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いびきは病気のサイン?原因と対処法、治療について解説

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年09月13日

いびきは誰にでもあることですが、原因によっては、治療が必要になることがあります。

特に、「毎晩のようにいびきをかく」「いびきがうるさいと指摘されている」人は、病気が原因でいびきが出ている可能性があります。

この記事では、いびきの原因と対処法を解説し、心配のないいびきと、治療が必要ないびきの違いについても説明します。

ご自身や家族のいびきが気になっている人は、ぜひ参考にしてください。

1.いびきをかく原因と対処法

いびきは、空気の通り道である気道が、何らかの原因で狭くなった時に発生します。

通常より狭くなった気道を空気が通過するときに、のどや鼻が振動することによって音が出るのです。

睡眠中は、のど周囲の筋肉が緩むため、起きているときよりも気道が狭くなります。

そこに、下記のような要因が加わると、さらに気道が狭くなり、いびきをかきやすくなったり、いびきがひどくなることがあります。

 ・疲労やストレス
 ・飲酒
 ・喫煙
 ・睡眠薬の服用
 ・肥満
 ・鼻の病気

1-1.疲労やストレス

疲労やストレスがあると、体は筋肉を緩ませて回復を促します。その際、のど周辺の筋肉も緩むため気道が狭くなり、いびきが出やすくなります。

このようないびきは一時的なものであり、原因が解消されればいびきも改善するでしょう。

疲れやストレスが溜まっている人は、できるだけ解消に努めてください。

◆「ストレスと睡眠」の関係>>

1-2.飲酒


アルコールには筋肉を緩める作用があるため、飲酒後はいびきをかきやすくなります。水分で舌も大きくなり、鼻づまりも起こりやすくなります。

お酒を飲んだ時にだけいびきをかく場合は、そこまで心配しなくても大丈夫です。

お酒を飲む習慣のある人は、寝酒を控えたり、飲み過ぎないようにすれば、いびきが軽減する可能性があります。

しかし、下記に紹介する睡眠時無呼吸症候群を発症している場合は、日中に過度の眠気が生じることもあり注意が必要です。

◆「飲酒と睡眠」の関係>>

1-3.喫煙

喫煙の習慣がある人は、タバコに含まれる化学物質による炎症で気道が狭くなっているため、いびきをかきやすくなっています。

気道の炎症をいびきを改善するには、禁煙が有効です。

◆「喫煙と睡眠」の関係>>

1-4.睡眠薬

睡眠薬の中には、筋弛緩作用を持つものがあり、服用するといびきが出やすくなります。

必要な方は、筋弛緩作用のない睡眠薬を医師に処方してもらいましょう。

◆「筋弛緩作用のある睡眠薬・ない睡眠薬」>>

1-5.肥満


肥満体型の人は、気道にも脂肪がついて狭くなっているので、いびきが出やすくなります。

正しい方法で適切な体重に落とせば、いびきも改善されるでしょう。

◆「いびきの原因は肥満?」>>

◆「減量」について>>

1-6.鼻づまり


副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などが原因で、慢性的に鼻が詰まっていると、無意識のうちに口を開けて寝てしまうため、いびきの原因となります。

改善するには、原因となる病気そのものを治療する必要があります。

【参考情報】『夜、いびきをかく、と言われました』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q15.html#:~:text=%E3%81%84%E3%81%B3%E3%81%8D%E3%82%92%E5%BC%95%E3%81%8D%E8%B5%B7%E3%81%93%E3%81%99%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6,%E5%91%BC%E5%90%B8%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

口呼吸の場合、室内が乾燥していると、のどの乾燥やほこりの吸い込みが炎症の原因にもなります。炎症により気道が狭くなり、いびきをかきやすい状態となります。乾燥する季節は、寝室に加湿器をつけるとよいでしょう。

2.睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気か

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりすることを繰り返す病気です。呼吸が止まるたびに、脳が短時間覚醒するので、眠りが浅くなってしまいます。

この病気になると、激しいいびきが毎晩のように続きます。また、寝汗、夜間の頻尿、起床時の頭痛、昼間の眠気などの症状も現れます。昼間の眠気で、集中力が欠けてしまい交通事故を起こしてしまう危険性もあります。

◆「昼間の眠気」について>>

◆「睡眠時無呼吸症候群と運転業務」の関係>>

この病気は、肥満の人、扁桃腺やアデノイドが大きい人、下顎の小さい人に多い傾向があります。日本人は顎が小さい人が多いと言われています。

睡眠時無呼吸症候群が進行すると、高血圧や脳卒中、心筋梗塞といった合併症を引き起こす恐れがあります。

しかし、早期に適切な治療を受ければ、合併症を予防したり改善することができます。

◆「実は怖い!睡眠時無呼吸症候群の合併症とは?

【参考情報】『Sleep apnea』Mayo Clinic 
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/sleep-apnea/symptoms-causes/syc-20377631

病院では、医師が問診を行い、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると判断した場合、簡易検査を行います。

簡易検査は、自宅に小型の検査機器を持ち帰り、睡眠中の呼吸状態などを計測します。

簡易検査の結果、さらに詳しい検査が必要だと判断されたら精密検査を行います。

治療が必要となった場合は、CPAP(シーパップ)と呼ばれる医療機器を使用し、就寝時に専用マスクをつけ、空気を鼻から送り込むといった治療を開始します。

◆「CPAPとは?」について>>

3.睡眠時無呼吸症候群のいびきの特徴

睡眠時無呼吸症候群のいびきには、下記のような特徴があります。自分や家族に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

 ・毎日のように大きないびきをかいている
 ・一晩中いびきをかいている
 ・いびきの音が大きくなったり小さくなったりする
 ・いびきや呼吸が一瞬止まることがある
 ・横向きやうつ伏せで寝るといびきが小さくなる

このような特徴に加えて、「夜中に息苦しくて目が覚めてしまう」「日中の眠気が強く、仕事や勉強に集中できない」人も、睡眠時無呼吸症候群の検査ができる病院を受診することをおすすめします。

◆「そのいびき、睡眠時無呼吸症候群のせいかもしれません」>> 

【参考情報】「こんないびきは要注意」一般社団法人運輸・交通SAS対策支援センター
https://www.sas-support.or.jp/column/maybe_sas/

4.おわりに

いびきは健康な人でもかくことがありますが、毎晩のように大きないびきをかいているなら、鼻の病気か睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。

鼻の病気であれば、日中も鼻水や鼻づまりなどの症状があるので、思い当たる方は耳鼻咽喉科を受診してください。いびきが軽い場合は、横向きで寝たり、いびき防止用のマウスピースを使用することで軽減されることもあります。

鼻の症状がないのに、いびきがひどかったり、夜中に息苦しくて目が覚めることが多い人は、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。

そのような方は、呼吸器内科や呼吸器専門医がいる病院を受診して、いびきの原因を調べてみましょう。

◆当院の睡眠時無呼吸症候群治療について>>

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