呼吸器内科で睡眠時無呼吸症候群の検査と治療ができます
ぐっすり眠れると、体の疲れや脳の疲れが回復し、朝から元気に過ごすことができます。
しかし、自分ではちゃんと寝ているつもりでも、実は睡眠中に無呼吸になってしまう病気のため、疲れがとれずに溜まっている人も少なくありません。
・朝起きた時、疲れや頭痛を感じる
・いびきや寝言が多くて熟睡できない
・夜中に何度もトイレに行きたくなって目が覚める
このような症状が続いているなら、寝ている間に呼吸が止まって無呼吸になることを繰り返す「睡眠時無呼吸症候群」が原因で、眠りが妨げられているのかもしれません。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群の症状と、呼吸器内科での検査や治療について説明します。
目次
1.睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気か
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に無呼吸・低呼吸になることを繰り返す病気です。
【参考情報】『Sleep apnea』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/sleep-apnea/symptoms-causes/syc-20377631
無呼吸になっても、すぐに呼吸は再開されるので、そのまま息ができなくなって死ぬことはありません。
しかし、呼吸が止まるたびに、本人に自覚はなくても一瞬目が覚めてしまうので熟睡できません。
重症になると、1時間に30回以上無呼吸になるので、そのたびに目が覚めてしまいます。
すると、知らず知らずのうちに睡眠不足となり、その結果、昼間にウトウトしたり、仕事に集中できなくなったりします。
【参考情報】『睡眠時無呼吸症候群 / SAS』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-026.html
2.なぜ睡眠時無呼吸症候群は恐ろしいのか?
この病気が恐ろしいのは、眠気やいびきなどよくある症状が主となるためなかなか気づきにくいこと、そして、ありふれた症状の裏で命にかかわる合併症が進行していくところです。
また、睡眠不足のため居眠り運転をすることで、他人の命を奪ったり、損害を与える危険もあります。
2−1.心筋梗塞などの合併症
睡眠中に無呼吸になると、体に十分な酸素が取り入れられず、寝ている間に全身が低酸素状態となります。
体が低酸素状態になると、必要な酸素を供給しようとして心臓が過剰に働きます。このように、心臓や血管に大きな負担がかかる状態が毎晩続くと、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなります。
しかし、患者さんにはそのような恐ろしい事態が進行しているという自覚がないため、なかなか治療には結びつきません。
眠りが浅くてボーッとすることが続いても、睡眠不足で疲れが溜まっていても、「最近、仕事が忙しいから」「年をとったから」などと考えてしまい、まさか自分が深刻な病気にかかっているとは思わないのです。
この病気のサインとして「激しいいびき」があります。いびきは誰でも出ることがありますが、毎晩のように出ているなら何らかの病気の可能性があります。
2−2.居眠り運転による交通事故
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、ご自身が突然死の恐れがある病気になる可能性が高いだけではなく、交通事故や仕事のミスで、他人の命や生活を脅かす危険もあります。
鉄道やバスの運転手が、睡眠時無呼吸症候群による居眠り運転で事故を起こし、多数の犠牲者が出たことを覚えている人も多いでしょう。
このような事故の影響もあり、道路交通法が改正され、睡眠時無呼吸症候群をはじめとした重度の眠気の症状を呈する睡眠障害がある方に対しては、運転免許証の交付や更新を拒否できるようになりました。
国土交通省では、バス、トラック、タクシーなどの運輸業に携わる人に、睡眠時無呼吸症候群の検査を実施することを推奨しています。
【参考情報】『「自動車運送事業者における睡眠時無呼吸症候群対策マニュアル~SAS対策の必要性と活用~」について』国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000210.html
3.呼吸器内科での検査と治療
睡眠時無呼吸症候群と診断するには、専用の装置を用いた検査が必要となります。病院を選ぶ際には、ホームページなどで検査ができるかどうかを確認しておきましょう。
3−1.呼吸器内科とは
呼吸器内科とは、気管支・のど・肺など、呼吸に関する臓器や部位の病気を扱う診療科です。
風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症、喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がんなどの病気や禁煙治療を扱っています。
睡眠時無呼吸症候群も、呼吸に不具合が生じる病気なので、呼吸器内科で診ることができます。
3−2.検査
睡眠時無呼吸症候群の疑いがあれば、まずは問診で健康状態や悩みをお聞きします。
問診で病気の可能性があると判断したら、患者さんの自宅でできる簡易検査を行います。
簡易検査の結果、睡眠時無呼吸症候群の疑いが高いと判断したら、さらに詳しい検査を行います。
3−3.治療
検査の結果、睡眠時無呼吸症候群と診断されたら、CPAP(シーパップ)などの装置を着用して、寝ている間の呼吸がスムーズに行われるようにしていきます。
治療と同時に、肥満体型の人なら減量する、寝酒の習慣がある人はやめるなど、生活習慣の改善にも取り組んでいきます。
4.おわりに
寝ている間に無呼吸になっても、ほんの一瞬のことなので、自分ではなかなか気づくことができないかもしれません。
家族やパートナーから「いびきがうるさい」と指摘されたら、病院を受診するチャンスだと考え、ぜひ呼吸器内科で相談してください。
早くに治療を開始すれば、心筋梗塞などの合併症を予防できます。また、治療でぐっすり眠れるようになると、「疲れやすい」「やる気が出ない」などの心身の不調が改善される人も多いです。