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喘息でも安心して旅行を楽しむための5つのポイント

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年07月05日

旅に出ると、日頃溜まっていたストレスが吹き飛んだり、いつのまにか積み重なった疲れが癒されます。

休みの日の旅行を楽しみに、毎日の仕事や家事を頑張っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、喘息の患者さんは「もし飛行機の中で発作が起きたら」「もし言葉の通じない国で症状が出たら」と、不安に思うこともあるかもしれません。

それでも、せっかく旅行に行くチャンスがあるなら、大いに楽しんでほしいものです。

そこで、この記事では、喘息の人が旅行前に準備しておけば安心な5つのポイントを紹介します。

1.医師に処方された薬を携帯しましょう

1.医師に処方された薬を携帯しましょう

飛行機に長時間乗っていると、機内の乾燥や空調が刺激となって、症状が安定している方でも咳が出るかもしれません。

静かな機内でゴホンゴホンと咳が続いて気まずい思いをしないためにも、医師に処方された薬は必ず持って出かけましょう。

◆「咳が止まらない時こそ乾燥に注意!」>>

交通の便が悪い場所や海外へ出かける際は、天候不順や災害で帰りの予定が遅れる場合に備え、滞在日数の分より多めに薬を持って行きましょう。

また、いざというときのために、旅行先の医療機関を調べておきましょう。

症状が落ち着いているからと油断して、自己判断で薬を飲まなくなってしまった方は、旅行前に必ず病院を受診して、薬を処方してもらいましょう。

しっかり通院している方も、遠方や海外に出かける前には、念のため、主治医に報告しておきましょう。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

2.吸入薬は必ず機内に持ち込みましょう

2.吸入薬は必ず機内に持ち込みましょう

ヘアスプレーなどのエアゾールタイプのスプレーが機内に持ち込めないことから、「喘息の吸入薬も機内に持ち込めないのでは」と心配する方もいるようです。

◆「喘息やCOPD治療に使う「吸入薬」とは?」>>

しかし、命を守る大事な薬ですから、手荷物として機内に持ち込むことができます。

持ち込みのルールは、利用する航空会社や旅行代理店に問い合わせたり、ホームページを見たりして確認しておきましょう。

持ち込みにあたって、事前に航空会社所定の診断書の提出を求められることもあります。

【参考情報】『喘息です。インヘラーや吸入器(電動式)を機内で使用できますか。』日本航空
http://faq.jal.co.jp/app/answers/detail/a_id/14847/related/1

特に海外旅行では、預けた荷物を紛失する可能性もゼロではありません。

万が一、薬がないまま旅行先で発作が起きたら大変なので、必ず手荷物として持ち込みましょう。
 
最近は、テロや違法薬物の持ち込みを防止するため、出入国時の手荷物検査が厳しくなっています。

服薬中の薬について説明するよう求められた場合は、英文または訪問先の国の言語で書かれた「薬剤証明書」があると便利です。

欲しい方は主治医に相談してください。

3.宿泊先にも喘息であることを伝えましょう

3.宿泊先にも喘息であることを伝えましょう

宿泊施設予約の際には喘息であることを伝え、禁煙室を予約するほか、寝具をアレルギー対応のものにしてもらえないか相談してみましょう。

羽毛布団やそば枕、羽枕などは避けたほうがよいでしょう。加湿器や空気清浄器を貸し出してくれるところもあります。

◆「喘息に空気清浄機は効果があるのか?」>>

子どもが学校の宿泊行事や修学旅行に出かける際は、事前に主治医と担任の先生に相談しておきましょう。

花火やキャンプファイアーの煙、温泉のにおいなどが刺激となって発作が引き起こされることがあるので、行事の内容を確認して、必要なら学校に対策をお願いしましょう。

薬のほか、発作時の対応を書いたメモを持っていくと安心です。

◆「もしも喘息発作が起こったら~緊急時の対処法~」>>

4.喘息について同行者に説明しておきましょう

4.喘息について同行者に説明しておきましょう

同行者が喘息のことを知らないと、「咳が出ているだけでしょ?」とただの風邪のように思われたり、ひどい症状が出た時にビックリされたりと、お互い気まずい思いをしてしまうかもしれません。

それでは、せっかくの旅行も楽しさが半減してしまいます。

一緒に旅行をする方には、「喘息があるので、急な体調不良があるかもしれない」ことを事前に告げ、「体調によってはスケジュールの変更が必要になる」ことに同意を得てから出かけた方が、気持ちのいい旅ができます。

5.余裕のあるスケジュールを組みましょう

5.余裕のあるスケジュールを組みましょう

「せっかくの旅行だから」と、ついつい予定を詰め込みたくなるかもしれませんが、適度に休憩を入れ、無理をしないことが大切です。

海外にお出掛けの方は、時差や気候の違いで疲れが出てしまうことがあるので、到着の日はあらかじめ余裕のあるスケジュールにしておきましょう。

それでも調子が悪くなった時にゆっくり過ごせるよう、なるべく変更のきく計画にしておきましょう。

特に喘息のお子さんを連れて行く場合は、「いざとなったら中止・中断する」という判断が必要です。 

6. おわりに

6. おわりに

飛行機に乗る時は、機内の乾燥対策としてこまめに水分をとりましょう。ただしアルコールやカフェインの入った飲み物は、利尿作用があるので控えましょう。

【参考情報】『Do caffeinated drinks, such as coffee or energy drinks, hydrate you as well as water?』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/nutrition-and-healthy-eating/expert-answers/caffeinated-drinks/faq-20057965#:~:text=As%20a%20chemical%2C%20caffeine%20increases,of%20urine%20the%20body%20makes.

口や鼻の中が乾くのを防ぐため、マスクを着けるのもいいでしょう。

◆「喘息発作やウイルス感染を予防する、マスクの付け方と選び方」>>

旅先でアウトドアスポーツを楽しみたい方もいると思いますが、ダイビングやシュノーケルは、医師の診断書がなければ体験できないこともあります。

興味があっても自己判断で実行せず、事前に主治医に相談してください。

海外、特にアメリカでは、病院を受診すると高額な費用を請求されます。

海外旅行保険の中には喘息発作は対象外の場合もあるので、保険でどこまでカバーできるのかを前もって確認しておくと安心です。

さまざまな準備を整えたら、あとはベストコンディションで出発できるよう、旅行前から体調管理もしっかり行いましょう。

◆「呼吸器内科を横浜市でお探しなら」>>

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