呼吸器内科に関する国内外の論文一覧
このページでは、日本内科学会、日本アレルギー学会、大学病院、米国国立衛生研究所など国内外の権威ある専門機関で発表された、喘息、COPD、肺がん、肺炎、結核、睡眠時無呼吸症候群、Covid-19ワクチンなどの呼吸器疾患に関連のある20
の研究論文についてご紹介します。
専門的な論文なので一般の方には難しい記述も含まれますが、ご興味のある項目がありましたらぜひ目を通してみてください。
目次
- 1.喘息はなぜ起こるのか? —気管支喘息の病態生理—
- 2.〈総説〉喘息治療—今後の治療戦略
- 3.小児喘息の成人喘息移行因子の検討
- 4.気管支喘息でのステロイド吸入療法
- 5.気管支喘息発作と気象要因の解析
- 6.COPD(慢性閉塞性肺疾患)の診断と治療
- 7.喫煙行動(禁煙指導)と行動医学
- 8.肺がん死亡と罹患の動向
- 9.高齢者肺炎の診断と治療
- 10.結核の疫学・診断・治療・予防
- 11.睡眠時無呼吸症候群の診断と治療
- 12.モストグラフとスパイロメトリーによる気道狭窄の評価 : 可逆性試験を用いた検討
- 13.小児喘息の管理の進歩
- 14.咳喘息およびアトピー性咳
- 15.喘息の病理学における肺と腸内細菌叢の役割
- 16.環境中のタバコの煙、屋内アレルゲン、および小児喘息
- 17.COPDの疫学
- 18.電子タバコの使用に関連する重度の肺の病気における肺生検所見:8症例の報告
- 19.BNT162b2 mRNACovid-19ワクチンの安全性と有効性
- 20.関節リウマチの肺疾患
1.喘息はなぜ起こるのか? —気管支喘息の病態生理—
気管支喘息患者は気候や運動、ストレスの刺激に過敏で、これが気道の炎症と関連して喘息発作を引き起こします。気道の炎症は、気道壁が腫れて狭まり、炎症細胞や気道構成細胞からの物質によって炎症が持続します。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjmj/45/4/45_521/_article/-char/ja/
2.〈総説〉喘息治療—今後の治療戦略
気道炎症が進むと喘鳴や呼吸困難などの症状が現れます。
新しい治療として吸入ステロイド薬が重要視されています。重篤な発作が予防できる可能性のあるSMART療法も注目されており、患者教育や吸入指導も重要です。
3.小児喘息の成人喘息移行因子の検討
小児喘息への移行や成人での再発の割合は3.53%という結果があり、喫煙や予防的治療の不足、重症度の高さなどのリスク因子が指摘されました。喫煙やペット飼育の中止、小児喘息への早期の治療介入などが重要です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/59/1/59_KJ00006063682/_article/-char/ja/
4.気管支喘息でのステロイド吸入療法
気管支喘息は気道の閉塞と炎症を引き起こします。
吸入ステロイド薬は主要治療薬であり、副作用は殆どありませんが副作用はスペンサーの使用で軽減できます。治療効果増進の為、使用量のコントロールが望ましいです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/84/12/84_12_2085/_article/-char/ja/
5.気管支喘息発作と気象要因の解析
気管支喘息患者の日記からデータを分析し、気象データとの関連を追跡した結果、高気圧下では喘息発作が増加すると認められました。湿度変化も重要で、乾燥した日や天候不安定な日に痰が増えることがわかりました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/23/11/23_KJ00001615275/_article/-char/ja/
6.COPD(慢性閉塞性肺疾患)の診断と治療
COPDは慢性の肺の炎症性疾患で、タバコ煙が主な原因です。
禁煙や気管支拡張薬などの治療が有効で、減少傾向ではあるものの注意が必要です。未診断者も多いため、予防医療に焦点を当てた医師の関与が重要です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/generalist/35/2/35_162/_article/-char/ja/
7.喫煙行動(禁煙指導)と行動医学
たばこ喫煙は、日本では依然として高い状態です。
禁煙意欲のある喫煙者にはニコチン依存治療と行動カウンセリング、禁煙意志のない者には動機付け面接が有効で、治療はモチベーションを保つことが重要になります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbm/19/2/19_1301/_article/-char/ja/
8.肺がん死亡と罹患の動向
がん罹患率と死亡率は高齢化により増加傾向です。
年齢分布の変化の影響を除いた年齢調整率でみると,男性のがん罹患は増減なく、死亡は減少していますが、女性のがん罹患は緩やかに増加しています。しかし、将来的に年齢調整罹患・死亡率の増加は止まると考えられています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/haigan/55/4/55_261/_article/-char/ja/
9.高齢者肺炎の診断と治療
日本では高齢者の肺炎罹病率と死亡率が増加し、新たな疾患概念が生まれています。
肺炎の症状は誤嚥が大きな要因で、治療ではリスクを考慮し、過剰な治療を避けつつ総合的な治療が必要となります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/102/11/102_2990/_article/-char/ja/
