呼吸器内科とはどんなところ?何をするのかを解説します
「呼吸器内科」と聞いても、何をするところなのか、どんな時に受診すればいいのか、ピンとこない人もいるかもしれません
この記事では、呼吸器内科という診療科が扱う病気や症状について詳しく説明します。一般的な内科との違いや、専門的な検査についても紹介するので、受診を考えている人は目を通してください。
目次
1.呼吸器内科とはどんな診療科なのか
呼吸器内科とは、のど・気管・気管支・肺など、呼吸に関する臓器の病気を専門的に扱う内科です。
【参考情報】『Pulmonologist』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/articles/22210-pulmonologist
一般的な内科では、呼吸器以外の病気も総合的に診療しています。「熱が出た」「おなかの調子が悪い」など、よくある不調を感じたときは、まずは内科を受診するのがいいでしょう。
「風邪だと思っていたが、咳が長引いている」など、咳や痰、息切れ、息苦しさなど呼吸器の症状が目立つ場合は、呼吸器内科を受診してみましょう。
2.呼吸器内科で扱う病気
呼吸器内科では、以下のような病気を扱います。
・喘息
・COPD (慢性閉塞性肺疾患)
・肺炎
・肺結核
・肺がん
喘息とは、空気の通り道である気道が敏感になり、呼吸が苦しくなり激しい咳が出る病気です。
「ゼーゼー、ヒューヒュー」といった呼吸音があることが特徴的です。気管や気管支が何らかの原因で狭くなり、空気の通りが悪くなってしまうと出る音です。
COPD (慢性閉塞性肺疾患)とは、タバコの煙などの有害物質を長年吸い続けることで肺が炎症を起こし、呼吸がしにくくなる病気です。
◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>
風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症や、子どもに多いRSウイルス感染症やマイコプラズマ肺炎、クループ症候群などの呼吸器感染症も専門分野です。
◆「子どもに多い「RSウイルス感染症」とは?」>>
◆「マイコプラズマ肺炎」とは?>>
◆「クループ症候群」咳の特徴と対処法>>
その他、睡眠時無呼吸症候群や禁煙治療も扱っています。また、インフルエンザや肺炎球菌、新型コロナウイルス感染症などのワクチン接種も実施しています。
◆「睡眠時無呼吸症候群の重症度がわかる指標「AHI」について」>>
3.どんな症状で受診したらいいのか
呼吸器内科は、「咳」「痰」「息切れ・息苦しさ」が気になる時に受診しましょう。
3−1.咳
このような咳がある場合は、呼吸器内科を受診しましょう
・咳が2週間以上続いている
・夜も眠れないほど激しい咳が出る
・特定の時間や季節になると咳が出る
・ホコリや煙を吸うと激しく咳き込む
・ペットがそばにいると激しく咳き込む
・食事中に咳き込む
健康な人でも、ホコリや煙を吸ったときに咳き込むことはありますが、その場合は軽く咳き込むだけですぐに治まります。しかし、息も吸えないほど激しく咳き込むならば、アレルギーが原因の可能性があります。
食事中にむせやすいことや、咳き込むことも呼吸器内科で診てもらうと良いです。食べ物や飲み物が気管に入ってしまう「誤嚥」の可能性があります。特に高齢者は、加齢に伴う飲み込む機能の低下によって、誤嚥に繋がり、そこから肺炎を起こしてしまう恐れがあります。
3−2.痰
しつこい痰、色のついた痰が気になる場合も、呼吸器内科を受診しましょう。痰の出る回数や量が増えた場合も、呼吸器疾患の疑いがあります。
・2週間以上痰が続いている
・緑、赤、茶、黒の痰が出る
・「ゴホゴホ」「ゲホゲホ」という痰の絡んだ咳が続いている
・粘り気のある痰がのどに絡み、慢性的に呼吸がしにくい
特に、喫煙の習慣がある人は、肺がんやCOPDの症状として痰がしつこく出ることがあるので、なるべく早めに呼吸器内科を受診してください。
◆「血痰が気になりますか?呼吸器内科で原因を調べましょう」>>
3−3.息切れ・息苦しさ
以下のような症状がある場合は、呼吸器内科を受診しましょう。
・階段や坂道の上り下りが苦しくて息が切れる
・重い荷物の持ち運びが苦しくて息が切れる
・動くとすぐにゼイゼイ、ハーハーしてしまう
・睡眠中に、息苦しくて目が覚めることがある
年をとると体力が落ちるので、若い頃に比べると息切れしやすくなっても普通だと思うかもしれません。しかし、同年代の人と一緒に歩いているときに、自分だけ息切れして遅れてしまうようなら、年のせいではなく呼吸器の病気の可能性があります。
その他「のどがイガイガ・ムズムズする」「胸のあたりが痛い」「いびきが激しい」「禁煙したい」という人も、呼吸器内科で相談してみましょう。
◆「喉がムズムズ・イガイガしたり咳が止まらないのはなぜ?」>>
4.どんな検査をするのか
呼吸器内科では、必要に応じて以下のような検査を行います。
4−1.画像検査
画像検査では、主に胸部レントゲン検査を行い、肺に異変がないかどうかを確認します。
4−2.血液検査
血液検査では、アレルギーの有無や種類を調べ、アレルギーが原因で咳が出ているかどうかを判断します。また、肺炎の診断のために行ったり、糖尿病などの生活習慣病を合併していないかどうかを調べるために行うこともあります。
4−3.呼吸機能検査
呼吸機能検査には、吐いた息に含まれる一酸化窒素の濃度を測定する呼気NO検査、呼吸の機能を調べるスパイロメトリー、気道の状態を調べるモストグラフ、血液中の酸素や二酸化炭素の濃度を測定する検査などがあります。
その他、インフルエンザなどの呼吸器感染症の検査や、睡眠時無呼吸症候群の検査も行っています。
5.おわりに
呼吸器の病気には、風邪のようなよくある病気もあれば、命にかかわる病気や生涯にわたって治療が必要な病気もあります。
多くの病気では、初期のうちは咳や微熱など風邪のような症状が現れます。「風邪がなかなか治らない」「咳や痰が長引いている」というときは、ぜひ呼吸器内科を受診して原因を調べ、専門的な治療を受けましょう。