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血痰が気になりますか?呼吸器内科で原因を調べましょう

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年01月17日

痰に血が混じっていたら、「もしかして深刻な病気では?」と心配になるかもしれません。

血痰は、「どこから出血しているのか」「なぜ出血しているのか」によって、放っておいても心配ないのか、治療が必要なのかを区別します。また、血痰のように見えるものが、実は違うものである場合もあります。

この記事では、血痰が出る理由と、血痰が続くときに疑われる病気について解説します。血痰が心配な人や喫煙の習慣がある人、風邪のような症状が良くならずに長引いている人は、ぜひ読んでください。

1.血痰とは何か

血痰とは、血液が混じった痰のことです。白や透明の痰の中に細い糸のような血が混じっていることもあれば、血の塊のようなものが出ることもあります。

血痰と似ているが違う症状として、肺や気道が出血してその血液が口から出てくる「喀血(かっけつ)」や、胃や腸などの消化器が出血してその血液が口から出てくる「吐血(とけつ)」があります。

また、鼻の中や口の中、歯ぐきが傷ついて出血したものを口から吐いた時に、血痰だと思い込んでしまうこともあります。

【参考情報】『たんに血が混じりました』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=50

◆「咳で血の味がした時に考えられる病気」について詳しく>>

2.なぜ血痰が出るのか

痰は健康な時でも出ているのですが、風邪などで気道に炎症が起きると、いつもより量が増えたり粘り気が出てくるので、不快に感じるようになります。

また、気道に炎症が起きると、表面にある細い血管が傷つきやすくなるので、咳などの刺激で出血し、痰とともに吐き出されることが多くなります。

◆「咳が止まらない時に起きている炎症とは?」>>

このように、血痰は風邪や気管支炎などの呼吸器感染症が原因で出ることが多いのですが、肺がんや肺結核などの重大な病気が原因となることもあります。

風邪や気管支炎が原因の場合は、もとの病気が良くなれば血痰は出なくなりますが、血痰が続いていたり繰り返すようなら、呼吸器内科で原因を調べましょう。

◆「痰がからみ、咳が止まらない時に考えられる呼吸器の病気」>>

3.血痰が続くときに疑われる3つの病気

血痰が続くときに疑われる病気には、以下のようなものがあります。

3−1.肺がん

肺がんは、気管や気管支、肺胞にできるがんです。初期のうちは、ほとんど症状は現れないことも多いのですが、咳や血痰が出てくることがあります。

◆「40歳以上と喫煙者は知っておきたい!肺がんの症状・検査・治療の基礎知識」>>

3−2.肺結核

肺結核は、結核菌に感染することでかかる病気です。初期は咳や痰、微熱など風邪のような症状が現れますが、病気が進行すると血痰が出ることがあります。

◆「結核を疑ったら、迷わず呼吸器内科で受診を」>>

3−3.気管支拡張症

気管支拡張症とは、気管支が広がって気管支の壁が傷つき、元の状態に戻らなくなることで起こる病気です。この病気の患者さんは、大量の痰が頻繁に出て、血痰も多くみられます。

◆「気管支拡張症について」>>

3−4.その他

その他、肺真菌症、肺梗塞、非結核性抗酸菌症などの肺の病気で血痰が出ることがあります。

◆「肺真菌症について」>>

また、抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を服用している方は、薬の作用で出血しやすいため、血痰が出ることがあります。

【参考情報】『Side effects-Anticoagulant medicines』NHS(National Health Service)
https://www.nhs.uk/conditions/anticoagulants/side-effects/

4.血痰の原因を調べる検査

風邪などの心配ない病気以外の原因で血痰が出ている可能性がある場合、必要に応じて以下のような検査をします。

4−1.喀痰細胞診検査

痰の中に異常な細胞や細菌などが混じっているのかどうかを調べる検査です。肺がんの早期発見に効果的な検査です。

【参考情報】『健康診断結果の見方:喀痰細胞診』一般財団法人 日本予防医学学会
https://www.jpm1960.org/exam/exam01/exam14.html

4−2.胸部画像検査

エックス線やCTなどで肺を撮影して状態を確認し、異常があるかどうかを調べます。

◆「レントゲン写真から、呼吸器内科でわかること」>>

4−3.その他

その他、血液検査や呼吸機能検査、気管支鏡検査などを行うこともあります。

5.おわりに

風邪をひいた時に一時的に血痰が出ても、治れば出なくなるので心配ありません。

しかし、咳や微熱など風邪のような症状が長引いていて、血痰も続いている場合は、風邪とは違う呼吸器の病気にかかっている可能性があります。

血痰の原因となる病気がわかれば、その病気に対する治療を行うことができます。「血痰が続いている」「何度も繰り返す」「大量に出る」という症状があれば、まずは呼吸器内科を受診して原因を調べましょう。

特に40歳以上の方、喫煙の習慣のある方は、肺の病気を疑って検査を受けることをおすすめします。

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