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血痰が気になりますか?呼吸器内科で原因を調べましょう

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年04月10日

痰に血が混じっていたら、「もしかして深刻な病気では?」と心配になるかもしれません。

血痰(けったん)は、「どこから出血しているのか」「なぜ出血しているのか」によって、放っておいても心配ないのか、治療が必要なのかを区別します。

また、血痰のように見えるものが、実は違うものである場合もあります。

この記事では、血痰が出る理由と、血痰が続くときに疑われる病気について解説します。

血痰が心配な人や喫煙の習慣がある人、風邪のような症状が良くならずに長引いている人は、ぜひ参考にしてください。

1.血痰とは何か


血痰について正しく理解することは、不安を和らげる第一歩です。

まずは血痰の正体と、似ている症状との違いを整理していきましょう。

1−1.血痰の正体

血痰とは、血液が混じった痰のことです。

白や透明の痰の中に細い糸のような血が混じっていることもあれば、血の塊のようなものが出ることもあります。

少量の血が混じるだけでも不安に感じるものですが、見た目だけで重症かどうかを判断することはできません。

出血が起きた原因や部位によって、必要な対応は大きく変わってきます。

◆「咳で血の味がした時に考えられる病気」について詳しく>>

1−2.出血が起こる原因の違い

血液が口から出る症状には、実際にはいくつかの異なる状態があります。

たとえば、肺や気道からの出血によって血液が口に出てくる場合は「喀血(かっけつ)」、胃や腸など消化器からの出血が口から出てくる場合は「吐血(とけつ)」と呼ばれます。

また、鼻の中や口の中、歯ぐきが傷ついて出血し、その血を吐き出したものを血痰だと思ってしまうこともあります。

このように、見た目が似ていても原因はさまざまなため、本当に血痰なのかどうかを確認することが、不安の原因をはっきりさせるうえでとても大切なポイントになります。

【参考情報】『たんに血が混じりました』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q04.html

2.なぜ血痰が出るのか


血痰が出ると、すぐに重大な病気を心配してしまいがちですが、実際には比較的よくある原因で起こることも少なくありません。

2−1.風邪や気管支炎による血痰

血痰が出ると驚いてしまう方も多いと思いますが、実は風邪や気管支炎が原因であることが少なくありません。

まず知っておいていただきたいのは、痰というのは健康な人でも毎日少しずつ作られているということです。

風邪をひいたり気管支炎になったりすると、気道に炎症が起きて痰の量が普段より明らかに増えてきます。

同時に咳も強くなり、回数も多くなっていきます。

炎症を起こしている気道の表面には細い血管がたくさん集まっているため、強い咳を何度も繰り返していると、その刺激で血管が傷ついてしまうことがあるのです。

少しずつ出血したこの血液が痰に混ざることで、血の混じった痰として目に見えるようになります。

【参考情報】『Observational, multicentre study on the epidemiology of haemoptysis』European Respiratory Society
https://publications.ersnet.org/content/erj/51/1/1701813

このような場合は、風邪そのものが良くなってくれば血痰も自然と出なくなることが多いため、過度に心配する必要はありません。

風邪の症状が落ち着いてきているときに血痰も減ってきているようであれば、心配のいらないケースがほとんどです。

◆「痰がからみ、咳が止まらない時に考えられる呼吸器の病気」>>

2−2.受診が必要な血痰

血痰は風邪や気管支炎などの呼吸器感染症が原因で出ることが多いのですが、何日も続いている場合や、一度良くなったのに何度も繰り返し出る場合には注意が必要です。

肺がんや肺結核などの重大な病気が原因となることもあります。

風邪や気管支炎が原因の場合は、もとの病気が良くなれば血痰は出なくなりますが、血痰が続いていたり繰り返すようなら、呼吸器内科で原因を調べましょう。

早めに受診することで、もし何か問題があったとしても適切な対応ができますし、心配のいらない状態であることがわかれば安心にもつながります。

【参考情報】『Coughing Up Blood』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/symptoms/17696-coughing-up-blood

3.血痰が続くときに疑われる3つの病気


血痰が続くときに疑われる病気には、以下のようなものがあります。

3−1.肺がん

肺がんは、気管や気管支、肺胞など、肺の中の組織にできるがんです。

初期の段階では自覚症状がほとんどないことも多く、気づきにくい病気とされています。

しかし、進行するにつれて、長引く咳や血痰、息切れなどの症状が現れることがあります。

こうした変化がみられる場合には、早めの確認が大切です。

◆「肺がんの症状・検査・治療の基礎知識」について>>

3−2.肺結核

肺結核は、結核菌に感染することで発症する感染症です。

現在でも世界的にみられる病気で、日本国内でも決して珍しいものではありません。

感染初期には、咳や痰、微熱、体のだるさといった症状が現れることが多く、見た目や経過が風邪とよく似ているため、「少し長引いている風邪かな」と思って様子を見てしまう方も少なくありません。

