咳喘息の症状・検査・治療の基本情報
咳喘息とは慢性的に咳が出る病気で、その名の通り喘息とよく似た症状が現れます。しかし、喘息の特徴である「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という呼吸音はありません。
この記事では、咳喘息という病気について説明します。風邪をひいた後に咳だけがしつこく残っている人や、原因不明の咳に悩まされている人は、ぜひ読んでください。
1.原因
息と同じように、咳喘息も以下のような刺激に対して気道が過敏に反応することで、咳が出ます。
・ホコリ
・カビ
・ペットの毛
・タバコの煙
・香水などの強い香り
・気温や気圧の変化
・花粉
・運動
・飲酒
・会話やカラオケ、スポーツの応援などで声を出す
また、風邪がきっかけで発症したり、ストレスが原因で引き起こされることもあります。春や秋など、特定の季節になると咳が出る人もいます。
【参考記事】『気管支ぜんそく/咳ぜんそく』日本医科大学 呼吸ケアクリニック
https://www.nms.ac.jp/rcc/visit/maincare/disease02
2.症状
乾いた咳が2週間以上続いていて、以下のような症状が「ない」場合、咳喘息の疑いがあります。
・熱はない
・痰はない(白い痰がほんの少しだけ出ることはある)
・「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という呼吸音はない
以上に当てはまり、さらに8週間以上乾いた咳が続いているなら、咳喘息である可能性は高いです。
また、のどのかゆみやイガイガ感があったり、咳止め薬を服用しても咳が治まらない場合も要注意です。
【参考記事】『夜間や早朝にせきが出ます』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q03.html
3.検査
咳喘息が疑われる場合は、問診のほか、以下のような検査を行います。
・胸部画像検査
X線で胸部を撮影し、慢性的に咳が出る別の病気ではないことを確認します。
・呼気一酸化窒素ガス分析(呼気NO検査、FeNO)
専用の機器に息を吹き込み、吐いた息に含まれる一酸化窒素の数値を調べることで、気道の炎症の程度を評価します。
・呼吸機能検査
スパイロメトリーやモストグラフという機器を用いて、呼吸の機能を調べます。
・血液検査
アレルギーの有無や、アレルギーの原因となる物質を調べるために行います。
4.治療
咳喘息は、喘息の患者さんも用いる吸入ステロイド薬や気管支拡張薬で治療します。
吸入ステロイド薬は、気道の炎症を抑え、発作を起こさないようにする薬です。
気管支拡張薬は、気道を広げて呼吸をラクにする薬です。
薬の服用と同時に、「こまめに掃除してハウスダストを減らす」など、アレルギーの原因を取り除いたり、アレルギーを起こしやすい環境を避ける工夫も行いましょう。
タバコを吸っている人は、喫煙により症状が悪化するので必ず禁煙してください。喫煙スペースに近寄らないなど、副流煙にも注意する必要があります。
【参考記事】『Smoking & Asthma: Effects, Prevention』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/articles/4584-smoking–asthma#:~:text=Exposure%20to%20second%2Dhand%20smoke,sensitive%20to%20second%2Dhand%20smoke.
5.咳喘息から喘息になるのか
咳喘息の患者さんが適切な治療を受けなかった場合、約3分の1が喘息に移行したという報告があります。
吸入ステロイド薬での治療を始めると、咳が減って体調が良くなるため、自己判断で治療を中止してしまう患者さんもいます。しかし、治療を中断すると再び症状が現れ、かえって治療が長引くことがあるので、症状がなくなっても必ず医師の指示に従って治療を続けてください。
風邪がきっかけで咳喘息を発症した人の中には、咳喘息と診断されないまま、風邪薬や咳止め薬を服用している人も多いでしょう。
しかし、咳喘息の咳は、風邪薬や咳止め薬では抑えることはできません。診断されないまま薬を飲み続けていると、症状が治まらないばかりか、病気が進行して喘息へと移行する恐れも出てきます。
咳喘息の治療には、医療機関で処方される吸入薬が必要です。2週間以上咳が続いているなら、市販薬の服用はいったんストップして、呼吸器内科で咳の原因を調べてみましょう。
6.おわりに
肺がんや肺炎など、咳喘息や喘息以外にも、咳が長引く病気や呼吸がしにくくなる病気はあります。
市販薬を使っても咳が治まらず長引いている人は、呼吸器内科を受診して、咳の原因となる病気を調べてみることをおすすめします。