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いびきの治し方は?原因を知って対処しよう!

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年07月05日

いびきを治したいと思っても、「病院に行くのは恥ずかしい」という人も多いのではないでしょうか。

一方、家族やパートナーに「いびきがうるさい」と指摘されたり、旅行や出張のときに、同じ部屋の人の安眠を妨げてしまうのも、気まずい感じがするものです。

この記事では、いびきをかく原因と自分でできる対策を紹介します。自分や家族のいびきが気になる人は、ぜひ参考にしてください。

1.いびきの原因

いびきは、空気の通り道である気道が何らかの原因で狭くなったときに発生します。狭くなった気道を空気が通過するときに、のどや鼻が振動して音が出るのです。

気道が狭くなると体内に取り込める酸素が不足するので、もっと酸素を取り込もうとして、無意識のうちに口を開けてしまうことがあります。

すると、いびきの音がますます大きくなりますし、口で呼吸をすることで、口の中や喉が渇いて、さらに睡眠の質が下がってしまいます。

以下、いびきが出る主な理由を紹介しますので、参考にしてください。

1−1.疲労やストレス

心身が疲れた状態で眠ると、筋肉が緩んで舌が気道に落ち込みやすくなります。すると、舌で気道が塞がれて、いびきの原因になります。

1−2.飲酒

アルコールには筋肉を緩める作用があります。そのため、寝る前に飲酒すると、のどの筋肉が弛緩して気道が狭くなり、いびきが出やすくなります。

◆「いびきと睡眠、飲酒について」>>

1−3.喫煙

タバコの煙に含まれる有害物質は、気道に慢性的な炎症やむくみを起こします。喫煙習慣のある人は、知らないうちに気道が狭くなっているので、いびきをよくかきます。

◆「喫煙が呼吸器や睡眠に与える影響」>>

1−4.睡眠薬

睡眠薬の中には、筋弛緩作用を持つものがあります。このような薬を服用すると、のどの周囲の筋肉が緩んで、いびきをかきやすくなります。

睡眠薬が必要な人は医師に相談して、筋弛緩作用のない薬を処方してもらいましょう。

◆「筋弛緩作用のある睡眠薬・ない睡眠薬」>>

1−5.鼻づまり

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの病気が原因で、鼻が詰まっていたり、のどが腫れていると、いびきをかきやすくなります。

◆「いびきとアレルギーの関係とは?」>>

【参考情報】『アレルギー性鼻炎』日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=21#arerugi

1−6.女性ホルモンの減少

女性ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモン)には、呼吸中枢を刺激したり、上気道の筋肉を広げる作用があります。

そのため、閉経によりプロゲステロンが減少すると気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。

◆「更年期以降のいびき」について」>>

【参考情報】『女性の睡眠とホルモン』渋井佳代|バイオメカニズム学会誌 Vol29 No.4
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/29/4/29_4_205/_pdf

1−7.顔の骨格

肥満の人がいびきをかくというイメージがあるかもしれませんが、歯の嚙み合わせや顎が小さいといった顔の骨格の状態によっては、痩せている人でもいびきをかく場合があります。

2.自分でできるいびき対策

普段の生活の中でできるいびき対策には、以下のようなものがあります。

2−1.生活習慣の見直し

・肥満:食事や運動を見直して適正な体重にしていきましょう
・飲酒:就寝の4時間前までには飲み終え、寝酒は控えましょう
・喫煙:禁煙が必要です。自力では難しいなら、禁煙外来を利用しましょう

◆当院の禁煙外来について>>

2−2.寝姿勢を変える

横向きやうつ伏せで寝ると、いびきが軽減することがあります。抱き枕を利用して姿勢を調整するのもいいでしょう。

◆「睡眠時の姿勢」について>>

2−3.睡眠環境の見直し

寝室が乾燥すると、鼻がつまりやすくなって口呼吸になり、いびきの原因になることがあります。加湿器などを利用して、寝室の湿度を40〜60%程度に調整してみましょう。

◆「いびきと口呼吸」の関係>>

2−4.口の周りや舌の筋肉を鍛える

口の周りや舌の筋肉が弱っていると口呼吸になり、いびきが出やすくなります。口輪筋や舌筋を鍛えるエクササイズや器具もあるので、試してみてもいいでしょう。

◆いびきの原因は「舌」にある?>>

2−5.口呼吸防止グッズの使用

唇を閉じるマウステープや、顎をベルトで持ち上げて口を開きにくくするサポーターなど、口呼吸を防止するグッズもあります。

ただし、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など鼻の病気がある人は、窒息の危険があるため使わないでください。

◆口呼吸がいびきにつながる理由と予防のためにできること>>

3.いびきは病気のせい?睡眠時無呼吸症候群とは

上記の対策で効果を感じられない場合は、「睡眠時無呼吸症候群」という病気が、いびきの原因となっている可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなることを繰り返す病気です。

この病気になると、毎晩のように低酸素状態を繰り返すことで、心臓や脳、血管に大きな負担がかかります。

すると、心筋梗塞や脳卒中など、命にかかわる合併症を起こしやすくなるので治療が必要です。

いびきは睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状であり、家族やパートナーにいびきを指摘され、病気に気づく人も多いです。

◆「そのいびき、睡眠時無呼吸症候群のせいかもしれません」>>

4.睡眠時無呼吸症候群のいびきの特徴は?

睡眠時無呼吸症候群の人のいびきには、下記のような特徴的があります。

・毎日のように大きないびきをかいている
・朝までいびきが続いている
・いびきの音が大きくなったり小さくなったりする
・いびきや呼吸が一時的に止まることがある

【参考情報】『Snoring』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/snoring/diagnosis-treatment/drc-20377701

5.病院でできる治療

先に述べたように、疲れがひどい時や、お酒を飲みすぎた時にいびきをかくことはあります。しかし、それは一時的なものです。

しかし、睡眠時無呼吸症候群のいびきは、治療をしない限り、ひどくなる一方です。お酒やタバコを控えても、市販の薬やグッズに頼っても、よくなることはありません。

病院で睡眠時無呼吸症候群と診断されると、CPAP(シーパップ)をはじめとした、睡眠中の呼吸をサポートする装置を用いた治療を受けることができます。

◆「CPAPとは?」>>

CPAPを使用すると、いびきが抑えられて睡眠の質がよくなります。また、睡眠中の酸素不足による心血管疾患のリスクが下がります。

自分では病気の自覚がない人も、いざ治療を開始してみると、翌朝のスッキリした目覚めに驚くことが多いです。

6.おわりに

原因に合わせた対策を行えば、自力でいびきを軽減できる可能性はあるので、いろいろ試してみるのは構いません。

しかし、対策を講じても、毎日のようにいびきが続いているなら、睡眠時無呼吸症候群の疑いやほかの病気が潜んでいる可能性があるので、検査のできる病院を受診しましょう。

◆当院の睡眠時無呼吸症候群治療について>>

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