地域で大気汚染注意報が出た時や、大気汚染の濃度が高い日などは、外出は控え、外出の必要がある時はマスクを着用しましょう。
また屋内では、料理の湯気や建材に使用される化学物質などが気道を刺激することがあるため、こまめな換気を行うようにしましょう。
1−8.アルコール
アルコールも喘息を悪化させる要因の1つです。
日本人はとくに、アルコールを分解する過程で生じる有害物質のアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱かったり欠けていたりする人が多いと言われています。
このような人がアルコールを摂取すると、アセトアルデヒドの影響で、顔や身体が赤くなったり、動悸がしたりします。また気管支の粘膜にもむくみが生じるなど、喘息を悪化させてしまうことがあります。
そのため、喘息患者さんは飲酒を控えるようにしましょう。
1−9.非ステロイド性抗炎症薬・β遮断薬
アスピリンやロキソプロフェンなどの解熱鎮痛薬により、重い喘息発作が生じることがあります。これは「アスピリン喘息」と呼ばれていて、注意が必要です。
【参考情報】『さまざまな喘息』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/aspirin.html
また、高血圧や緑内障で使われるβ遮断薬は、気管支を収縮させる作用があるため、喘息の方には原則使用できません。
喘息の人が喘息以外で病院を受診する時は、必ず喘息であることを医師に伝えましょう。
3.おわりに
まずは治療を続けるとともに、悪化要因を避けて生活し、なにか気になることがあれば主治医に相談しながら、症状をコントロールしていきましょう。
加えて、夜更かしなどの生活習慣を改善したり、自分に合ったストレス解消法を見つけて、心身を整えましょう。