そのため、感染していてもすぐには気づかれにくいという特徴があります。

しかし、治療を受けずに病気が進行すると、咳が数週間以上続いたり、痰の量が増えたりするようになります。

さらに進行した場合には、痰に血が混じる(血痰)、息切れ、体重減少、寝汗などの症状がみられることもあります。

血痰は、結核によって肺の組織が傷つき、気道内の血管が破綻することで起こると考えられています。

【参考情報】『Clinical Symptoms of Tuberculosis』Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/tb/hcp/clinical-signs-and-symptoms/index.html

このように、咳が長引いている、血痰が出てきた、全身の調子が徐々に悪くなっているといった変化がみられる場合には、単なる風邪と自己判断せず、早めに医療機関を受診することが大切です。

早期に診断し、適切な治療を開始することで、重症化を防ぎ、周囲への感染拡大を防ぐことにもつながります。

◆「結核」についてさらに詳しく>>

3−3.気管支拡張症

気管支拡張症とは、気管支が慢性的な炎症や感染を繰り返すことで広がり、壁が傷ついて元の形に戻らなくなる病気です。

気管支の構造が壊れると、痰を外に出す働きが弱くなり、痰がたまりやすい状態になります。

その結果、粘り気の強い痰が大量に、しかも繰り返し出やすくなります。

痰が気管支に長く残ることで細菌感染を起こしやすくなり、炎症がさらに悪化するという悪循環に陥ります。

また、傷ついた気管支の壁にはもろくなった血管が多く、咳や感染をきっかけに出血しやすくなります。

このため、血痰を繰り返すことが特徴的です。

慢性的な咳や痰が続き、感染を繰り返す場合には、この病気が背景に隠れていることもあります。

◆「気管支拡張症」についてさらに詳しく>>

3−4.その他

その他、肺真菌症、肺梗塞、非結核性抗酸菌症などの肺の病気で血痰が出ることがあります。

◆「肺真菌症について」>>

また、抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を服用している方は、薬の作用で出血しやすいため、血痰が出ることがあります。

【参考情報】『Side effects-Anticoagulant medicines』NHS(National Health Service)
https://www.nhs.uk/conditions/anticoagulants/side-effects/

4.血痰の原因を調べる検査


風邪などの心配ない病気以外の原因で血痰が出ている可能性がある場合、必要に応じて以下のような検査をします。

4−1.喀痰(かくたん)細胞診検査

痰の中に異常な細胞や細菌などが混じっているのかどうかを調べる検査です。

肺がんの早期発見に効果的な検査です。

痰に混じった細胞を顕微鏡で詳しく観察し、がん細胞の有無や炎症・感染の兆候を確認します。

肺がんは、気管支や肺の内側から発生することが多く、早い段階では画像検査だけでは見つけにくい場合もあります。

そのため、痰の中に剥がれ落ちたがん細胞を調べることで、早期発見につながることがあるのがこの検査の特徴です。

検査は、数日間にわたって採取した痰を提出するだけで行えるため、体への負担が少ない点も利点です。

一方で、すべての肺がんを見つけられるわけではないため、症状や状況に応じて、胸部CTなど他の検査と組み合わせて判断されます。

【参考情報】『健康診断結果の見方:喀痰細胞診』日本予防医学学会
https://www.jpm1960.org/exam/exam01/exam14.html

4−2.胸部画像検査

エックス線やCTなどで肺を撮影して状態を確認し、異常があるかどうかを調べます。

これらの検査では、肺や気管支の形、炎症や影の有無、しこりのような異常がないかを詳しく調べます。

胸部エックス線は、肺全体の大きな変化を把握するのに役立ち、CT検査では、エックス線では分かりにくい小さな異常や、気管支の変化まで詳しく確認できます。

痰の検査と画像検査を組み合わせることで、血痰や咳の原因を多角的に評価し、より正確な判断につなげることができます。

◆「レントゲン写真から、呼吸器内科でわかること」>>

4−3.その他

そのほかにも、必要に応じて血液検査で炎症や感染の有無を確認したり、呼吸機能検査で肺や気道の働きを評価します。

さらに詳しく調べる必要がある場合には、気管支鏡を使って気管支の中を直接見ながら、検体を採取して検査を行う場合もあります。

これらの検査を組み合わせることで、症状の原因をより正確に把握し、適切な治療につなげていきます。

【参考情報】『肺がんの診断』日本肺癌学会
https://www.haigan.gr.jp/publication/guideline/examination/2025/1/1/250101030100.html#cq7

5.おわりに

風邪をひいた時に一時的に血痰が出ても、治れば出なくなるので心配ありません。

しかし、咳や微熱など風邪のような症状が長引いていて、血痰も続いている場合は、風邪とは違う呼吸器の病気にかかっている可能性があります。

血痰の原因となる病気がわかれば、その病気に対する治療を行うことができます。

「血痰が続いている」「何度も繰り返す」「大量に出る」という症状があれば、まずは呼吸器内科を受診して原因を調べましょう。

特に40歳以上の方、喫煙の習慣のある方は、肺の病気を疑って検査を受けることをおすすめします。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

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