「咳エチケット」をいまいちど見直そう!
新型コロナウイルスによる未曾有のパンデミックによって、咳エチケットの重要性が世界中の人に認識されたのではないでしょうか。
数年前までは、インフルエンザシーズンなどに、医療の専門家がどれだけ咳エチケットを呼びかけても、一部の人にしか咳エチケットは浸透しませんでした。
手洗い、うがいなどの一般的な感染対策も同様です。
専門家の間では、医療機関へ来院する患者さんやその家族、見舞いに来院される方々などにいかにして感染対策の意識づけを行うかということがしばしば問題となっていました。
感染対策や咳エチケットが守られていないために、医療機関で感染症が蔓延するケースが存在していたからです。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによって、今や世界中の人々が感染対策に高い意識をもって行動するようになりました。
この記事では、いま一度咳エチケットを見直そうということで、正しい咳エチケットの方法やマスク選びについてお伝えします。
1.咳エチケットとは?
そもそも咳エチケットというのは、インフルエンザやコロナウイルスなど、咳やくしゃみの飛沫により感染する恐れのある感染症を防止するための対策のひとつです。
これらの感染症を他人に感染させないために、個人が咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえることを「咳エチケット」といいます。
咳エチケットは、咳やくしゃみをする際に口元(口や鼻全体)を覆うという単純なものですが、個人個人が意識して行うことで強力な効果を発揮します。
特に電車や職場、学校など人が集まるところでは、全員が徹底して実践することが重要になります。
【参考情報】『咳エチケットとは?』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187997.html
2.3つの正しい咳エチケット
しかし、咳エチケットという言葉は知っていても、正しい咳エチケットができていないと十分な効果を発揮することはできません。
そこで、厚生労働省が提案している「3つの正しい咳エチケット」を紹介します。
1.マスクを着用する。
2.ティッシュ・ハンカチなどで口や鼻を覆う。
3.上着の内側や袖(そで)で覆う。
非常に単純ですが、要するに、咳やくしゃみなどの“しぶき”を周りに飛ばさないようにしようという対策です。
今の時代にはほとんどの人がマスクをしているため、咳やくしゃみが出そうなときは、マスクの上からさらにハンカチやタオルなどで覆うと良いです。
ポイントは、「手で口元をおさえない」ということです。
せきやくしゃみを手でおさえると、その手で触ったドアノブなど周囲のものにウイルスが付着します。
するとドアノブなどを介して他の人に病気をうつす可能性があります。
マスクを着用することはもちろん、さらにハンカチやタオル、場合によっては袖などで口を覆って咳をすることが大切です。
以下の厚生労働省のサイトでは、詳細な画像付きで「3つの正しい咳エチケット」について解説されています。
【参考情報】『3つの正しい咳エチケット』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187997.html
3.啓蒙ポスターを活用しよう
新型コロナウイルス感染症の予防には、風邪やインフルエンザの対策と同様に、一人ひとりの咳エチケットや手洗いなどの実施がとても重要です。
流水と石けんによる手洗いをこまめに行い、手の清潔を保ちましょう。洗い残しがないように、30秒程度かけてしっかり洗うことが重要です。
特に、これら基本的な感染対策を「全員が徹底」することがとても重要です。
勤務先や学校など、集団活動を行うような場所では、以下のサイトから手に入る咳エチケット啓蒙ポスターを印刷して貼っておくと良いでしょう。
【参考情報】『咳エチケット啓蒙ポスター』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000593495.pdf
4.マスクの効果について
最後に、たびたび注目を集めている「マスクはどの程度効果があるのか」ということについてご紹介します。
マスクは、咳エチケットのための重要なアイテムですから、正しい知識を身につけておきましょう。
4−1.マスクの素材は何がいい?
マスクの素材によって、マスクの効果には違いが生まれます。
一般的なマスクでは、「不織布マスク」が最も高い効果を持つといわれています。
布マスクやウレタンマスクは、感染力の強いデルタ株に対しての予防効果が不織布マスクに比べて乏しいとの報告があります。
【参考情報】『市販マスクの性能(実測値)』内閣官房
https://corona.go.jp/minister/pdf/kishakaiken_shiryo_20210625.pdf
もちろん、人の顔の形は千差万別ですので、同じ素材のマスクでも、自分の顔にぴったりとフィットしているマスクを選ぶことが重要です。
また、マスクのフィルターの性能や布の厚さなどによっても差が出ます。
たとえN95(空気感染をも防ぐ医療用のマスク)をしていても、「マスクに隙間」があればその効果は一気に落ちてしまいますので、まずは自分の顔にぴったりとフィットするマスクを探すことが大切です。
◆「喘息発作やウイルス感染を予防する、マスクの付け方と選び方」>>
4−2.マスクは感染を広げない効果があります
マスクは、相手のウイルス吸入量を減少させる効果より、「自分からのウイルス拡散を防ぐ効果が高い」アイテムです。
仮に50センチの近距離に近づかざるを得なかった場合でも、相手だけがマスクを着用(布マスクで17%減、不織布マスクで47%減)するより、自分だけがマスクを着用(布マスク又は不織布マスクで7割以上減)する方がより効果が高く、自分と相手の双方がマスクを着用することで、ウイルスの吸い込みを7割以上(双方が布マスクで7割減、不織布マスクで75%減)抑える研究結果があります。
自分から相手への感染拡大を防ぐために、話す時はいつでもマスクを着用しましょう。
【参考情報】豊橋技術科学大学Press Release定例記者会見
https://www.tut.ac.jp/docs/201015kisyakaiken.pdf
5.おわりに
いま一度感染対策の基本をしっかりと見直して、パンデミックの時代を乗り越えましょう。
マスク、手洗い、うがい、咳エチケットなど、どれも非常に基本的なことですが、シンプルだからこそ強いチカラを発揮します。