喘息で息苦しい時の応急処置
喘息は、アレルギーなどの炎症によって気道が敏感になり、気道が狭くなることで起こります。
気道が敏感になることで、風邪をひいたり、汚れた空気を吸ったときに気管支が狭まり、呼吸が苦しくなる病気です。
夜間や早朝に発作が出やすいのが特徴です。
喘息の発作といえば、激しい咳が出て止まらなくなるイメージがあるかもしれません。しかし、軽い発作だと、息苦しいだけで咳が出ないこともあります。
また、喘息の患者さんが息苦しくなると、息を吐くたびに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という特徴のある音(喘鳴)が聞こえることがありますが、息苦しくなっても喘鳴が感じられない場合もあります。
この記事では、軽い発作で息苦しくなった時の対処法と、発作を起こさないための予防法を紹介します。
1.喘息の発作・3つの段階
喘息の発作は、症状の強さによって「小発作」「中発作」「大発作」の3つに分けられます。
「小発作」は、軽い喘鳴はありますが、呼吸困難はなく会話も動作も普段通り行えます。
「中発作」は、明らかな喘鳴があり、呼吸困難感もあらわれます。また、発作により会話や食事、睡眠などの動作に影響があります。
「大発作」は、喘鳴がひどく日常生活が困難な状態です。呼吸困難になり会話はできず、チアノーゼ(酸素不足により皮膚が青紫色になった状態)があらわれる場合もあります。大発作が起きた時は、ただちに医療機関を受診する必要があります。
咳や喘鳴がなくても息苦しい場合は、軽めの発作を起こしていると考えて対処しましょう。
2.息苦しい時の対処法
喘息患者さんが息苦しさを感じたら、まずは仕事や家事などを中断して楽な姿勢で休憩しましょう。
2−1.気管支拡張薬がある場合
かかりつけ医から処方された気管支拡張薬があれば、すぐに服用してください。「これくらいの軽い症状で薬を使うなんて」とためらう必要はありません。発作が悪化する前に、迷わず吸入しましょう。
薬を使って息苦しさが治まってきたら、そのまま様子をみます。症状が治まらなかったり、悪化するなら、最初に吸入した時から20分後に、もう一度薬を使用します。
2回薬を吸入しても息苦しさがとれなかったら、また20分後に3回目の薬を使用し、それでも息苦しさが治まらない場合は病院を受診してください。発作の原因が肺炎や気管支炎などの場合は、感染症治療をしないと改善しないためです。
2−2.気管支拡張薬がない場合
気管支拡張薬がない場合、まずは水分を補給してください。冷たい飲み物だとのどの粘膜が刺激されてしまうので、常温または温かい飲み物を摂ってください。
水分を補給したら、腹式呼吸をしましょう。鼻から息を吸い込み、吸い込んだ空気でお腹を大きく膨らませたら軽く息を止め、口をすぼめてゆっくりと息を吐き切ります。
【参考情報】『実践編 腹式呼吸』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/effective/04.html
水分補給と腹式呼吸で痰が出やすい状態になったら、ゴホンと咳払いをして痰を吐き出します。
その後、安静にしてしばらく様子をみます。仰向けになると苦しい時は、横向きの姿勢で寝たり、椅子に座って背もたれに寄りかかって寝るなど、ラクになれる姿勢を探してみてください。
上記の応急処置を行っても、息苦しさが治まらない時や悪化していく場合は、病院を受診してください。
3.喘息の息苦しさを予防するには
喘息の治療には毎日の服薬が欠かせません。発作が起こらなくても、症状が治まったとしても、気道の炎症そのものは続いているので、自己判断で薬をやめてしまうと、何かのきっかけで再び症状が現れることがあります。
【参考情報】『Weather Can Trigger Asthma』Asthma and Allergy Foundation of America
https://www.aafa.org/weather-triggers-asthma/
ですから、発作が起こった時だけ症状を和らげる薬を使うのではなく、気道の炎症を抑えるための薬を毎日服用することが大切です。
毎日の服薬を中断してしまった人は直ちに再開し、息苦しくならないように薬で気道の炎症をコントロールしましょう。
そして日々の生活からアレルゲンとなりやすいもの、刺激になるものを避け、のどを過敏にしないことも予防につながります。
布団やソファ、ぬいぐるみなどにはダニが多く生息しています。
ダニのフンや死骸、ホコリ、カビ、ペットの毛などを吸い込むと、その刺激で息苦しくなることがあるので、なるべくこまめに掃除をして取り除きましょう。
◆「喘息・アレルギーを悪化させない、カビと掃除の注意点」>>
のどがイガイガするような時は、のどの炎症を鎮める飴などをなめるのもおすすめです。
また、タバコの煙も息苦しさを誘発する原因となるので、吸っている人は禁煙してください。新型タバコ(加熱式タバコ・電子タバコ)も吸わないようにしましょう。
本人が吸っていなくても周りに吸っている方がいらっしゃると症状はよくなりません。受動喫煙も徹底して避けましょう。
4.おわりに
喘息の治療は、発作が起きてから行うものではありません。発作を起こさないように日頃からの自己管理、発作のコントロールをしていくことが大切です。
喘息患者さんが息苦しさを感じたら、我慢せずに処方された気管支拡張薬を使ってください。
また、その時は息苦しさがとれても、また同じように息苦しさを感じることがあれば、早めにかかりつけの呼吸器内科医に相談しましょう。