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喘息の方が積極的に摂りたい「オメガ3」を多く含む油とは?

執筆者: わたなべゆうか(管理栄養士)
最終更新日 2024年09月24日

喘息治療の目的は、吸入薬を使用して症状が出ないようにコントロールしていくことです。しかし、中には薬を使ってもなかなか効果が出にくい患者さんもいます。

そのような方は、食事による体質改善を薬の治療と合わせて行うことで、症状をコントロールしやすくなります。 

この記事では、炎症を起こしにくい身体づくりに必要不可欠な“オメガ3脂肪酸“についてお伝えします。

1.喘息と食事の関係

喘息は、気道が慢性的に炎症を起こすことにより狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。

したがって、炎症の原因となる食事のしかたを見直し、炎症を抑えるような食事にすることが大切です。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

炎症の原因のひとつは、“質の悪い油”です。精製されたサラダ油やマーガリンなどは体の炎症の原因となり、日常的に摂っていると喘息などのアレルギー症状が悪化しやすくなります。

また、糖質の摂りすぎも炎症の原因となります。身体のエネルギー源は糖質だけではなく、脂質も利用することが大切です。そして、脂質の中でも炎症を抑えるはたらきがある “良質な油”を選ぶことがポイントです。

◆「喘息治療のカギとなる「気道の炎症」を抑えるには?」>>

◆「喘息と食事の関係とは?」>>

2.脂質の種類について

では、“良質な油”とは、具体的にどのような油のことを示すのでしょうか。油と一口に言っても、さまざまな種類がありますので、解説していきます。

油は、常温で固形の“飽和脂肪酸“と、常温で液体の”不飽和脂肪酸“に分けられます。さらに、不飽和脂肪酸は化学構造の違いにより“オメガ9脂肪酸“、“オメガ6脂肪酸“、“オメガ3脂肪酸“に分けられます。

【参考資料】『超一流の食事術』(アイザック・H・ジョーンズ/サンマーク出版)
https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=3519-3

これらの中で、オメガ6とオメガ3は体の中でつくることができませんが、とても重要な役割を持っているため、“必須脂肪酸”と呼ばれています。

脂質は人間の細胞をつくる材料のひとつなので、適切な量を摂る必要があります。その中でも、オメガ6:オメガ3=4:1の割合で摂るのが理想と言われています。

この割合が崩れてオメガ6に偏って摂取していると、アレルギー症状を悪化させたり、炎症が起きやすくなってしまいます。オメガ6は炒め物や揚げ物、お菓子などに多く含まれているので、過剰に摂っている場合が多いです。
 
反対に、オメガ3は意識して摂らないと不足しがちな油です。普段の食生活で、不足しがちなオメガ3を積極的に摂り、摂りやすいオメガ6は控えることが大切です。

2−1.オメガ9脂肪酸


オメガ9脂肪酸は、サラダ油やキャノーラ油、パーム油は加工された油で、炎症を引き起こしやすい油です。喘息などアレルギー疾患をお持ちの方は、特に控えていただきたい油です。

スーパーのお惣菜やお弁当などにも多く入っているので、可能な限り摂る頻度を減らすといいでしょう。

家で炒め物や揚げ物をするときには、加熱しても酸化しにくく、炎症の原因になりにくいオリーブオイルを使うのがおすすめです。

2−2.オメガ6脂肪酸


オメガ6脂肪酸は必須脂肪酸ですが、お惣菜やパンなどに多く含まれているので、一般的な食生活で十分に摂れていると考えられます。

オメガ6脂肪酸に偏った油の摂り方をしていると、炎症を引き起こしやすくなります。過剰摂取になりやすいため、揚げ物や脂っこい料理の頻度が多い方は控えましょう。

2−3.オメガ3脂肪酸


オメガ3脂肪酸は、青魚やアマニ油、えごま油に多く含まれていて、炎症を抑えるはたらきがあります。

一般的な食生活で不足しがちなので、アマニ油やえごま油を活用したり、青魚を積極的に摂りましょう。

◆「オメガ3系の油でアレルギーを改善」>>

3.オメガ3脂肪酸を多く含む食品

3−1.積極的に摂りたい油

オメガ3脂肪酸を多く含む油として代表的なものは、アマニ油、えごま油です。ただ、アマニ油やえごま油は酸化しやすく、熱に弱い特徴があります。

加熱する料理に使うのではなく、サラダのドレッシングにしたり、できあがった料理に上からかけて食べましょう。

3−2.不足しがちな青魚

サバやイワシ、サンマなどの青魚には、オメガ3脂肪酸が多く含まれています。

調理方法によっては、青魚に含まれるオメガ3脂肪酸が溶け出して減ってしまいますが、スープや鍋料理など汁ごと食べる料理だと、溶け出した脂質ごと摂ることができるのでおすすめです。お刺身など生で食べるのもいいでしょう。

魚を料理するのが手間な場合は、缶詰を利用するのも一つの手です。サバ缶やイワシ缶では、汁にオメガ3脂肪酸が溶け出しているので、汁ごと食べるのがおすすめです。

4.おわりに

喘息の症状を抑えるためには、いかに気道の炎症をコントロールできるかが重要になります。吸入薬で気道の炎症を抑えると同時に、炎症を抑える食生活をすることで、最低限の薬で喘息をコントロールすることにつながります。

当院では、管理栄養士による栄養カウンセリングを行っています。「喘息に良い食事を知りたい」という方は、お気軽にお申し出ください。

◆当院の栄養カウンセリングについて>>

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