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外来

その症状、本当にただの風邪? 「風邪が治らない」と思ったときに疑われる別の病気

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年10月15日

風邪のような症状がなかなか治まらないと、「もしかして別の病気では?」と不安になるかもしれません。

この記事では、風邪という病気の基本的な知識と、よく似た症状が出る別の病気について解説します。

1.風邪とはどのような病気か

風邪は、鼻やのどなど上気道の粘膜にウイルスが感染して起こる急性の炎症です。正式名称は「風邪症候群」と言います。

鼻に炎症が起きれば、鼻水・鼻づまりなどの症状が現れ、のどに炎症が起きれば、咳や痰、のどの痛みなどの症状が現れます。さらに、発熱や頭痛などが現れることもあります。

【参考情報】『Common Cold』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/12342-common-cold

風邪を根本的に治す薬はありませんが、栄養をとって安静にしていれば10日前後で治ります。咳やのどの痛みなどがつらい時は、症状を和らげる薬を使って対処してもいいでしょう。

◆「風邪をひいた時の基礎知識・対処法・病院受診の目安」>>

2.風邪をこじらせたらどうなるか


風邪の症状が長引いて悪化していくときに「風邪をこじらせた」と言います。このような場合、炎症が肺や耳などに達したり、風邪をきっかけに別の病気が引き起こされた可能性があります。

鼻やのど以外に炎症が起きれば、気管支炎や肺炎、中耳炎などになることがあります。

◆「「風邪をこじらせた」と思う時に疑われる5つの病気」>>

鼻水や発熱は治まったのに、咳だけが2週間以上続いている場合は、アレルギーや喘息を疑います。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

3.風邪とよく似た症状が出る感染症


風邪と同じように、呼吸器に症状が出る感染症は数多くあります。その中でも、よくある病気を紹介します。

3−1.インフルエンザ


インフルエンザウイルスが原因で起こる呼吸器の感染症です。高熱や体の痛みなど強い全身症状が急激に現れ、その後、のどの痛みや鼻汁、咳といった風邪のような症状が現れます。

インフルエンザウィルスにはいくつか種類がありますが、現在日本で流行している主なものはA型、B型の2種類です。

◆「インフルエンザ」について詳しく>>

3−2.マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ・ニューモニエという病原体によって引き起こされる感染症です。

乾いた咳が出るほか、発熱やのどの痛みなどの症状があります。解熱後も咳が3〜4週間ほど続くことが多いです。

◆「風邪と間違いやすい「マイコプラズマ肺炎」とは?」>>

3−3.RSウイルス感染症


乳幼児に多い感染症で、風邪のウイルスの一種であるRSウイルスが原因です。鼻水や38〜39℃の発熱があり、続いて咳が出ます。

通常は1〜2週間ほどで治りますが、6ヶ月未満の乳児などでは重症化しやすく肺炎などを引き起こす可能性があります。

◆子どもに多い「RSウイルス感染症」とは?>>

3−4.クループ症候群

主にウィルス感染による症状です。発熱やのどの痛みから始まり、次第に声がかすれ、犬が吠えるような「ケンケン」という咳や、オットセイの鳴き声のような特徴ある咳が出るようになります。

3歳くらいまでの子どもに多く、症状は夜になると悪化する傾向にあります。

◆「クループ症候群」について詳しく>>

3−5.百日咳


百日咳菌に感染することで起こる病気です。

その名の通り、激しい咳が長期間続きます。「コンコン」「ヒュー」という乾いた音のする空咳に加え、頭痛や筋肉痛など風邪に似た症状があります。

大人になると特徴的な咳が出ないこともあり、感染を広げてしまうことも少なくありません。

◆「百日咳」について詳しく>>

3−6.新型コロナウイルス感染症


新型コロナウイルスに感染して起こる病気です。

軽症だと風邪と見分けることは難しく、ほとんどの人は1週間くらいで自然に治ってしまいます。しかし、重症だと高熱や肺炎、呼吸困難などの症状が現れ、命にかかわることがあります。

新型コロナウイルス感染症が疑われる場合は、まずはお近くの病院に電話で相談するか、お住まいの市区町村のホームページから相談窓口を探してください。

◆「新型コロナウイルス感染症の咳の特徴」>>

3-7.その他


その他、肺結核の初期や溶連菌感染症、アデノウイルス感染症でも、風邪のような症状が現れます。

◆「アデノウイルス感染症とはどんな病気か?」>>

また、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎のような鼻の病気でも、鼻水や咳など風邪のような症状が出ることがあります。しかし、これらの病気の場合、微熱はあっても高熱になることは少ないです。

【参考情報】『Allergic Rhinitis (Hay Fever)』Clevelanc Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/8622-allergic-rhinitis-hay-fever

4.病院を受診する目安


「ただの風邪ではないかもしれない」と思ったときは、念のため医師に診てもらうと安心です。

特に、以下のような方は病院で処方する薬が必要な可能性があります。

 ・咳がひどくて眠れない

 ・咳がひどくて呼吸が苦しい

 ・嘔吐が続いている

 ・咳が2週間以上続いている

 ・微熱が2週間以上続いている

何科を受診すればいいのか迷った時は、お子さんは小児科、15歳以上の方は内科か呼吸器内科を受診してください。

◆「呼吸器内科を受診すべき症状」とは?>>

5.おわりに

風邪のような症状が続いていて不安な方で、特に「咳」が激しかったり、長引いているときは、咳の専門家である呼吸器内科医に一度ご相談ください。

当院では0歳から高齢者まで、幅広い年代の患者さんを診ています。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

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