コロナだけじゃない!ウイルス感染で咳が出る病気と感染予防法
咳が長引いていたり、夜も眠れないくらい激しい時は、風邪とは違う呼吸器の病気にかかっているかもしれません。
この記事では、咳が出る呼吸器の病気のうち、ウイルス感染、細菌感染、その他の感染、感染しない病気がわかるように区別して紹介します。感染予防の対策にも触れているので、咳が気になる人は、ぜひ読んでください。
目次
1.咳が出る呼吸器の病気
咳が出る呼吸器の病気には、ウイルス感染によるもの、細菌感染によるもの、その他の感染によるもの、そして、感染しない病気があります。
1−1.ウイルス感染
ウイルスに感染して起こる呼吸器の病気には、以下のようなものがあります。
・風邪
・気管支炎
・肺炎(インフルエンザウイルスなどに感染)
気管支炎は細菌に感染して起こることもありますが、ほとんどはウイルス感染が原因です。
1−2.細菌感染
細菌に感染して起こる呼吸器の病気は、以下のようなものがあります。
・肺炎(肺炎球菌などに感染)
・百日咳
・肺結核
細菌感染で起こる病気は、原因となる細菌がわかれば、その細菌に有効な抗菌薬を用いて治療します。抗菌薬は、ウイルスには効きません。
1−3.その他の感染
微生物やカビなど、細菌やウイルス以外のものに感染して咳が出る病気には、以下のようなものがあります。
・クラミジア肺炎
・レジオネラ肺炎
・肺真菌症
微生物により引き起こされる肺炎は、非定型肺炎と呼ばれています。
1−4.感染しない病気
感染症以外で咳が出る呼吸器の病気には、以下のようなものがあります。
・喘息
2.ウイルスはどのように人に感染するか
ウイルスは、主に「飛沫感染」と「接触感染」によって広がります。
2−1.飛沫感染
ウイルスに感染している人が咳やくしゃみをすると、ウイルスが飛び出して広がります。感染者の近くにいる人がこれを吸い込むと、ウイルスに感染する危険があります。
飛沫は最大で2メートルほどの距離まで飛ぶといわれています。咳やくしゃみ以外でも、会話や歌、スポーツの応援などで大声を出すことで飛沫は広がります。
2−2.接触感染
ウイルスに感染している人が、ウイルスのついた手で物に触れると、その物に触れた別の人の手にウイルスがついて広がっていきます。
特に、ドアノブや手すり、電車のつり革、エレベーターのボタンなど不特定多数の人が触れるものに触れた後、その手で目や口、鼻に触れると、ウイルスに感染しやすくなります。
2−3.空気感染
その他、ウイルスを含んだ微粒子(エアロゾル)が空気中を漂って運ばれ、その微粒子を人が吸い込むことで起こる空気感染があります。
新型コロナウイルス感染症は、飛沫感染、接触感染のほか、空気感染もする可能性が指摘されています。
【参考情報】
・『新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染経路について』国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2484-idsc/11053-covid19-78.html
・『Transmission of COVID-19 virus by droplets and aerosols: A critical review on the unresolved dichotomy』National Library of Medicine
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7293495/
3.ウイルス感染を予防する方法
ウイルス感染を予防するには、以下のような方法があります。基本的な方法を正しく実行し、習慣化することが大事です。
3−1.手洗い
帰宅後、トイレの後、鼻をかんだ後、食事前には、正しい方法で手を洗い、手に付着したウイルスを洗い流しましょう。手洗い後は、清潔なタオルやペーパータオルで手を拭いて水気が残らないようにします。
【参考情報】『手洗いマニュアル』日本食品衛生協会
http://www.n-shokuei.jp/eisei/sfs_tearai.html
3−2.マスクの着用
会話や飲食の際に、飛沫が飛び散ることを防ぐため、かつ、他人の飛沫を吸い込むことを防ぐため、マスクを着用しましょう。
マスクは、フィルター機能の高い不織布マスクかサージカルマスクの中から、自分に合ったサイズのものを選び、鼻や口にフィットするように付けましょう。
3−3.外出を控える
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症が流行している時期は、なるべく外出をせず、人との接触を避けることで、感染のリスクを減らすことができます。
3−4.室内の環境を整える
ウイルスを含んだ微粒子は、換気が悪い空間では漂う時間が長くなり遠くまで広がるので、窓やドアを開け、外の空気を取り入れましょう。
【参考資料】『効果的な換気方法』 東京都大田区
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/hoken/eisei/sumai_soudan/kanki.html
ウイルスの多くは、低温・乾燥した環境で活発になります。部屋の温度は20~25℃、湿度は40~60%程度に保ちましょう。
3−5.毎日の健康管理
感染症に限らず、すべての病気の予防に大切なのは、普段からの健康管理です。食事・睡眠・運動が十分で健康が保たれていれば、もし体内にウイルスが侵入しても、体の免疫システムが働いて、ウイルスを排除する力が発揮できます。
手洗いなどの基本的な対策に加えて、毎日の生活も見直して、感染症のリスクを減らしていきましょう。
◆「ワクチンも大切ですが、感染予防には「腸内環境」が大事!」>>
4.おわりに
咳が続くと、「コロナかもしれない」と思うかもしれませんが、咳が出る呼吸器の病気は多岐にわたるので、呼吸器内科ではコロナ以外の検査を実施することもあります。
咳が続いている人は、感染症である可能性を考え、ウイルスを広げないよう対策を講じるとともに、喘息など人にはうつらない病気にかかっている可能性も念頭に入れておいてください。