「息苦しい」「呼吸がしにくい」と感じたら、呼吸器内科を受診しましょう
「呼吸がしづらい」「息が詰まる」という症状は、どんな原因で起こるのでしょうか。
この記事では、息苦しさの原因と呼吸器内科で診療できる病気について解説します。「なんとなく息苦しい」「咳が出て呼吸がしにくい」「少し動いただけでも息切れする」などの症状で悩んでいる人は、ぜひ読んでください。
目次
1.息苦しさを感じる原因
息苦しさの原因は、呼吸器疾患のほか、心臓の病気やストレスなど多岐にわたります。
1−1.呼吸器の病気
喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器の病気にかかると、息苦しさを覚えることがあります。
息苦しさのほか、しつこい咳や痰に悩まされることが多いです。
1−2.心臓の病気
心臓の病気や高血圧でも、息苦しさを感じることがあります。
息苦しさのほか、「胸が痛い」「胸が苦しい」という症状があり、むくみが出ることもあります。
【参考情報】『About Heart Attack Symptoms, Risk, and Recovery』CDC(Centers for Disease Control and Prevention)
https://www.cdc.gov/heart-disease/about/heart-attack.html
1−3.鉄欠乏性貧血
貧血になると、体内に十分な酸素が運ばれず息苦しくなります。
その他、めまいや頭痛が起きたり、「疲れやすい」「体が冷える」などの症状が現れることがあります。
1−4.精神的な原因
不安や緊張を感じた時に起こりやすい過換気症候群や、突然強い動悸やめまいに襲われるパニック障害でも、息苦しさや呼吸困難が現れます。
【参考情報】『パニック障害・不安障害』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_panic.html
2.呼吸器内科で扱う「息苦しさ」を感じる病気と症状
以下のような人は、呼吸器の病気が原因で息苦しさを感じている可能性があります。
2−1.咳や痰が続いて息苦しい
喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の疑いがあります。
喘息になると、冷たい空気やホコリ、煙などを吸い込むと激しい咳が出て、呼吸が苦しくなることがあります。
健康な人でも、これらの刺激で咳が出ることはありますが、すぐに治まります。しかし、喘息の人は咳が止まらなくなったり、呼吸困難を起こすことがあります。
COPDになると、しつこい咳や痰、息切れが現れます。この病気の原因はほぼタバコなので、長年タバコを吸ってきた人で症状があるなら、ぜひ呼吸器内科で相談してください。
◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>
2−2.息苦しく、微熱が続いている
肺結核や肺炎の疑いがあります。
肺結核になると、咳や痰、微熱など風邪のような症状が現れ、肺炎になると、咳や痰、発熱、呼吸困難、胸痛などの症状が現れます。このような症状が2週間以上続いていて良くならないときは、念のため呼吸器内科で検査を受けてください。
高齢者の場合、肺炎になっても高熱が出ないことがあります。軽い風邪だと思っても、「いつもより元気がない」「食欲がない」「息が苦しそう」と感じたら、呼吸器内科を受診してください。
2−3.息苦しく、血が混じった痰が出る
肺結核や肺がんの疑いがあります。
肺結核の症状は咳、痰、血痰、発熱、呼吸困難、全身の倦怠感などです。風邪の症状に似ているので自覚症状だけでは区別することが難しいです。
肺がんが進行すると、息苦しさを感じるようになります。咳や息苦しさが2週間以上続き、血痰も出るなら、迷わず呼吸器内科を受診して検査を受けてください。
肺がんは喫煙との関係が深いがんと言われています。しかし、流れてくるたばこの煙を吸ってしまう受動喫煙など、たばこを吸わない人でも発症することがあります。
◆「40歳以上と喫煙者は知っておきたい!肺がんの症状・検査・治療の基礎知識」>>
2−4.夜中に息苦しくなって目が覚める
喘息、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
喘息の発作は夜間から早朝にかけて起こりやすいので、昼間は症状がなくても、寝ている間に息苦しくなることは多いです。
睡眠時無呼吸症候群の人は、自分では気づかず、寝ている間に一瞬呼吸が止まり、その瞬間息が苦しくなって目が覚めることがあります。睡眠の障害により、眠気、疲労感、注意力の低下の症状も現れます。このことが原因となり交通事故のリスクも増加されます。
夜中の息苦しさのほか、「いびき」「昼間の眠気」などがある人は、早めに呼吸器内科を受診して相談してください。
◆「呼吸器内科で睡眠時無呼吸症候群の検査と治療ができます」>>
3.どんな検査をするのか
呼吸器内科では、専門医の判断によって以下の検査を行います。
3−1.画像検査
胸部レントゲン検査で肺の状態を確認します。心臓の状態も併せて確認することがあります。胸部CT検査で、さらに詳しく調べる場合もあります。
3−2.血液検査
喘息の疑いがあるとき、アレルギーの有無や原因物質を調べるために行います。肺炎や貧血、生活習慣病の診断のため行うこともあります。
3−3.呼吸機能検査
喘息やCOPDの疑いがあれば、呼吸機能や肺の状態、気道の状態を確認するため、呼気一酸化窒素濃度測定(FeNO)、スパイロメトリーなどの検査を行います。
その他必要に応じて、痰を採取して調べる検査や心電図検査、尿検査などを行います。
4.おわりに
「息苦しい」「呼吸がしにくい」「息が切れる」という症状が続いているなら、まずは呼吸器の病気を疑います。
心臓の病気や精神的な原因でも息苦しさを感じることがありますが、その場合は適した診療科を紹介するので、何科を受診すればいいのかわからない時は、呼吸器内科で相談してください。