好酸球性肺炎とはどのような病気か
細菌やウイルスなどが肺に感染して起きる一般的に言われるような肺炎とは異なり、好酸球性肺炎とは、アレルギー反応に関与している白血球の一種である好酸球によって引き起こされる肺炎です。
特定の薬剤や化学物質、タバコ、寄生虫、カビ(真菌)などのアレルゲンの吸入や、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症などの疾患が原因で発症することもありますが、原因不明であることも少なくない病気です。
好酸球性肺炎は、病気の原因や経過により急性と慢性に分けられます。この記事では、好酸球肺炎を急性・慢性に分けて解説します。
1.急性好酸球性肺炎
急性好酸球性肺炎とは、肺の中に多くの好酸球が集まって炎症を起こす病気です。発症年齢は20~40歳と比較的若く、20歳前後の男性に目立ちます。
日本では、喫煙と関連しているという報告が多く、喫煙開始後、または禁煙に失敗して再びタバコを吸い始めた人がかかりやすいと言われています。
1-1.症状
咳や発熱、胸痛、息切れ、全身倦怠感、呼吸困難などの症状があり、急速に進行します。呼吸不全により病院に搬送される患者さんも多いです。
喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼーといった呼吸音)を伴うこともあります。
食欲不振や関節痛、筋肉痛など、ほかにもさまざまな症状がみられます。
1-2.検査
主に、胸部画像検査や血液検査を行います。
胸部エックス線検査や胸部CT検査では、肺に炎症の影があるか、肺に水が溜まっているかなどを確認します。
血液検査では、血液中に好酸球が増えているかなどを確認します。
1-3.治療
自然に治る場合もありますが、ほとんどの患者さんには、ステロイド薬による治療を行います。感染症ではないので、抗菌薬は効きません。
通常は2~4週間以内で治るとされています。
2.慢性好酸球性肺炎
慢性好酸球性肺炎とは、原因不明の好酸球性肺炎のうち、2~6ヶ月の経過をたどるものを指します。30~40歳代での発症が多く、女性は男性より約2倍発症しやすいと言われています。
急性好酸球性肺炎とは異なり、喫煙との関連は報告されていません。
2-1.症状
咳や発熱、痰、呼吸困難、喘鳴、体重減少、寝汗などの症状があり、胸痛や血痰が出る場合もあります。
また、気管支喘息やアレルギー性鼻炎と併発する人も多いです。
【参考資料】『Idiopathic chronic eosinophilic pneumonia and asthma: how do they influence each other?』NIH(National Institutes of Health)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12882444/
◆「喘鳴について」>>
◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>
2-2.検査
主に、胸部画像検査や血液検査、肺機能検査などを行います。
胸部エックス線検査や胸部CT検査では、肺に炎症の影があるかなどを確認します。
血液検査では、血液中の白血球や好酸球、炎症反応で増加するCRPが増えているかなどを確認します。
肺機能検査では、肺活量が低下しているかなどを確認します。
2-3.治療
ステロイド薬がよく効きます。しかし、薬の量を減らしたり中止した後に再発することも多く、ステロイド薬での治療が終わってからも1年程度は注意が必要です。
【参考資料】『新・呼吸器専門内科医テキスト』日本呼吸器学会
https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524226894/
3.おわりに
好酸球性肺炎は、肺の中に多くの好酸球が認められる特殊な肺炎です。
原因が特定できる場合、その原因を避けることで回復することもありますが、症状が急速に進むと呼吸不全に繋がったり、慢性化すると長期間にわたり治療が必要となったりする病気です。
咳や発熱などの気になる症状がありましたら、早めに呼吸器内科を受診しましょう。