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睡眠時無呼吸症候群は、どの診療科を受診すればよいか?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年08月01日

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が止まっては再開することを繰り返す病気です。

この病気になると、夜間の睡眠が妨げられるため、日中の眠気や集中力の低下などの症状が現れます。

さらに、治療をせずに放っておくと、生活習慣病や血管・心臓・脳の病気のリスクが上がり、心筋梗塞や脳卒中で倒れてしまうこともあります。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群の症状について説明し、どのような病院や診療科を受診したらよいのかを解説します。病院選びに迷っている人は、ぜひ読んでください。

1.睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気か

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に無呼吸になることを繰り返す病気です。

10秒以上呼吸が停止している状態が1時間に5回以上、または一晩(7時間)に30回以上起こることが認められた場合に診断されます。

呼吸が止まるたびに、患者さんは気づかなくても一瞬起きています。重症になると、1時間に30回以上無呼吸に陥るため、夜中に何度も目が覚めて熟睡できず、睡眠不足になります。

その結果、昼間の眠気や集中力の低下、寝起きの不快感や頭痛などの症状が現れます。

◆「昼間の眠気」について>>

また、睡眠中に呼吸が妨げられると、寝ている間に全身が低酸素状態となります。

そして、毎晩のように低酸素状態を繰り返すことで、心臓や脳、血管に大きな負担がかかってしまうため、心血管疾患や生活習慣病のリスクが高くなります。

◆「酸素不足が招く症状」について>>

呼吸が妨げられることで、激しいいびきが繰り返され、寝室をともにする家族やパートナーの安眠が妨げられ、人間関係に支障をきたすこともあります。

この病気による居眠り運転で、交通事故や電車の運転事故が発生し、多数の犠牲者が出たことも、大きな社会問題となりました。

【参考情報】『睡眠時無呼吸症候群(SAS)による眠気に起因した自動車事故例の検討』馬塲美年子、一杉正仁、相磯貞和
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcts/13/2/13_18/_pdf

◆「運転業務との関係性」>>

2.なぜ治療が必要なのか

昼間の眠気や集中力の低下を感じても、「ストレス」「過労」「年のせい」だと思い、病気とは考えない人も多いでしょう。

しかし、この病気の恐ろしさは、よくある症状の裏で、命にかかわる合併症のリスクが進行しているところです。

治療の目的は、日中の眠気や激しいいびきなどの悩みを改善すると同時に、心筋梗塞や脳卒中などの重い合併症を防ぐことにあります。

治療により睡眠中の低酸素状態が改善されると、心血管疾患のリスクが健康な人と変わらないくらいまで下がります。

【参考情報】『Why Sleep Apnea Raises Your Risk of Sudden Cardiac Death』Cleveland Clinic
https://health.clevelandclinic.org/why-sleep-apnea-raises-your-risk-of-sudden-cardiac-death/

◆「治療のゴール」について>>

3.何科を受診すればいいのか

睡眠時無呼吸症候群の診断には、専用の装置を用いた検査が必要となります。病院を選ぶ際には、ホームページなどで検査ができるかどうかを確認しておきましょう。

検査や治療ができるのは、内科、耳鼻咽喉科、循環器科、睡眠外来がある病院です。

内科の中でも、肺や気管支など呼吸に関する臓器や器官を扱う呼吸器内科だと、検査や治療の実績が豊富であることが多いでしょう。

◆「呼吸器内科を受診すべき症状とは?」>>

アレルギー性鼻炎などで慢性的に鼻が詰まっている人は、耳鼻咽喉科で相談するのもいいでしょう。鼻の通りがよくなれば、睡眠中の呼吸がしやすくなる可能性があります。

まれに、心臓や神経の病気が原因で発症することがあります。心臓の慢性疾患がある人は、まずはかかりつけの循環器科で相談してください。

そこで睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると判断されれば、呼吸器内科と連携して治療を行うこともあります。

病院選びに迷って決められないときは、呼吸器内科、あるいは呼吸器専門医のいる病院を受診してください。

【参考情報】『専門医検索』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/search/specialist/index.php

4.検査と治療

睡眠時無呼吸症候群の疑いがあれば、まずは小型の装置を自宅に持ち帰り、センサーを付けて睡眠中の呼吸状態などを調べます。

◆「簡易検査」について>>

この検査で病気の可能性が高いと判断されたら、次はより精密な検査をします。

◆「精密検査」について>>

治療では、CPAP(シーパップ)をはじめとした、睡眠中の呼吸を助ける装置を用います。同時に、肥満体型の人なら減量するなど、生活習慣の改善にも取り組んでいきます。

◆「CPAP」について詳しく>>

◆「ASV」について詳しく>>

◆「マウスピース」について詳しく>>

5.おわりに

睡眠時無呼吸症候群は、心筋梗塞や脳梗塞などの恐ろしい病気を引き起こす危険がある病気です。

「たかがいびきくらいで」とか「これくらいのことで病院を受診するなんて」と思わずに、昼間の眠気や倦怠感が続いている人は、迷わず病院を受診してください。

早めに治療を開始すれば、命にかかわる病気を防ぐことができます。また、睡眠の質や量が改善されるので、「目覚めがよくなった」「以前より疲れにくくなった」と感じる人も多いです。

◆「当院の睡眠時無呼吸症候群の治療について」>>

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