喘息治療に用いる去痰薬「ムコソルバン」の特徴と効果、副作用
ムコソルバンは、喘息や気管支炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などで痰が絡んでいるときに用いる薬です。
錠剤(ムコソルバン錠)のほか、液体のシロップと、シロップを乾燥させて顆粒状にしたドライシロップがあります。
この記事では、ムコソルバン錠の使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ読んでください。
1.ムコソルバンとはどのような薬か
ムコソルバン(一般名:アンブロキソール)は、痰を出しやすくする作用を持つ薬である去痰薬の一種です。
空気の通り道である気道では、呼吸の際に体内に侵入した細菌やウイルス、ホコリやカビなどの有害な物質を体外に押し出すために、せん毛運動と呼ばれる働きが行われています。
この時、痰はせん毛に押し出された異物を絡めとる役割を担っているのですが、喘息の患者さんは気道に慢性的な炎症があるため、痰のキレが悪くなっていて、うまく異物を吐き出せないことがあります。
ムコソルバンには、肺サーファクタントと呼ばれる分泌物を増やしてせん毛運動を促し、気道の潤滑を良くする作用があります。そのため、服用すると痰が出やすくなります。
【参考情報】『Pulmonary surfactant in health and human lung diseases: state of the art』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10445627/
2.ムコソルバン錠の使い方
ムコソルバン錠には、15mgとL錠45mgの2種類があり、いずれも水かぬるま湯と一緒に飲みます。
ムコソルバン錠15mgは、通常、成人は1回1錠(15mg)を1日3回服用します。
ムコソルバンL錠45mgは、通常、成人は1回1錠(15mg)を1日1回服用します。
15mgは1日「3回」、L錠45mgは1日「1回」と、1日の服用回数が違うので、処方された薬が15mgなのかL錠45mgなのか、確認しておきましょう。
また、服用量は患者さんの状態や症状により変わってくるので、必ず指示された服用方法に従ってください。
3.ムコソルバンの副作用
ムコソルバンの副作用には、以下のようなものがあります。
・胃の不快感
・腹痛
・下痢
・顔、まぶた、唇のむくみ
・肌のかゆみ、発疹
通常、あまり問題にならない程度ですが、違和感が強い場合は、医師や薬剤師に相談してください。
4.使用上の注意点
ムコソルバン錠のうち、「L錠45mg」は「噛まずに」飲んでください。
ムコソルバンL錠45mgは、体の中で徐々に薬剤が放出され、薬の効果が長く続くように設計されている「徐放性製剤」というタイプの薬です。
そのため、噛み潰したり、粉砕してしまうと、薬の効果が一気に強く出過ぎてしまうことがあります。
【参考情報】『徐放性製剤の粉砕投与』日本医療機能評価機構
https://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_158.pdf
錠剤を飲み込むのが難しい場合は、ドライシロップやシロップ(小児用)が処方できることもあるので、医師や薬剤師に相談してください。
飲み忘れた場合は、すぐに気づいたら1回分を飲んでください。遅くに気づいた時は、忘れた分を1回抜き、次回から指示通りに飲んでください。
また、去痰薬には「ムコダイン」と呼ばれる薬剤もあります。同じ去痰薬で、名前も非常に似ていることに加え、同時に併用されるケースもあります。取り間違えのないように注意しましょう。
妊娠中やその可能性のある方、授乳中の方は医師に相談してください。
【参考情報】『Asthma During Pregnancy』Asthma and Allergy Foundation of America
https://www.aafa.org/asthma-during-pregnancy/
5.ムコソルバン錠の薬価
ムコソルバン錠の薬価(2024年8月調べ)は、以下となります。
・ムコソルバン錠15mg 8.6円
・ムコソルバンL錠45mg 26.3円
ムコソルバン錠の代わりとなるジェネリック医薬品は「アンブロキソール塩酸塩錠」です。
6.おわりに
ムコソルバンは比較的安全性が高い薬で、風邪で痰が絡んだ時にも処方されます。
喘息の患者さんに限らず、「痰が多い」「痰が絡む」「市販薬を使っても痰がよくならない」などの悩みでお困りの方は、呼吸器内科を受診して、自分に合った薬を処方してもらいましょう。