ブログカテゴリ
外来

夜中に息苦しくて目が覚める人は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年12月25日

・夜中に息苦しくなって起きてしまう
・睡眠中に何度もトイレに行きたくなる
・寝ている間に口の中やのどが渇いて目が覚める

このような症状を繰り返している方は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。

この記事では、「睡眠中に息苦しい」と感じる原因を、睡眠時無呼吸症候群という病気のメカニズムに沿って解説します。

夜中に目が覚めることが多い人や、家族やパートナーに「いびきが激しい」と指摘された人は、ぜひ読んでください。

1.睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気か

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなることを繰り返す病気です。

具体的には、10秒以上呼吸が止まる無呼吸状態、もしくは呼吸が弱くなる低呼吸状態が、1時間あたり5回以上繰り返される場合に診断されます。

◆「睡眠時無呼吸症候群」について詳しく>>

◆「あなたの危険度チェック」>>

2.主な症状


主な症状は、激しいいびき、睡眠中に目が覚める(中途覚醒)、不眠、頭痛、日中の眠気や倦怠感などです。

さらに、毎晩何度も呼吸が止まることを繰り返すうちに、血管がダメージを受け、命にかかわるような合併症が引き起こされたり、生活習慣病が悪化する可能性があります。

【参考情報】『Sleep Apnea and Hypertension: Interactions and Implications for Manegement』AHA/ASA Journals
https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/HYPERTENSIONAHA.106.076190

◆「合併症」について>>

3.なぜ寝ている時に息苦しさを感じるのか

睡眠時無呼吸症候群は、気道が狭くなったことで起こる「閉塞型」と、脳や神経、心臓の病気が原因で起こる「中枢型」、両方の原因がある「混合型」の3種類に分けられますが、ほとんどの患者さんは閉塞型です。

閉塞型の人は、肥満により気道に脂肪がついて狭くなった人と、もともと下あごの骨格が小さいため、少し体重が増えただけでも気道が狭くなってしまう人に分けられます。

睡眠中は筋肉の緊張がゆるむため、健康な人でものどの筋肉が弛緩して少し狭くなります。そのため、閉塞型の人は、脂肪でもともと狭くなっていた気道が、睡眠時にはさらに狭くなります。

気道が狭くなるにつれ、吸った空気がスムーズに通り抜けるのが難しくなります。そのため、夜中に呼吸が苦しくなって目が覚めることがたびたび起きるようになります。

◆「そのいびき、病気のせいでは?」>>

◆「肥満といびきの関係性」について詳しく>>

4.合併症について

睡眠時無呼吸症候群という病気の本当の怖さは、寝ているときの息苦しさや昼間の眠気などのわかりやすい症状ではなく、その合併症にあります。

寝ている間に呼吸が止まっても、すぐに呼吸は再開されるので、息苦しさを感じるのはほんの一瞬です。

そのため、呼吸が止まったことに気づかなかったり、息苦しさを感じて目覚めても、すぐにまた眠りについてしまう人がほとんどです。

しかし、睡眠時に呼吸が止まると、体が低酸素状態になるため、徐々に全身の血管がダメージを受け、硬くもろくなっていきます。

その結果、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる病気になったり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が悪化することがあります。

夜中に息苦しくなって目が覚めるのも不快なものですが、その裏で重い病気が進行していく恐ろしさが、この病気の本質だと知っておいてください。

◆「合併症」についてもっと詳しく>>

5.夜中に息苦しくなる別の病気


睡眠時睡眠時無呼吸症候群以外の病気でも、寝ている間に息苦しくなって目を覚ますことがあります。

5−1.呼吸器の病気

喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患があると、睡眠中に胸のあたりに圧迫感を感じ、息苦しくなって目が覚めることがあります。

◆「COPD」について詳しく>>

◆「喘息」について>>

5−2.心臓の病気

心不全など心臓の病気があると、日中に息苦しさを感じることがありますが、病気が進むと寝ている間にも息苦しさを感じることがあります。

5−3.パニック障害


パニック障害などの不安障害でも、夜中に突然息苦しくなって目が覚めることがあります。

【参考情報】『不安症 / 不安障害』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-055.html

6.おわりに

夜中に何度も目が覚めても、ストレスや加齢のせいだと考え、仕方ないとあきらめてしまう人も少なくないでしょう。

しかし、睡眠時無呼吸症候群の治療を受けると、悩みや症状が改善し、しかも恐ろしい合併症を防ぐことができる可能性があります。

「最近、睡眠時に息苦しさを感じることが多くなった」「夜中に何度も目が覚めてしまう」という方は、ぜひ検査ができる病院を受診してください。

◆「呼吸器内科で検査と治療ができます」>>

血管へのダメージが蓄積されてしまう前に治療を開始すれば、心筋梗塞や脳卒中のリスクが健康な人と変わらない程度に下がります。

また、治療を開始すると「こんなに目覚めがすっきりするなんて!」と、体調の変化に驚く方も多いです。

◆「当院の睡眠時無呼吸症候群の治療について」>>

電話番号のご案内
電話番号のご案内
横浜市南区六ツ川1-81 FHCビル2階