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喘息が定期通院を必要とする理由とは?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2023年04月25日
定期通院トップ

喘息の人は、空気の通り道である気道が長期的・慢性的に炎症を起こし、さまざまな刺激に過敏になっている状態です。

一般的にアレルゲンとよばれるアレルギー物質(花粉やダニ、ほこりなど)に対して、気道が過敏に反応してしまう喘息発作のリスクがあるのはもちろんのこと、冷たい空気や運動場の砂ぼこりなど、ほんの些細な刺激にも気道が過敏に反応し、喘息発作の原因となります。

そのため、喘息患者さんは日常生活や生活環境などに十分な注意が必要です。

加えて、喘息は短期間の治療で完治するタイプの病気ではなく、長期間にわたって継続的な治療が必要となる疾患です。
 
そこで今回は、喘息患者さんが安心して生活できる日常を確保するために必要となる、定期受診や通院治療について、「どんな検査をするのか」「どんな治療をするのか」についてお伝えします。

1.なぜ定期受診が必要なのか?

喘息は長期的な治療が必要となる慢性疾患のひとつです。風邪やインフルエンザなどとは違い、1度や2度の通院で良くなる病気ではありません。
 
また、喘息治療の目標は、「喘息発作のない日常生活を確保すること」であるため、たとえ調子がよくても通院を続ける(定期受診を継続する)ことが重要です。
 
「もう元気になったから通院しなくてよい」、「今月は調子が良いから病院に行かなくてもよい」、ということではなく、むしろ、「元気だからこそ、その状態を継続するために通院が必要」と考えていただきたいのです。
 
もちろん、調子が悪い時や喘息発作の時にも通院は必要ですが、喘息の症状を安定させるためにも、定期受診はとても大切なのです。

【参考情報】『Regular follow-up visits reduce the risk for asthma exacerbation requiring admission in Korean adults with asthma』Springer Nature
https://aacijournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13223-018-0250-0

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

2.喘息の定期受診の間隔は?

定期通院の間隔

喘息の定期受診の間隔は患者さんによって異なります。

治療の初期段階や喘息発作が起きてしまった前後などは、2週間に1回など、頻回な受診が必要になります。

また、きちんと薬が効いていたり、患者さん自身でコントロールが上手くできていて、症状や状態が安定していたりする場合には、通っている医療機関の方針にもよりますが、月に1度の受診でも問題の無い場合もあります。
 
悪化してしまってからでは余計に治療時間や治療費がかかることを考えて、ご自身の状態を主治医とよく相談しながら、話し合って決めましょう。

3.定期受診ではどんなことをするのか?

一般的な喘息の定期受診では、問診や検査、治療効果の確認、生活習慣のチェックや指導などを行います。

3−1.喘息の検査

定期通院 検査

喘息の検査を行う上でメインとなるのが、呼吸機能検査です。
これは文字通り“呼吸の機能“を確認する検査です。
 
この検査では、喘息の病態や状態を把握できるだけではなく、治療の効果を確認する(今の治療がうまくいっているかどうか)ことができます。
 
呼吸機能検査では、スパイロメーターという検査機器を使って、気道内の空気の流れ方を調べます。
マウスピースをくわえて、息を最大限まで吸い込んだ後、できるだけ勢いよく最後まで吐ききります。
つまり、「どれだけ息を吐けるか」という力を確認する検査です。

その他、喀痰(痰)を調べることで炎症の程度を測定する検査や喘息発作の原因となるアレルギー物質を調べる検査などが実施されることがあります。
特に呼吸機能検査を行うためには、特別な知識や装置が必要となります。
適切な検査や治療を受けるためにも、喘息を疑う症状(ぜーぜーという呼吸や激しい咳、息苦しさなど)を感じた場合には、呼吸器専門医や呼吸器クリニックなどに相談すると良いでしょう。

【参考情報】『肺機能検査とはどのような検査法ですか?』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q29.html

◆「呼吸器内科で行われる検査」>>

3−2.喘息の治療(注射治療・吸入確認)

定期通院 治療

喘息の治療にはさまざまなものがありますが、中には、通院ごとに注射をするというタイプの治療もあります。

このタイプの治療には、最新の生物学的製剤とよばれるものが使用されることがあり、呼吸の専門病院で治療を受けている患者さんの中には、この治療を行っている方もいらっしゃるでしょう。

また、喘息治療の基本となる吸入ステロイドなどの吸入薬は、正しく吸入するための定期的な吸入確認が欠かせません。
  
飲めばいいだけの内服薬(飲み薬)とは異なり、吸入薬は正しく吸入(吸入後のうがいや吸入器の管理を含めて)できて初めてその効果を発現します。
そのため、定期受診の際には、今の薬が効いているかどうかだけではなく、「しっかりと薬が使用できているかどうか」も確認します。
 
忘れずに吸入するのはもちろんのこと、正しい方法で吸入されているかを確認し、必要であれば使い方の改善を行うことで、治療効果を最大限に引き出すことができます。

【参考情報】『正しい吸入器の使い方』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/inhalers/method01.html

◆「喘息治療のゴールと治療法」>>

4.おわりに

喘息の治療目標「喘息発作の無い日常生活の確保」です。
つまり、調子が良い状態を長く継続するのが目標です。
そのため、元気で調子が良い時でも、忘れずに定期的な受診を行いましょう。
 
症状が安定している患者さんの場合、毎回「変わりない」という定期受診になるかもしれませんが、実は、問診や検査、吸入方法など、喘息の定期受診ではさまざまなことを確認しています。

忘れずに定期受診を続けていただくことが大切です。

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