10.結核の疫学・診断・治療・予防
結核はわが国でも年間2万人以上が発病しており、特に高齢者の結核が増加しています。
最近では核酸増幅法検査が使われ迅速に診断確定されるようになりました。治療には特定の薬物が推奨されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/101/6/101_1691/_article/-char/ja/
11.睡眠時無呼吸症候群の診断と治療
睡眠中、明らかな異常呼吸を睡眠障害と呼びます。
睡眠中に10秒以上の気流停止を無呼吸といい、その状態が頻発する疾患を睡眠時無呼吸症候群といいます。特徴として肥満といびきがあげられます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/3/2/3_2_96/_pdf
12.モストグラフとスパイロメトリーによる気道狭窄の評価 : 可逆性試験を用いた検討
喘息は、発作性の呼吸困難や咳嗽等の症状の反復や気道狭窄の亢進の確認、鑑別疾患を除外するなどして診断します。スパイロメトリーの検査は煩雑なため成人喘息でも50%未満と普及率は高くありません。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/62/5/62_KJ00008686834/_pdf
13.小児喘息の管理の進歩
喘息は、小児期に最も一般的な慢性疾患となっています。
小児喘息の治療は大きな進歩が見られており、アレルゲンの回避やテオフィリンの使用と作用の再検討、喘息における舌下免疫療法などが検討されています。
Progress in the management of childhood asthma
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22348203/
14.咳喘息およびアトピー性咳
慢性咳嗽(長引く咳)は世界でも多くみられる症状です。
患者によっては生活の質の著しい低下につながります。咳は喘息悪化の最初の兆候である可能性があるため、喘息治療への早期治療介入が重要です。
Cough variant asthma and atopic cough
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3463094/
15.喘息の病理学における肺と腸内細菌叢の役割
喘息は世界で3億人以上が罹患しており、原因はまだよくわかっていませんが遺伝的、感染的などの要因に関連しています。
真菌や古細菌を含む微生物は気道の炎症に強力な影響を与える可能性があります。
The Role of Lung and Gut Microbiota in the Pathology of Asthma
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7128389/
16.環境中のタバコの煙、屋内アレルゲン、および小児喘息
乳児期および小児期に、タバコの煙は、気道内の血流の減少、気管支過敏性、および呼吸器感染症の増加に関わります。タバコの煙は、出生前後から影響しており、小児喘息の発症につながるとされています。
Environmental tobacco smoke, indoor allergens, and childhood asthma
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1637671/
17.COPDの疫学
慢性閉塞性肺疾患は喫煙の関連が多く、ゆっくり進行します。併存疾患を持っている患者も多いため治療の費用や就労不能などで生活に悪影響を与えます。死亡率が高く、今後は喫煙からの発症予防と早期発見が課題です。
Epidemiology of COPD
https://err.ersjournals.com/content/18/114/213.full
18.電子タバコの使用に関連する重度の肺の病気における肺生検所見:8症例の報告
「電子タバコ」とは、電子タバコによって生成されるエアロゾルを吸入することを指します。電子タバコ使用後の8人の男性に行われた検査でエアロゾルの吸入が肺の損傷を引き起こす可能性があるという結果となりました。
Lung Biopsy Findings in Severe Pulmonary Illness Associated With E-Cigarette Use (Vaping): A Report of Eight Cases
https://academic.oup.com/ajcp/article/153/1/30/5588493?login=true
19.BNT162b2 mRNACovid-19ワクチンの安全性と有効性
Covid-19は、世界で多くの人を苦しめており、安全で効果的なワクチンが緊急に必要とされています。
BNT162b2ワクチンが承認されれば、健康、生命、経済的および社会的福祉の壊滅的な損失を減らすことに貢献することができます。
Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa2034577
20.関節リウマチの肺疾患
関節リウマチは女性に多く、関節および関節外の症状が特徴で、肺内では、 気道、実質、血管、または胸膜疾患が含まれる場合があります。死亡率はわずかに男性が高く、関節リウマチ患者の死亡の20%は間質性肺疾患です。
Lung Disease in Rheumatoid Arthritis
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4415514/