喘息でもペットを飼いたい人の対策と注意点
喘息の患者さんご自身や、患者さんがいるご家庭で「ペットを飼いたい」と考えているならば、まずは動物アレルギーがないかどうかを病院で調べておきましょう。
特定の生き物に対するアレルギーがなければ、飼っても問題ありません。
もし、すでに一緒に暮らしているペットによって今アレルギー症状が出ているとしたら、体のために一番いいのはすぐに飼うのをやめることです。
しかし、今まで家族の一員として過ごしてきたペットを手放すのは現実的ではありませんよね。
そこで、喘息の方がペットと暮らしていくために知っておきたい基本の知識を紹介します。
目次
1.動物アレルギーが起こる原因とメカニズム
犬や猫、鳥、ウサギ、ハムスターなどの毛や羽、フケ、フンは、喘息を発症させたり症状を悪化させたりする原因物質(アレルゲン)となります。
私たちの体には、細菌やウイルスのような異物から身を守る「免疫」という仕組みが備わっています。
しかし、動物の毛のように、もともとは体には害のないものが、免疫のシステムによって異物=敵とみなされると、敵を追い出そうとする仕組みがはたらいて、くしゃみや鼻水、咳などアレルギーの症状が起こるのです。
【参考情報】『Pet allergy』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/pet-allergy/symptoms-causes/syc-20352192
家では飼っていなくても、ペットを飼っている親戚や友人の家に遊びに行ったり、ペットを飼っている人が近づいてきただけで、アレルギーの症状が出ることがあります。
また、マンションやアパートのような集合住宅に住んでいる人は、他の住民が飼っているペットが原因で発作が起こることもあります。
【参考情報】『動物アレルギー』時事メディカル
https://medical.jiji.com/medical/021-0007-01
2.動物アレルギーの検査を受けてみましょう
これからペットを飼いたい人や、既に飼っている人でアレルギーの疑いがある人は、動物アレルギーの検査を受けましょう。
動物アレルギーの検査は、アレルギー科のある病院、アレルギー専門医がいる病院で受けることができます。
喘息の患者さんは、主治医に相談してみるのもいいでしょう。
【参考情報】『日本アレルギー学会専門医・指導医一覧(一般用)』日本アレルギー学会
https://www.jsaweb.jp/modules/ninteilist_general/
アレルギーの原因物質を特定する検査には、血液検査や皮膚テストがあります。
検査には、結果が分かるまでに数日かかるものや、検査から約20分後に結果がわかるものがあります。
検査でわかる項目や料金もそれぞれ違うので、医師と相談して自分に合った検査を受けてください。
検査の結果、特定の動物によるアレルギーが認められた場合は、その動物を飼うことはあきらめるのが健康のためには一番です。※既に飼っている人への注意点は後述します。
特にハムスターは、アナフィラキシーと呼ばれる大変深刻なアレルギー反応を起こす可能性があり、ハムスターに咬まれた喘息患者さんの死亡事故も起こっているので注意が必要です。
3.アレルギーの人がペットと暮らすときの3つの注意点
それでも、どうしてもペットを飼いたい人や、既に飼っていて手放せない人は、以下の3つの注意点を守ってください。
3-1.できれば屋外で飼いましょう
犬は室内で飼うより屋外で飼う方が、アレルギーの原因となる物質を吸い込む量を減らすことができます。
鳥の場合は、日中はゲージをベランダなどの屋外に出し、夜になったら家の中に入れ、さらにゲージに布をかぶせて、アレルゲンが室内に舞うのを防いでおくと安心です。
犬小屋やケージの掃除をするときは、マスクや手袋を着けて、アレルギーの原因となる物質を体内に取りこまないようにしましょう。
どうしても室内でしか飼育できない場合は、寝室に入れることは避け、アレルゲンを減らすため、部屋の換気と掃除をこまめに行ってください。
◆「喘息・アレルギーを悪化させない、カビと掃除の注意点」>>
3-2.ペットは清潔にしましょう
ペットの毛やフケが飛び散るのを減らすため、体をケアしましょう。特に、春と秋の「換毛期」と呼ばれる時期に毛が生え変わる種類のペットは、時期が来たらいつもより入念なケアが必要です。
犬の場合、体を拭くだけでは、汚れやアレルゲンを落とすには不十分です。空中のアレルゲン量を減らすために、さらに犬の皮膚疾患を防ぐためにも、できればシャンプーできれいにしましょう。
シャンプーの適切な回数は、犬の種類や体の状態によっても変わってきますが、月2回が目安です。猫は体が濡れるのを嫌がることが多いのですが、月1回を目安に洗いましょう。
ブラッシングで抜け毛を防ぐことも忘れずに。また、ペットに接触した後は、必ず手を洗いましょう。
ペットの抜け毛は、ダニやノミなどの寄生虫が原因で引き起こされることがあります。また、栄養不足や病気が原因で抜け毛が増えることもあります。
お手入れしているにもかかわらず抜け毛が改善されないときは、獣医に相談してください。
【参考情報】『脱毛 猫の病気』日本臨床獣医学フォーラム
https://www.jbvp.org/family/cat/abnormal/06.html
3-3.布製の家具や雑貨は避けましょう
布製のソファやラグなどは、毛やフケなどのアレルゲンが付くと取り除きにくいため、ペットと一緒に過ごす空間には置かない方が安全です。
カーテンは洗濯しやすい薄手のものにするか、ブラインドにすると良いでしょう。
替えるのが難しい場合は、空気清浄機を使って室内のアレルゲン量を減らすことも検討しましょう。
4.おわりに
今まで動物によるアレルギーがなかった人でも、突然動物アレルギーを発症することがあります。
ペットを飼っている人は、たとえ動物アレルギーがなくても部屋の掃除と換気をよく行い、アレルギーの原因物質となる毛やフケを取り除きましょう。
動物と一緒に過ごしていて、いつもより咳がひどくなったり息苦しさを感じるようになったら、早めに主治医に相談してください。
アレルギーのある人が、新たにペットを飼う場合は、金魚や熱帯魚などの魚類や、亀のような爬虫類など、毛の生えていない生き物を飼って楽しむのも一つの方法です。