喘息治療に用いる薬「シングレア」「キプレス」の特徴と効果、副作用
シングレアとキプレスは、喘息治療に用いる薬です。この2つの薬は、販売会社が別なので名前は違いますが、含まれている成分はまったく同じです。
この記事では、シングレアおよびキプレスの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使い続けている方も、ぜひ最後までお読み下さい。
目次
1.シングレア、キプレスとはどのような薬か
シングレアとキプレスは、「モンテルカスト」を主成分とするロイコトリエン受容体拮抗薬です。
【参考情報】『Montelukast』MedlinePlus.gov
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a600014.html
ロイコトリエンとは、体内にもともと備わっている化学物質である生理活性物質の一種です。このロイコトリエンが、ロイコトリエン受容体と呼ばれるたんぱく質と結合すると、炎症やアレルギー反応が出現します。
シングレアおよびキプレスは、ロイコトリエン受容体に「フタ」をするような形で結合を妨げ、アレルギー反応を抑制します。
それぞれ、錠剤、チュアブル錠、細粒(粉薬)、OD錠(口腔内崩壊錠)の4つのタイプの形があり、患者さんの年齢や状態によって使い分けます。
2.シングレアおよびキプレスの使い方
喘息治療における、シングレアおよびキプレスの使い方を説明します。
シングレアとキプレスは、アレルギー性鼻炎の人にも処方されることがあります。その場合、喘息とは用法用量が異なってくるのでご注意ください。
2ー1.錠剤
成人に処方される薬です。1日1回・就寝前に、10mgを水かぬるま湯で飲みます。
2ー2.チュアブル錠
6歳以上の小児に処方される薬です。1日1回・就寝前に、5mgを口の中で溶かして飲むか、かみ砕いて飲んでください。
2ー3.細粒(粉薬)
1歳以上6歳未満の小児に処方される薬です。1日1回・就寝前に、1包(4mg)を口に直接入れて飲みます。
調製ミルクや母乳、柔らかい食べ物と混ぜて飲ませることもできます。
2ー4.OD錠(口腔内崩壊錠)
成人に処方される薬です。OD錠は、口の中に入れるとすぐに溶けるので、水なしでも飲むことができます。
1日1回・就寝前に、10mgを口の中に入れて唾液で溶かして飲むか、水かぬるま湯で飲みます。
3.シングレア、キプレスの副作用
シングレアおよびキプレスの主な副作用として、以下があります。
・下痢
・腹痛
・吐き気
・胸やけ
・頭痛
・口の渇き
・倦怠感
・かゆみ
めったにないことですが、アナフィラキシーや血管浮腫、重篤な肝炎などの副作用も報告されているので、服用時は体調の変化に注意してください。
4.使用上の注意点
シングレアおよびキプレスは、喘息の発作を抑える薬ではありません。発作が起こり、咳や息苦しさが強くなってきたときは、医師から処方された発作治療薬(リリーバー)を服用してください。
細粒(粉薬)は光に弱いので、開封後すぐに服用してください。また、保管する際も、直射日光を避けてください。
きょうだいでシングレアやキプレスが処方された場合、上の子にはチュアブル錠、下の子には細粒と、処方が異なるケースがあります。服用の際には、取り違えないよう注意しましょう。
妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の方は、薬の使用の可否について主治医と相談して下さい。
【参考情報】『Asthma During Pregnancy』Asthma and Allergy Foundation of America
https://aafa.org/asthma/living-with-asthma/asthma-during-pregnancy/
5.シングレア、キプレスの薬価
シングレアの薬価(2024年8月調べ)は、以下となります。
・シングレア錠5mg 61円
・シングレア錠10mg 70.8円
・シングレアチュアブル錠5mg 84.8円
・シングレア細粒4mg 89.2円
・シングレアOD錠10mg 70.8円
キプレスの薬価(2024年8月調べ)は、以下となります。
・キプレス錠5mg 61円
・キプレス錠10mg 70.8円
・キプレスチュアブル錠5mg 87.2円
・キプレス細粒4mg 89.8円
・キプレスOD錠10mg 70.8円
シングレアおよびキプレスの代わりとなるジェネリック医薬品には「モンテルカスト」があります。
6.おわりに
シングレアおよびキプレスは、剤形(薬の形)が豊富で、乳児から高齢者まで幅広い年齢の患者さんが使用できるのがメリットです。
同じようなロイコトリエン受容体拮抗薬には「オノン」があり、こちらはカプセルとドライシロップがあります。
医師は、患者さんの年齢や状態に合わせて喘息の治療薬を処方していますが、もし「薬が合わない」「飲みにくい」という悩みがあれば、相談してみましょう。