喘息治療に用いる去痰薬「ムコダイン」の特徴と効果、副作用
ムコダインは、喘息や気管支炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などで痰が絡んでいるときに用いる薬です。
錠剤(ムコダイン錠)のほか、液体のシロップと、シロップを乾燥させて顆粒状にしたドライシロップがあります。
この記事では、ムコダイン錠の使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ読んでください。
1.ムコダイン錠とはどのような薬か
ムコダイン(一般名:カルボシステイン)は、痰を出しやすくする作用を持つ薬である去痰薬の一種です。
空気の通り道である気道では、呼吸の際に体内に侵入した細菌やウイルス、ホコリやカビなどを捉えて体外に押し出すために、粘液が分泌されています。
この粘液が捉えた異物が、痰として体外に排出されることで、私たちの体は有害物質の攻撃から守られているのです。
【参考情報】『気道分泌の管理と治療』日本内科学会雑誌第101巻第12号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/101/12/101_3525/_pdf
しかし、喘息の患者さんは気道に慢性的な炎症があるせいで、粘液の粘り気が強くなり、痰のキレが悪くなりがちです。
その結果、痰が出にくくなり、痰が詰まったような症状が現れるのです。
ムコダインは、痰の粘り気を増やす原因となる成分を減らし、気道粘液の粘り気を正常にすることで、痰のキレを良くします。そのため、服用すると痰が出やすくなります。
また、ムコダインには、炎症を起こした気道を修復して粘膜を正常化する作用もあるため、呼吸器系の疾患に幅広く使用されています。
2.ムコダイン錠の使い方
ムコダイン錠には、250mgと500mgの2種類があり、いずれも水かぬるま湯と一緒に飲みます。
ムコダイン錠250mgは、通常、成人は1回2錠(500mg)を1日3回服用します。
ムコダイン錠500mgは、通常、成人は1回1錠(500mg)を1日3回服用します。
250mgは1回に「2錠」、500mgは1回に「1錠」と、1回に服用する数が違うので、処方された薬が250mgなのか500mgなのか、確認しておきましょう。
また、服用量は患者さんの状態や症状により変わってくるので、必ず指示された服用方法に従ってください。
3.ムコダイン錠の副作用
ムコダインの副作用には、以下のようなものがあります。
・胃の不快感
・腹痛
・下痢
・顔、まぶた、唇のむくみ
・肌のかゆみ、発疹
通常、あまり問題にならない程度ですが、違和感が強い場合は、医師や薬剤師に相談してください。
4.使用上の注意点
ムコダイン錠のうち、500mgは錠剤のサイズが大きく、飲み込むのが難しいと感じる方も少なくありません。
錠剤の中央に線が入っているため、半分に割ることは可能ですが、慣れない人が行うとケガをする危険もあるため、ご自身で錠剤を割る際には十分な注意が必要です。
500mgが飲みにくい場合は、サイズの小さい250mgの錠剤やドライシロップ、シロップ(小児用)が処方できることもあるので、医師や薬剤師に相談してください。
飲み忘れた場合は、すぐに気づいたら1回分を飲んでください。遅くに気づいた時は、忘れた分を1回抜き、次回から指示通りに飲んでください。
また、去痰薬には「ムコソルバン」と呼ばれる薬剤もあります。
同じ去痰薬で、名前も非常に似ていることに加え、併用するケースもあります。取り間違えのないように注意しましょう。
妊娠中やその可能性のある方、授乳中の方は医師に相談してください。
【参考情報】『Asthma During Pregnancy』Asthma and Allergy Foundation of America
https://www.aafa.org/asthma-during-pregnancy/
5.ムコダイン錠の薬価
ムコダイン錠の薬価(2024年8月)は、以下となります。
・ムコダイン錠250mg 8.5円/錠
・ムコダイン錠500mg 10.1円/錠
ムコダイン錠の代わりとなるジェネリック医薬品は「カルボシステイン錠」です。
6.おわりに
ムコダインは比較的安全性が高い薬で、風邪で痰が絡んだ時にも処方されます。
喘息の患者さんに限らず、「痰が多い」「痰が絡む」「市販薬を使っても痰がよくならない」などの悩みでお困りの方は、呼吸器内科を受診して、自分に合った薬を処方してもらいましょう。